■2001年7月13日掲載 ■MAXIMAX by inri 展 ■会場:fujikawa gallery/next

fujikawa gallery/next 胎動
■ディレクター:清水 敏男
(清水 敏男インデペンデントキュレーター事務所)
■問合せ先:フジカワ画廊大阪店

OPENING RECEPTION & FANFARE

オープニング記念ファンファーレで盛り上がる会場。

赤のワインで歓談 螺旋階段と2Fが見える 受付に作家inriが見える

▲展覧会キュレーター清水敏男氏 美津島社長(左端) 演奏に聞き入る・・・

打楽器 花石眞人氏 トランペット 山田亮平氏

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今回の『胎動』に相応しく、Eメールでオープニングレセプションの案内を受け取った。郵便による案内状は当日の午前だった。『大阪の老舗フジカワ画廊(堺筋)は、ディレクターに清水敏男(前水戸芸術館芸術監督、2000年上海ビエンナーレキュレーター)を迎え、ギャラリーを現代美術のスペー
スとすることになりました。新しいスペースはfujikawa gallery/nextと名付けられた』とあった。

仕事柄、フジカワ画廊が内装工事をしていたのは知っていたが、現代美術のギャラリーに変身するとはとにかく驚かされた。早速、事前に訪れチェックをいれたが、まだ足場を組んで今回の『MAXIMAX』の展示の真っ最中だった。写真のように2階までのぶち抜きの広い空間なので自由がある半面、構成一つで雰囲気やイメージがころっと変わるので作家やディレクターの腕の見せ所でもある。

6月25日のオープニングレセプションには主にフジカワ画廊と清水敏男氏の招待客が招かれ、盛大に催された。従来の関係者は画廊の変貌振りに驚き、現代美術系と思われる招待客は『MAXIMAX by inri』を眼と体全体で感受していた。すでに今回の展覧会を象徴するような赤ワインの振る舞い酒で皆が心地よくなった頃、美津島社長の挨拶が始まり、ディレクターの清水敏男、作家inriと続き挨拶をされた。オープニングファンファーレはトランペットとドラムで何かを打ち壊すようなまた、突き進んで行くようなそんな豪快なリズムと音響と迫力で会場の皆を酔わせた。

関係者の取材の中で、心に残ったのはディレクターの清水敏男氏の言葉で「従来の絵画は世間の評価の定まったものであるが、現代美術は元々なんだかわからないので、自分で会場に足を運び観て、考えて楽しむものだ」と、フジカワの関係者の「NEXTは若手アーティストの発表の場を提供しながら、作家や来場者と新しい関係ができる迄、それこそ『next』の名のとおり次から次と展覧会を開催して行く」と。実際来年(2002年)6月末まで東京在住の楽しい彫刻の鴻池朋子をはじめ、イタリア、韓国、ニューヨーク在住の作家などの合計6回の展覧会を既に予定している。

第1回の『MAXIMAX by inri』展はfujikawa gallery/nextの胎動そのもので観覧者の全てにショックを与えるそれは、オープニングをイベントとして捉える演出家に計算されたものであるはずだが、作者inri(インリと読みます)にとってはこの展覧会のための作品ではなく、単なる2年前の自己表現にすぎない。inriの赤い絵の具を浴びる少女の写真はカッコよく言えばモデル尾藤桃子とinriの私闘であり、本当の写真を求めて『赤に溺れもがいて叫びが果てるまでやるしかない。自らの熱情によって突き破ること。』の行為だった。作品全体のインパクトがディレクター清水敏男氏の眼に止まり『胎動』オープニングの白羽の矢が立った。

現代美術は着実にコレクターが増えている、結構年輩の方がそれまでの具象絵画から突然、変心したりする。フジカワ画廊がやる限りそれなりの成算もあるはずだし、なんといっても従来の大勢の筋の良い顧客が変心してくれる愉しみがあるし、新規の顧客を獲得できるはずだ。ギャラリーの近隣には2003年末に完成予定の西日本一の高層マンション(写真)ができ、今回の変身がきっちり時代のキーワード『チェンジ』を踏まえているのが流石、トップ画廊だと感心させられる。

最後にこの『気まぐれスケッチ』の今回の作品の見せ方は作者と作品、招待客と作品を一緒にすることで、inri作品の持つ強烈なショックを柔らげているつもりなので、作家には少し不満かもしれないが、現代美術は器(ギャラリー)も含めて作品なので是非『fujikawa gallery/next』に足を運んでinriのアートをダイレクトに感受して下さい。

文・写真:サンちゃん

取材日:平成13年(2001年)6月25日

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