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■ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page01/Page02
■宇佐美圭司 新作展-「アテネの学堂」より歩み出す-/KEIJI USAMI EXHIBITION
会場:ARTCOURT Gallery/アートコートギャラリー 会期:2004年11月17日(水)〜12月11日(土)※日・月・祝休館
取材日:2004年11月17日(水) 掲載:11月23日(火)
『4つのポーズ』投げる、のけ反る、屈む、走る。
宇佐見圭司氏の作品に描かれている重要なモチーフの『4つポーズ』の原点は1965年にアメリカ・ロサンゼルスで起こった黒人暴動の写真を「LIFE」誌で見てインスピレーションを受けた時にあり、動きのある究極のフォルムが生まれた。人体のシルエットがカットアウトされて、自分と重なり、自分の身体をカットアウトする。それらの形の組合せ、形どうしの重層、再びカットアウトすることで意味を持つ。また人間の状況を表わしたり切迫した表現となる。それらのパターンを記号化することで作者の絵画宇宙の中で多様なイメージの拡がりと限り無い可能性を持った。今は作者自身の身体と一体化して絵画宇宙を自由に出入りしている。フリーストロークの筆触【タッチ】で描かれた夥しい数の人物シルエットの全てが作者自身である。
◎上の絵は筆者が20年程前にたまたま気にいって購入した宇佐美氏のシルクスクリーンの作品。

「壮観」と云う言葉の大きさに惹かれて。
「宇佐美展、展示できました。300号、500号、の大作がずらりと並び、壮観です。」のメールがアートコートギャラリーの八木光恵さんから届いた。『壮観』という言葉に前回取材した西野 康造 展の天井に届かんばかりの巨大リング「夜の渕」を思い出した。500号の大作がゆったりと気軽に良い雰囲気で見れるのは大阪市内では美術館以外ではここだけだろう。
ずいぶん前から宇佐美圭司氏の作品に出会い、その先進性と創造性に感銘を受けた作家であった。初日に在廊ということで楽しみにして秋の気配の深いギャラリーに向った。前日には読売新聞、毎日新聞が取材を終えていたが私の前に、産経新聞の美術担当記者が丁度、インタビューを始めるところだったのでご好意で同席させてもらいお二人の会話を興味深く聞かせて頂いた。
知性と感覚(感性)を総合して絵画の新生(ルネサンス)を図る。
展覧会のタイトル、『アテネの学堂』はルネサンス芸術の傑作でラファエロが時の法王の依頼で、バチカン宮殿の一角に描かれた壁画。古代ギリシャの哲人たちを描いたもので、ラファエロ自身も描かれている。この壁画に想を得た作者、宇佐美氏は「学堂・過去の声」の作品のコンポジションに応用したのが分かる。作者は今年65才になるが、画家の道を志した少年期(17、18才頃)に美術書でこの壁画を見て『時間を止めて空間を描くルネサンスの面白さ』、『プラトン、アリストテレスが歩いてくる』画面に驚きを感じたと云う。行動力の凄さもあるが、先入観なしにラファエロに同調する直感力は天賦のもので『LIFEの写真』に通じる。また『武満 徹』や美術とは違う文化人との交流に通じる。近年は『時間の回復』をどのように絵画宇宙(コスモロジー)として表現し得るかをテーマとして取り組んでいるが、その一つの回答が今展で発表された。またアトリエの作業過程で、さらに1サイクル深層にあるラスコーやアルタミラの「洞窟」をつくるような感覚が芽生えたという。『総合の試み』『回帰の試み』『絵画の新生(ルネサンス)』と壮大な意図の第一幕或いは終幕を描いた。

ストリート・アートナビ 中田耕志

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取材日:2004年11月17日(水) 掲載:2004年11月23日(火)
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ
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