10年ほど前に西井さんの絵をはじめて拝見して、ほのぼのとした暖かさを感じました。落ち着いた構図、澄んだ色彩、丁寧な仕上げ。ちょうど阪大病院が吹田に移転し、まもなく新築開院予定のときでした。西井さんの絵は、きっと患者さんの苦痛を癒すに違いないと思って、あつかましくもお願いしたところ、快く数点の大作を寄付してくれました。平成8年に私が国立大阪病院へ移ったときは、絵が一枚も掛かっていない殺風景な病院でしたが、さっそく西井さんが持ってきてくれました。両方の病院で、数人の患者さんから「よい絵が掛けられていますね」とお手紙をいただきました。
建てなおした拙宅の玄関とリビングにも彼の絵を掛けて毎日対面しています。新築祝いに来た客が家より絵のほうをほめるので設計に苦心した女房はやきもちを焼いています。美しいこと、作家の人柄が伝わってくること、素人の絵選びはこれでよいと思っています。 |
(元国立大阪病院長) |
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