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蕪栗沼遊水地 |
遊水地とは、大雨や台風などの増水時、河川の流水を一時的に貯水する貯水地である。遊水「池」と表記する場合もあるが、貯水する場所は必ず
しも池や沼ではなく、水田や谷地の場合もあるため、土地利用形態としては遊水地と表記するのが一般的である。 蕪栗沼遊水地は、国の直轄事業によって造成され2001年3月に完成した。周囲を囲ぎょう堤と呼ばれる築堤で囲まれた3つの水田区画と、耕作放 棄した白鳥地区、沼本体の計5つの区画で構成される。 蕪栗沼遊水地の区画図と越流の順序(ピンクの番号)
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蕪栗沼本体の水位が上昇すると、約50ヘクタールの白鳥地区に水が貯まる。白鳥地区が満水になるとさらに水位は上昇し、北側の沼崎地区と、
西側の四分区に貯水される。さらに水位が上昇すると、東側の野谷地地区に越水する。沼崎、四分区、野谷地は水田として利用されており、遊水地とし
て利用するための地役権が土地に設定されている。また貯水によって被害を受けた水稲は、共済によって補償されるようだ。 越流堤を通じて遊水地に水を逃がすようす(2015.9.11撮影)
加護坊山から見た蕪栗沼遊水地(2015.9.12撮影)
平成27年9月関東・東北豪雨と呼ばれる台風17・18号の影響による豪雨災
害。鳴瀬川水系渋井川の堤防が決壊し、大和町の吉田川やその支流が氾濫した。蕪栗沼遊水地は沼崎・四分区の貯水機能が働き洪水を未然に防い
だ。
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遊水地の建設に伴い、野谷地地区にあった集落は現在の登米市南方一ノ曲地区に集団移転した。また水田耕作が行われていた白鳥地区は1997
年秋に最後の収穫を行い、耕作者組合は解散され借地権は返還された。 白鳥地区北駐車場に設置された遊水地の看板(2004.4.5撮影)
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1996年には宮城県の呼びかけにより「蕪栗沼遊水地懇談会」が開催された。これは
1997年の河川法の改正に伴い河川管理の目的に治水と利水に加え環境保全が加わったため、利害関係者や地域住民の声を取り入れ円滑な河川管理を
行うためである。懇談会では「蕪栗沼遊水地環境管理基本計画」が策定され、渡り鳥をはじめとする自然環境に配慮した遊水地管理を行うための指針が
示された。 第5回蕪栗沼遊水地懇談会(2000.7.31撮影)
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