聖書日課プロジェクト

「4年サイクル主日聖書日課」を礼拝・説教に生かすために

デューラー「福音書記者」(1526年)

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更新日 2017-09-30 | 作成日 2017-04-30

「聖書日課」とは

 1年間の日曜日と主な礼拝のために、礼拝の中で朗読する聖書箇所を決めたもの。キリスト教が、組織として、社会の中に地位を占めるようになった古代の終わりには原型ができあがり、中世には修道院を中心に発展してきました。
 20世紀に入って、礼拝研究が進むに伴い、その重要性が改めて認識され、新しい聖書日課が編集されるようになりました。その中でも、3年サイクルのカトリック教会の聖書日課(1980年)は、プロテスタント教会にも大きな影響を与え、アメリカでは、この日課を基に、教派を超えた協力により、1986年に『共通聖書日課』(Common Lectionary)が作成されました。現在ではその改訂版『改訂共通聖書日課』(Revised Common Lectionary, 1992)が使われています。
 一方、礼拝研究の進んでいたイギリスでも、教派を超えた研究団体、Joint Liturgical Groupによって2年サイクルの共通聖書日課が発表され、使われるようになっていました(JLG1、1967年)。1990年にはこれの改訂版(JLG2)が発表されました。ここでは、4年サイクルが採用されました。
 日本基督教団聖書日課編集委員会は、イギリスで作られたJLG1を基に、1975年に『新しい教会暦』で、2年サイクルの聖書日課の使用を提案しました。その日課はさらに、3年サイクルのものへと拡張されました。1999年に発行された『新しい教会暦と聖書日課』は、JLG2を基に4年サイクルの日課を提案し、その日課は2000年から現在使用されています。
 

「4年サイクル主日聖書日課」

「4年サイクル主日聖書日課」には、大きく、次のような特徴があります。
 
特徴1 各年に中心となる福音書がある
特徴2 主題型と継続型の両立
特徴3 ヘブライ語聖書(旧約聖書)日課が含まれている
 
以下にその特徴について述べます。

 

特徴1 各年に中心となる福音書がある

 この聖書日課は、どうして、「4年サイクル」なのでしょう。
 「4年」という期間は、新約聖書の福音書の数に対応しています。つまり、ある年(降誕前第9主日から聖霊降臨語最終主日まで)には、福音書の1つが中心の聖書日課として選ばれているのです。
 A年(2020年10月から)はマタイによる福音書、B年(2017年10月から)はマルコによる福音書、C年(2018年10月から)はルカによる福音書、D年(2019年10月から)が中心になります。
 こうすることで、福音書に関しては、4年の礼拝(おおよそ200回)でほとんどすべての部分を朗読することができます。
 また、4つの福音書は、それぞれが独自の観点からイエスを描いています、1年を通してひとつの福音書を中心に読むことで、礼拝に一貫性を持たせることができます。
 

特徴2 主題型と継続型の両立

 聖書日課の構成方法には、大きく分けて2つの型があります。
 
主題型 日曜日毎の主題は独立しており、前後の日曜日との関連は少ないか、あってもゆるやかなもの
継続型 どれかの朗読箇所が、前後の日曜日と連続または断続しているもの
 
JLG1とそれに基づく2年サイクル(その改訂版である3年サイクル)では、主題型の構成になっていました。JLG2とそれに基づく4年サイクルでは、この2つの型が両立しています。降誕前から復活節までは、西方の伝統的な日曜日毎の主題に基づく主題型。聖霊降臨節は、その年の中心となる福音書を断続的に読んでいく継続型。また、聖霊降臨節の日曜日は、福音書日課の主題に合わせて他の日課が選ばれるスタイルになっています。
 

特徴3 ヘブライ語聖書(旧約聖書)日課が含まれている

 JLG1以来、聖書日課には必ずヘブライ語聖書から選ばれた朗読箇所が含まれています。
 聖書日課が4年サイクルになった結果、ヘブライ語聖書箇所も200箇所以上になり、ほとんどの書から選ばれています。ただし、1箇所も選ばれていない書(雅歌など)や1箇所しか選ばれていない書(ルツ記、エステル記、コヘレトの言葉など)がある一方、創世記、出エジプト記、イザヤ書のように多く選ばれている書もあます。
 ここには、ヘブライ語聖書に対するキリスト教会の「扱い方」を見て取ることができます。つまり、ヘブライ語聖書は新約の出来事の「基礎」ないし「根拠」、あるいは、「預言」と考えられているということです。その結果、朗読箇所間、とくにヘブライ語聖書と福音書の間は、「予型論解釈」、あるいは、「預言とその実現」に基づいて読まれるようになっています(朗読箇所間の関係参照)。
 ヘブライ語聖書が説教で取り上げられるテキストにならなくても、朗読されることには大きな意味があります。


参考文献

日本基督教団出版局聖書日課編集委員会編『新しい教会暦と聖書日課 4年サイクル主日聖書日課を用いるために』、日本基督教団出版局、1999年。