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■展覧会シーン: (記者発表&内覧会)
“大大阪”誕生80年記念 モダニズム心斎橋 近代大阪/美術とシティライフ
会場:大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室/取材:ストリート・アートナビ/掲載:2005年1月18日
華やかなモダニズム芸術が開花した近代大阪の黄金時代、
“心斎橋筋”は文化芸術の中心地だった。
穏やかな新春を迎えたこの1月14日(金)に大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室のオープン第2弾となる展覧会『モダニズム心斎橋』の記者発表と内覧会があった。
・会場入口の正面に屏風に仕立てた漆螺鈿装飾扉が訪れた人を会場内に誘なうかのように展示されている。漆の黒に螺鈿の細工、今も真珠色に光が放たれ誰もがしばし目を奪われる。有名画家によって描かれた艶やかな着物姿の女性のポスター達が流し目でこちらを見る。赤松麟作の「裸婦」の光と陰影の捉え方の巧みにその場に佇み、中村貞以の「失題」の豊満さに心を躍らせる。今も昔も女性が主題。「船場で店を構え、ミナミの盛り場で遊び、帝塚山・北畠の邸宅に住み、白砂青松の浜寺(堺市)に別荘を持つ」のが成功者の一つの姿であった頃の大阪・心斎橋の下には長堀川が流れ材木の原木が集積していた。金と人の集まる所に文化の華が咲いた。
ストリート・アートナビ 中田耕志 

1.北野恒富「たかしまや『キモノの大阪』春季大展覧会 婦人図ポスター原画」昭和4年(1929)高島屋史料館蔵
 2.北野恒富「たかしまや飯田呉服店・京舞妓美人『若松』ポスター」大正5年(1916)高島屋史料館蔵
 3.金森観陽「南蛮来」部分 大正7年(1918)紙本着色 6曲1双のうち左隻 大阪市立近代美術館建設準備室蔵
 
※日本画の一部が会期中に展示替えあり。
モダンな都市文化の一つとして頂点に達した大阪の近代美術。
“モダニズム時代”の心斎橋に立って美術を眺める。
・大阪市は大正14年(1925)、市域拡張により東京市を抜いて日本一、世界第6位のマンモス都市“大大阪”となった。この巨大都市を準備した大正時代から成立後の昭和10年代までこそ、華やかなモダニズム芸術が開花した近代大阪の黄金時代であり、“近代的流行の歩く”街と謳われた心斎橋筋は文化芸術の中心地となる。
洋画家の小出楢重、北野恒富ら有名画家が頻繁に心斎橋筋を訪れたほか、心斎橋2丁目の丹平ハウスには赤松麟作の洋画研究所が開設され、同じ建物内の丹平写真倶楽部では、競うように前衛的な写真作品が発表されました。またモダニズムは広告デザインや美術関連の様々な業種にも影響を与え、百貨店や店鋪のポスター、パンフレットは豪華で、建築でも、ヴォーリズ設計になる大丸、村野藤吾によるそごうの両百貨店はモダニズム建築の白眉です。
『モダニズム時代の心斎橋に立って美術を眺める』という切り口で世界のアートの新潮流が流入した“大大阪”の時代、“モダニズム心斎橋”をとりあげ、モダンな都市文化の一つとして頂点に達した大阪の近代美術を、絵画作品約50点、百貨店パンフレットなど資料60点で紹介している。
(展覧会資料より)
◎展示構成:
序 ノスタルジック心斎橋
―描かれた心斎橋/鉄橋から石橋へ―
第1幕 街のにぎわいに囲まれた“美術の大聖堂”
―心斎橋の百貨店と美術―
第2幕 心斎橋と画家たち
―求我堂洋画研究所/小出楢重、足立源一郎、中村貞以ほか―
第3幕「柳屋」
―モダンとレトロが交わる趣味の花園―
第4幕 心斎橋界隈アート模様
―画廊、画材店、書店、趣味人など―
第5幕 丹平ハウス/、モダニズムの発信基地
―赤松洋画研究所と丹平写真倶楽部―
◎ミュージアムトーク:会期中の毎週土曜日午後2時30分より学芸員が展覧会を案内。
◎ミュージアムコンサート:蓄音機コンサート 講師=毛利眞人(レコード蒐集家)
(展覧会場内で大阪ゆかりやモダニズム時代の音楽を鑑賞。)
1月29日(土)、2月26日(土)、3月29日(土)の午後5時30分から。

大阪のことは大阪の人が調べることが大切。
・荒堀近代美術館建設担当課長の話では前回の同館心斎橋展示室開設記念の『佐伯祐三展』の入場者数は約3万人と盛況であったこと、アンケートによると佐伯祐三ファンが多かったことが報告された。また市民が少しでも美とふれる機会を出光(イデミツ)の協力を頂きならが作りたいと話された。
・主任学芸員の橋爪氏は「モダニズム心斎橋」をテーマにするにあたり、今の若い人に“心斎橋”が道頓堀と勘違いされていることを知る。大阪の美術、文化が忘れられ歴史が空白になっていくことを危惧した。この地域にこだわったのは“心斎橋”にシンボル性があること、芸術・文化が集中していたから。また今回は普通の図録よりも雑誌媒体の方が相応しいと月刊誌『大阪人』2月号に「モダニズム心斎橋」特集号を組んでもらい展覧会の図録を兼ねた今迄にない珍しい編集になっている。
基本的に大阪のことは大阪の人が調べないと駄目、失われていく物を今日ちょっとでも掘り起こしたいと強調された。
(ストリート・アートナビ)
取材日:2005年1月14日/掲載日:1月18日
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、同館学芸員の説明を参考にしました。
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