腹腹時計

 いやあ、ついに私の町にもやってきました。「腹腹時計」。渡辺文樹の映画は実に5年振りかな? 上映日の4/17は会社で会議があり。時間まで間に合わないと思いもう一箇所の上映場所「福島文化センタ-」をロッピ-で検索すると なぜか削除されていた...。謎だ。でもなんとか時間まで間に合った。
郡山の会場は「ビックパレット福島」。いわゆる大規模展示会場。「なんちゅうとこでやるんじゃ」と思ったが実際には中に小ホ−ルがあり。そこが会場でした。もぎりのお姉さんは映画の中にも出演していた人。なんとなく浮世離れして年齢不詳。ビデオを買うため なけなしの金を下ろしていったんだが販売物は一切無し。
会場を見渡すと客層は1.小学生。 2.パンクス(!) 3.カップル 4.サラリ−マン野郎二人づれ 5.高校生..ここまでが20代。 俺みたいに30代以上っていうと..6.「いつまでもサブカル好き」おばさん。7.純粋な映画ファンか?のおっさん。全部で50人くらいかな。  で、俺はというと渡辺文樹本人を観にやってきたのでした。しかし、カップルで来てるお前ら、正気か?町中に貼られた恐怖映画風のポスタ-の戦略勝ちでしょう。でもって監督は....?...みんなのトイレタイムを気にするやさしいおじさんでした。

ここで渡辺文樹について。
 福島出身の映画監督。学生時代から自主映画を製作。卒業後は家庭教師、教材販売をしながら福島を舞台とした作品を制作。
おもな作品に「家庭教師」「島国根性」「ザザンボ」「罵詈雑言」がある。「ザザンボ」は松竹の出資により初のメジャ−作品となるはずだったが内容に問題あり。(理由後述)配給契約決裂により現在のようなゲリラ上映のスタイルをとることとなる。
 作品の内容とは関係ないグロテスクなポスタ-と それに殴り書きされる「ゲロをはいてあたりよごすな」「ハンカチ必ず持参ネ」「失神者続出」などのコピ-(時々その地方の時事ネタが盛り込まれる)によりお客をたくみに誘惑し。「内容と違う!」と怒った観客が暴動を起こしたり、上映会場側とトラブル起こしたりと話題には事欠かない。この暴動シ−ンは最近「警察24時」で紹介されていた・・。

渡辺文樹作品との出会い。
 最初に渡辺文樹を知ったのは高校だったか、大学時代だったか?。「家庭教師」が話題となって宝島やら映画雑誌なんかに紹介されていたころ。東北にもパワ-のある人がいるなあって単純に思ってた。実家は福島に近かったし。その後就職して引っ越した大宮のビデオ屋で初渡辺体験。
う-ん。自主映画ゆえの録音の聞きづらさ、(福島弁だってのも一因だが)画面の暗さでちょっと観るのがしんどかった。感想、主役の女の子かわいい。
 そして「罵詈雑言」。これは銀座の映画館で期間限定上映をしていたのでわざわざ観に行ったのであった。で、この映画...別な意味で「ゲロはきそう」だったし「失神しそう」なのであった。見終わった後 ど-っと疲れた記憶がある。 その年俺は転勤で監督の聖地 福島へ転勤。そして福島市へプロレスを観に行った時偶然「まるぱそプロダクション(監督の製作会社)スタッフ募集」の看板を発見。「こうなったら俺も映画に参加するしかない!」....とは考えずビデオ屋行って「島国根性」をかりてきたのだった。これも女の子かわいい。ほんとに。今どこにいる?この子。
これで3本作品を観たわけなんだが撮影技術っていうのは進歩してない..っていうよりあまりこういうことを気にしてないみたい。この「腹腹時計」もやっぱり観づらかった・。

各作品の内容


「家庭教師」
 家庭教師先の中学生と出来てしまう、自主映画を製作している「渡辺」...って、あんたのことかい!!
どうやら実話らしい。やっぱり台詞が聞きづらくてねえ。途中まで何やってんのかわかんなかった。

「島国根性」
 家庭教師先の奥さんと出来てしまう「渡辺」...ってまたかい!これまた実話らしい。そして「渡辺の息子はその奥さんの娘とつきあっていて....」という何ともいえない内容。渡辺作品の主人公はみんな行動力有り過ぎ。この息子も貨物電車とダンプにただ乗りし白河の映画館まで行ったり、港で猟師やったり。..。そして気になる女の子をスト−キング。  リスペクト!。   主人公「渡辺」の不倫のごまかし方が最高女々しく笑える。

「ザザンボ」
 この作品から監督の作品は本当の意味で「社会問題化」していく。 福島で実際に起こった障害のある少年の自殺。監督はこれが家族による他殺と推理。かつ、少年は祖父の実の息子ではないかとも推理。その二つの推理を元に「勝手に」ドキュメントを作成。 っつって、作られた方はたまらない....。
しかも「その家庭を観に行こうツア-」など勝手に企画。人権問題となり、松竹が配給禁止。だが行動力過剰の監督、例のポスタ-とともに全国ゲリラ上映へ。

「罵詈雑言」

 福島で便槽の中から青年の死体が発見される事件があり。家主の女性教師を覗こうとし、便槽の中で溺死したと報道される。収まらないのは青年の家族。
なぜか「渡辺」に相談。青年の死は事故ではなく殺人で、背後には原発推進をめぐる選挙トラブルがある、と推理。監督は事件の真相を探るべく突撃取材を慣行する。
....というのがスト−リ-ですが 問題はこの事件が現実の事件であり、「渡辺」は実在する関係者一人一人にカメラを持ってのゲリラ取材。
「お前がやったんだろう!」と超一方的な詰問を繰り返す。(これがまた狡猾な語りなんだな)
「渡辺」の考えるようにこれは殺人かもしれない。しかし殺人で無い可能性もあるわけで。ぞっとします。された方はたまりません...。
(しかしながら・・本当に普通では考えられない事件だ・・)  


「腹腹時計」
 そして本作。「ハラハラ時計」ってのは時限爆弾の隠語。日本赤軍なんかを検索すると詳しい説明あり。
内容は何とアクション! 福島にお忍びで静養にやってくる「昭和天皇」を暗殺するべく暗躍する「渡辺」。対するは韓国CIAと福島県警。
 渡辺は天皇の乗る列車に阿武隈急行を追突させ爆殺をもくろむ。いやあ、これは映画館では上映できんわ。
単純に映画そのもの俺は面白かった。台詞が聞き取れないっていうのは今後改めてほしいけど。メインの登場人物はプロとまではいかなくても演技の経験者にしてほしい。  あとは自主映画の悲しさ、ヘンなところがいっぱいあったけど それはそれで「渡辺節」ということで俺はおなかいっぱいになるほど楽しませてもらいました。
 やたらオレンジっぽい、かつ大量の血糊。(明らかにバケツでぶっかけてる時もある!)、老人ばかりの福島県警。とっても不気味(マシンガン持ってるぞ!!) バイクに乗って普通に停まらず意味無く滑り込む韓国CIA.。監督の合図がわからなくてモタモタする天皇ご一行。などなど...。東映あたりで金出してリメイクしないかな!。

観終わって..

 帰り道、暴動を起こす奴はいませんでした。東北人はやっぱり温厚だねえ。だがカップルの多くは小声で「ジャロに訴えてやる!」とか言ってた。おいおい、いい年こいて騙されてやって来るお前が悪いんじゃ!。ちなみに学生さんたちは中盤で皆さん帰られました(笑)
監督はこれからまた福島で新作の撮影に入られるみたいです。「罵詈雑言』路線じゃなく 次もアクションが良いな! 
監督、また観に行きます。

p.s.1. 監督のお名前は正確には「渡辺」ではなく「渡邊」。
p.s.2 罵詈雑言のパンフは台詞完全収録の逸品。読んでるとと-っても気分が滅入ってくる。このペ−ジの製作資料とさせていただきました。
P.S.3 「罵詈雑言」の事件については雑誌「不思議ナックルズ」で非常に詳しく取り上げられていた。これについては後日追記