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ドイツ史10講 坂井榮八郎著 岩波新書

本書は、ドイツを視点にヨーロッパの歴史を俯瞰するものである。10講シリーズとして今後もフランス史、イギリス史など続くようである。ヨーロッパとして一括りにされ、それぞれの国家同士の国際関係史のように講義されることが多い欧州であるが、それぞれの国家についてよく知ることがヨーロッパすべてを把握しようとするよりも成果が高いと思われる。ヨーロッパを一つとして捉えるのならば、総体としてのヨーロッパすべてを見たときに、それは日本史に於いて関東の歴史のみに注目するかのように、ヨーロッパの中野ドイツを見ることになるだろうが、果たしてそうなのだろうか。

ある総体を観察するに於いて、一部分の連続した変化を捉えるというのは、有効な手段である。それはその部分を基準として前他を捉えることは、全体を直接的に知る得ることが出来なくとも、全体を網羅的に把握しようとしたときに生じる、視点のぶれがないからである。すなわち、全体の中野一家著を見ることで全体の動きをそこを基準にある程度推定できるのである。そしてこのような視点のためには、その基準自体を相対的に常に全体の中野位置を意識しながら、注視していくことが有効なのである。

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