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官僚制 マックス・ヴェーバー 恒星社厚生閣

本書は、国家を支える官吏の組織を丁寧に分析することにより、一定の業務を行う組織として官僚制組織を最も合理的な組織形態としている。つまりは、狭義に管理の組織のみならず、すべて組織的な存在、近代社会における法人というもののあり方として、官僚制にみる組織形態、組織原理が最も近代社会に適合し、また、近代化(市民という個人単位への社会の還元再構成)の裏返しとして、官僚制の必然性があるとしている。

「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」において述べられている天職概念の理解が本書(のみならずM.ヴェーバー)の理解に大変有用である。M.ヴェーバーは、天職という視点をもって官僚制における官吏自身の持ちうる権能を分析している。官僚組織の読解は、それが社会の構造と密接不可分なだけに、その社会自体の分析にも通じている。

日本国に於いて、この国の官僚組織について考察を改めて加える必要があるのではないだろうか。官僚組織という言葉に、この国では意味ではなく、イメージが与えられている。それは昨今の新聞をいつか繰ればすぐにでも目に入る。だがしかし、官僚制という言葉にこの国でラベリングされたイメージが必然であり、そして官僚制(官僚の手に無ければ)でなければ、そのラベリングされたイメージはなくなるのか、それは、本当に国民生活を豊かにするのか。本当に「官僚制」と異なるものであるのだろうか。

官僚制は社会における必然的合理形態ならば、それが抱える問題はその社会における高度な組織体に共通する問題であり、この国にある歪曲されたイメージは全く以て妥当性がないもう伝に過ぎないのではないだろうか。

官僚とはどういうもので、そして何のために、そしてどのように存在し、存在すべきかのかを考えるべきである。

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