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流動動産譲渡担保物権

流動動産の譲渡担保においては、流動動産を如何にとらえるかが重要である。つまり、流動動産を固定的にとらえることで安定性が出るが、その反面において使い勝手が悪化し、わざわざ流動動産を担保する意味が無くなってしまう。流動動産を如何に柔軟性を失わずにまた、実行において保全しやすく構成するかというバランスが重要なのである。

1.流動動産とはなにか

基本的枠組み

判例によって構成される客体の範囲基準は、動産の種類、所在場所、量お三基準である(最高裁S62.11.10など)。これらは、担保実行の実現可能性から流動動産を把握している点で最低限の基準であるといえるし、また、流動動産担保契約において多くは特約がその流動動産に対して付されることがあるが、これらと客がどこまで有効なのかもなどについては担保制度の理解、構成によって論じられ方が違う。

1.1.流動動産を構成要素の変化する集合物として把握する理論

1.1.2.集合説

流動動産を一個の集合物ととらえその上に譲渡担保を設定する。設定者による流動動産の処分は、設定者に対して集合物の構成要素に対する管理権がああ耐えられていてその権利に基づいて処分されるので有効であるという。そして対抗要件として占有改定を採用し、この占有改定の効力についても、端面に集合物が構成されたときの効力がその集合物の構成要素が変わった後でも存続するとしている点に特色がある。

1.1.3.修正集合説

集合説では、集合物ととらえることによりどうしても固定性が強く打ち出されることになる。そうなると流動動産の流動性とあいいれにくくなってしまう。そこでこの点について流動性を確保するために、流動動産譲渡担保についてその発生消滅プロセスにおいて二段階に分け、発生時から私的実行要件の組前までを第一次、私的実行要件具備以降を第二次とする(二段階説)。この分割は、流動動産が私的実行の段階においては、種類数量保管場所などが特定されている必要性がある。つまり固定化されている必要があることに着目して、流動動産を流動的に扱うべき時期と、流動動産が流動性を喪失する時期とに分解したのである。

1.1.3.1.道垣内説

二段階説を前提に、第二段階になった時点で、集合物に対する担保から、集合物の個別要素物に対する担保に転換するとする。

1.1.3.2.千葉説

経済的一体性を強調し、個別動産を構成物とする単一対としての集合物という構成は採用しない。譲渡担保は設定者が所有権を留保する個別動産の上に成立するとしている。

1.2.分析論

集合物に対して譲渡担保設定契約がなされても、個別動産に対する複数の譲渡担保設定契約が成立したと考える、各々の動産に対して担保権が成立すると構成する。よって流動動産を客体としては直接とらえるのではなく、個別の動産が客体として選別されるときの要件として、種類・数・保管場所が基準となる。この点で、他の説では、「枠」という形で流動動産をあくまで一体としてとらえようとするのとは異なっている。よって流動動産の流動について、修道さんとしての範囲に新たに入る、そこから搬出されるということについて、変動の度に新しく設定と解除するというあらかじめの合意が最初の設定契約時に含まれていると解する。

1.3.流動物を総体としての価値表現として把握する理論(第三種の構成

1.3.1.価値枠説

集合物というという概念で限定された価値枠を設定し、その価値枠を満たす有体動産においてとらえられる限度の浮動的価値を担保的に支配する。

1.3.2.債権説

価値枠によって個別不動産を集合的に把握すると言うことの性質を債権的義務とする。同じく二段階説を採用しており設定段階においては単なる債権的効力であるが、実行段階においては優先弁済権を有すると解する。

1.4.学説の選択

流動動産譲渡担保はその実務において商品を倉庫ごと一括して譲渡担保の目的物に供するなどの場面から、その倉庫の商品がある状態をもって担保の目的物に足る価値があるという風にみていると考えられる。よって価値枠を設定して、その枠内における限定的浮動価値の取得の期待権を取得するという構成がよりよいと考える。

2.譲渡担保設定について

2.1.公示方法

集合物として流動動産を把握する論理では、占有改定によることになるが、反対説として、そもそも占有改定による動産譲渡担保の公示について疑義を持つ説と、集合物という性格にたいして、最初の設定した集合物に対する効力だけで変動によって新しく集合に組み入れられた物にまで効力を及ぼさせようとすることに難色を示す説がある。

この点について、占有改定は不要であり、明認方法と公正証書によるべきであると思う。

2.2.流動動産の特定

流動動産が限定種類物の状態から特定されたとき、そのまま公示を受け継ぎ、担保設定時からの遡及効については、特に公示をなせば特約で有効にできる。そのときの公示は占有改定で足りる。これは、すでに明認方法と公正証書によって担保に付されていることが明らかであり、特約を新たに確認するには占有改定でたりるからである。

3.効力

本校で依拠する福地学説においては、流動動産を特定の前後で分け、更に一個の譲渡担保権ではなくて複合的な権利集合体としてとらえている子とっをここで確認してから解説に入る。

3.1.対内的効力

3.1.1.設定者の権利義務

3.1.1.1.充当義務

通説「補充義務」は、とにかく種類物として補充さえすればよいという程度までであるが、充当義務は、流動動産を価値的側面からとらえたときに、譲渡担保設定契約締結時のその価値性を維持するために、課される義務である。確かに、厳密にその流動動産を固定するわけではなく、信義則上許される反居合いにおける変動が許容される(限定的浮動性)。この義務は担保権者の流動動産に対する取得期待権と交叉するので、物権的請求権といえるだろう。

3.1.1.2.枠内動産処分権

譲渡担保一般における所有権的処分権に似ているように思われるが、流動動産譲渡担保におい目的物に価値としての枠をおいての、その価値の枠を保証しながらも、それに引き該る目的物は流動、つまり処分されることが重要卯なのであり、この点でかなり独特な権利といえる。譲渡担保一般では目的物を第三者に譲渡した場合は、その期待権のみが移転するという風に理解されるが、流動動産譲渡担保においては、有効な譲渡として解される。よって設定者は枠の設定された価値を保ち続けるかがりで(充当義務)、有効な処分権を持っている。

この処分権は、設定者の期待権に相当することから、特約によって過度に制約してしまうことは譲渡担保に求められる機能と公平性を阻害してしまうので、過度な制約は認められない。

3.1.1.3.受戻権・取戻権

譲渡担保一般に同じである。

3.1.2.担保権者の権利義務

3.1.2.1.第一段階

3.1.2.1.1.価値充当請求権

流動動産の価値を一定に保つように請求する権利。所有権取得期待権から生じる物権的請求権

3.1.2.1.2.目的物調査権

価値充当請求権に付随して、目的物の状況を把握のために定期的、臨時的調査や帳簿の閲覧権、または目的的物について問題が生じたときの遅延ない報告を請求できる。これは設定者が負う義務の裏返しであると考えられ、設定者は善管注意義務より強い義務を負っていると言えるだろう。

3.1.2.1.3.所有権取得期待権

基本的に譲渡担保を物権的期待権の交叉として構成する福地説において担保の機能を相当するものである。

3.1.2.2.第二段階

第二段階つまり私的実行段階に移行するには、被担保債権の履行が期待できなくなることがその要件となるのは、譲渡担保共通であるが、特に流動動産であり価値の側面からみて、その価値の保全ができなくなったとき、つまり充当義務の懈怠を民法137の「毀滅・減少」または、担保提供義務の不履行として私的実行に移れる。加えて期限の利益喪失についての特約がある場合それに従う。

3.1.2.2.1.優先弁済権

3.1.2.2.2.清算義務

譲渡担保一般に同じ。

3.2.対外的効力

3.2.1.流動動産の第三者

2.2.1.1.第三者物の流動動産混入

この場合、この物は譲渡担保の目的物とならない。

2.2.1.2.所有権留保付き物の混入

(割愛)所有権留保の法律構成次第である。留保を優先すれば(第三者の留保権を所有権に近づける)、前述の第三者物の流動動産混入と同じ結果になる(判例)。対して、留保権を譲渡担保における期待権的に解するのならば、流動動産譲渡担保の第一段階においては競合せず、第二段階においてのみ競合することになる。

2.2.1.3.動産売買先取特権付き物の混入

2.2.1.3.1.333条適用

第三取得者とは所有権ぬ取得者のみであり、引き渡しは占有改定で足るとする。この上で譲渡担保は、この要件を満たすので、333条が適用されて、先取特権行使はできないとする。

2.2.1.3.2.担保権競合

先取特権と譲渡担保権が競合しその競合を別な基準で判定する。流動動産譲渡担保において、本校で依拠している説(二段階説)では、第二段階で初めて競合することになる。

3.2.2.設定者側の第三者

3.2.2.1.一般債権者による差押え

流動物の価値枠を減じるのであれば、第三者異議が可能であるが、減じるので内のあらその利益はないので第三者意義を行使し得ない。


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