下絵転写 9月10日(第9回目)

下絵の準備

まず、原寸大の下絵を準備します。下絵の上部をテープで留め、下絵をめくってパネルが覗けるようにします。

転 写。

転写には下絵の間にカーボンを挟んだり、裏を鉛筆で汚してなぞった跡を残す方法があります。しかし石膏下地は柔らかいので、なぞった跡がハッキリ残り、特に何もしなくても良いと思います。むしろ、不注意で、余分なところを黒鉛で汚したりする危険の方が大きいので、そのままにします。

赤色ボールペンで下絵の上から強くなぞります。

刻み線を付ける。

全て転写し終えたらニードルなどで金箔と彩色部の境目を刻線します。

墨でデッサンを固定するのもこの段階で行います。面相筆と墨の含みのコントロールを上手くしないと、画面が汚れるので、注意します。光の角度で充分形を確認できるので省いても構わない作業です。

箔下とのこの準備

右側から箔下とのこ・水・膠水

粘土状のとのこをビーカーに移し、水に溶きます。膠水を少量混ぜ、糊を利かせます。乾燥させて粉が着いてこない程度。膠がきついととのこが割れます。逆に少ないと箔置きの水でとのこが溶け出し、磨けなくなります。

膠は前日に膨潤させておきますが、急ぐときは電子レンジを使うと便利です。

箔下とのこ塗り 9月17日(第10回目)

とのこの濃さはこの程度?今回使用したのは、シャボネール社製の赤口です。この他に黒口があります。以前ルフラン社のアシェットがあったのですが、現在は製造中止になっています。

箔を置く部分より大きめにはみ出して塗ります。

2回目を塗ります。

乱れ塗りが基本です。また、刷毛は浮かせて、1回目の層を動かさないように穂先で塗ります。強くこすってはいけません。筆はパステルで使用する毛の柔らかいものを使用します。

急ぐときはドライヤーで乾燥させます。塗れ色が取れたら、次の塗りが出来ます。

薄く、丁寧に、とのこを均等に塗ります。石膏地の平滑な面に肌理を整え、上に置かれる箔と、石膏下地の間にクッションを挟む役目を果たします。凸凹を付けないよう注意します。とのこは石膏に比べ弾力があるので、回数を重ねて塗り、鏡面状態に近づけて行きます。

今回は3回で終わりにして、磨きに入ります。

磨きに使う瑪瑙棒

上2本は金属のつや出し用に市販されているもの。1本1200円程。下の2本は画材店で入手。1万円前後。勿論今回は上の2本を使います。

この他にお土産用に売られている四角い石も使いました。

磨き

最初は軽く、全体を磨きます。力を均等にバランス良く磨きます。

磨き終わり。

仕上げの磨きは、石の幅が広い扁平なものを使います。この石は国立科学博物館のミュージアムショップでお土産用に売られていたもので、300円でした。徐々に光を増し、家具の木目の質感に近づきます。

道具の仕立て 9月24日(第11回目)
進度差が出てきたので、進んでいる生徒にこれから使う道具を自作させる事にします。

箔台を作る。

用意するものは、板・脱脂綿・太鼓鋲・金槌・キャンバス張り器

脱脂綿は契らず、なるべくそのままの形で敷きます。厚く且つ、堅く敷くのがコツです。板はある程度厚みが無いと困るので、桐の集成材が軽くベストです。ランバーコアよりも軽く、しかも、安価で言うことありません。 

中心から外に向かって、キャンバスを張る要領で行います。

完 成

バックスキンは960円でした。

箔あかし台

こちらは、箔あかし用の台です。板は何でも良いのですが、桐の集成材が軽く安価でお勧めです。木綿の布をホチキスでぴったり張ります、


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箔あかし 10月8日(第12回目)

箔置きには2つの方法があります。今回は、箔を和紙にあかしてから置く方法をとります。磨きに耐えられよう箔は2枚重ねますが、最初の箔はあかさず、箔刷毛で置いていく方が効率的です。しかし、箔切り〜箔置きまでは箔が単体で慣れるまではなかなかうまくいきません。

そこで、

日本画の方法で行います。箔をあかすと箔が格段に扱いやすくなる利点があります。しかし、和紙が濡れると箔が和紙から剥がれず、面倒なことになります。水に付いた瞬間端から剥がすタイミングと、水を逃すコツが難しいところです。

箔鋏で上の和紙をめくる。
箔台にポマードの油分を付ける。バレンで和紙に油分を移します。箔台の手前に和紙。奥にポマードが少量塗られています。
バレンでポマードを擦り、次に和紙を擦ります。油分が和紙に移り、箔を和紙に仮り止めさせます。油分が多いと和紙から離れなくなり、逆に少なすぎると逆さにしたときに和紙から剥がれ、使い物になりません。

油分の付いた面を箔に重ね、竹箸で上からなぞります。

これを必要枚数繰り返す。今回は一人10枚づつ作ります。手際の良い生徒で30分、縮めたり皺にしたり、飛ばしたり苦戦しながら、1時間ほどで全員あかし終わりました。

厚紙、教科書に挟んで、保存します。


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箔置き10月16日 (第13回目)

水を引きます。箔1枚の大きさに水を引きます。水がはじかれて、塗りにくい時は見ずに少量のアルコールを混ぜます。
表面張力で水が画面から盛り上がります。たっぷり水を含ませ、筆先で水の表面を引っ張るように拡げます。
1枚目の箔を置いたら、画面を斜めにして水を逃します。すると箔はピンと張り、画面に密着します。2枚目の箔を置く準備をします。
2枚目の箔を置くための水を同様に引きます。
箔が置かれる度毎に画面を斜めにして、水を逃します。

小さな所は鋏で適当な大きさに切って、使います。

写真のように箔の対角線を持って、水の上に静かに置きます。

和紙が全て水に濡れる前に箔から剥がします。この写真の場合、和紙ごと画面に張り付き、上手く剥がれず苦戦しています。

細かな作業はピンセットを。

竹鋏からピンセットに持ち替えます。紙の隅を摘んで箔だけ残して、紙を取ります。

先に置いた箔に重なるように箔を隙間無く貼り詰めます。細かな貼り残しや、破れも補修しながら進めます。
2度目の貼りを行います。

水も抜けて箔が落ち着いたところで、2枚目の重ね貼りをします。

強く息を吹きかけ、箔を曇らせます。

曇りが引かないうちに箔を乗せ、竹箸の腹で中の空気を押し出します。
脱脂綿で満遍なく押さえてから、和紙を剥がします。

全貼り終えました。磨きは次週です。

箔を置くときに一番難しいのは水の分量です。どの場書にも均等に水が吸われないと磨くタイミングがずれます。コツを掴むまでは生乾きの場所を磨いてしまい、下地を壊して修復不可のにしてしまいます。そのため、磨きは完全に乾かしてからが良いようです。勿論、下地が半乾きの状態で、ある程度柔らかい方が、とのこの凹凸を磨き込め、より平滑に画面を磨けます。つよい光を得られる訳です。

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