信州の鎌倉(塩田平)と「無言館」を訪ねて (2009年11月14ー15日)


 〈大先輩に触発された旅〉

例年のサマフェスに代わって、紅葉の信濃路を行くことになった。
とはいっても、労演の旅行だから、戦跡などを訪ねることに――。
初日は松代の大本営跡、2日目には無言館と、山本宣二の碑。


大本営は、地元のボランティアガイドさんの案内を受けた。
初めての私は、その規模の大きさに目がテン!
 トンネルが崩れ落ちない硬い岩盤、その岩盤を掘るのだから、どんなに困難だったろうと思い(1日1.5mくらいしか掘り進めなかったとか)、 数万の朝鮮人が連行され、死に至るものが多かったとか、それを指揮したのが彼の西松建設だったとか、敗戦が決定的になり、大本営が必要でなくなると、資料類を全て焼却して、 証拠が残らないようにしたのだとか、知識が豊富に……
何よりも悔しいと思ったのは、この大本営を完成させるために、沖縄戦が強いられたらしいこと。
天皇が戦後現地を訪れたとき、「バカな穴を掘ったらしいね」と言われたとか。
天皇の御座所も近くに建設され、地下の御座所は、気象庁の観測所に今はなっているというのにね。






ところで、この旅を通しての一番の賜物は、元気な大先輩と出会ったこと。80歳のマリコさんと70歳代の西岡さん。
1日1万歩は歩くというマリコさん、膝に金属が入っているという西岡さん。
付き添いもなしで参加され、大本営の長い長い距離を歩かれ、翌日もお元気で、皆と同じ行動をされたことに、賛嘆を禁じ得ません。
凛としてステキでした。
私の母など、70歳過ぎには、他人に頼ってばかりで、ヒヨヒヨしていましたもの。私の将来の目標に!

旅は、最初は景色、次に食べ物、そして究極は人との出会い≠ニいっていた人がいましたっけ。
新しい人との出会いだけでなく、知っている人の違う面に出会うのも楽しい。
『月光の夏』が音楽家のタマゴの話であり、無言館は美術家のタマゴの遺作を集めたものなので、どれも、痛ましいという思いで見学した。


無言館見学の後、少し沈んでいた気持ちを、お昼のきのこ汁が温かく迎えてくれた。それを企画してくれた嶋田さんに感謝!    (S)

国宝 安楽寺・八角三重塔


 
東京労演の紹介に戻ります。