東京労演
2009年 上半期 作品紹介
一 月
●『霞晴れたら』 (民 藝) 作/ふたくちつよし 演出/中島裕一郎 出演/西川 明 戸谷 友 白石珠江 箕浦康子 人気作家ふたくちつよしの書き下ろしを上演。『あした天気になあれ』につづく連作、期待の爆笑第2弾です。 「病室」という特異な場所で生まれる患者同士のおかしな交流。 おかしくも切ない人間ドラマが浮かびあがります。 近くて遠い隣人、ふとした行き違いを重ねる夫婦。理解しあえない親子や家族。 ごくささやかな営みをモチーフに、現代社会特有の人間関係が作者の新しい感性で見つめ直されていきます。 とある地方病院。舞台となる入院患者4人の女性部屋には、春のうららかな陽射しが差し込んでいます。 しかし静かな編みもの生活も、イヤホーンをつけて歌う娘や新米看護師の噂ばなしに中断され、ちいさなバトルの日々がつづいていく。 カーテンごしに聞こえる訳あり夫婦のひそひそ話。 深夜に響くいびき合戦、はたまた紅いネグリジェ事件? やがて患者同士にはこころの交差も芽生えて……。 1月21日〜2月1日 紀伊國屋サザンシアター ●『天草四郎』 ―四つの夢の物語― (わらび座) 作/ 長谷川康夫 演出/井上思 作曲・音楽監督/ 甲斐正人 出演/碓井涼子 岡村雄三 丸山有子 宮本昌明 森下彰夫 田郷真友 荒川洋 和田覚 安倍幸太郎 太田貢 すべては家康のキリシタン弾圧により、天草から追放された外国人神父の預言から始まった。 「今から26年後、この地に善き人現れるだろう。 その幼き子は、習わざるに諸事をきわめ、やがて野山に白旗をたて諸人の頭に十字架(クルス)をたてるだろう」 そして26年後、島原と天草でキリシタンの農民たちがいっせいに蜂起。 その先頭に立つ鎧姿の美少年こそが 天草四郎時貞と名を変え、男の姿になった16歳の志乃だった…。 「自由・平等・平和・愛」の四つの夢を求めて……。 1月27日〜2月1日 東京芸術劇場 ●『村岡伊平治伝』 (俳優座)
作/秋元松代 演出/安川修一 出演/河野正明 小山力也 川井康弘 河内浩 井上薫 佐藤あかり 生原麻友美 荒木真有美 他 儲け仕事を求めて伊平治は大陸に渡った。明治20(1887)年、伊平治は天神の床屋で仕込店員として働いていた。 そこで同郷のしお子と再会するのだが、彼女はイギリス人の褄に身を落としていた。 しお子の境遇を知った伊平治は「一緒に内地に帰ろう」と告げる。 しかし上原陸軍中尉の供で満州密偵旅行に無理矢理連れていかれてしまう。 十年後密偵の任務を終えた伊平治が上原から報償として受けとったのは日章旗しかなかった。 一年後、伊平治はアモイで売られた女たちを助けるために働いていた。 しかし村岡海員宿泊所は襲われ、金も底をつき追い詰められた伊平治が出した結論は 「女たちを売りとばして南洋開発の人柱になろう、国家発展の露払いになろう」。 そして伊平治はシンガポールへと向かう……。 1月8日〜18日 俳優座劇場
二 月
●オペラ ネズミの涙 (こんにゃく座)
台本/鄭義信 作曲/萩京子 出演/東 相原智枝 岡原真弓 井村タカオ 富山直人 野うるお 田中さとみ 宮瀬晃 中島正貴 ピアノ 服部真理子 西 川鍋節雄 梅村博美 佐藤敏之 佐藤久司 太田まり 島田大翼 西田玲子 北野雄一郎 ピアノ 榊原紀保子 舞台は縁の下の戦場か?あっちこっちの前線を旅して回るテンジクネズミの‘天竺一座’。 座員は、父親マンガン、母親スズ、息子チタン、娘リンのたった4人の家族だけ。野ネズミの軍曹、娼婦のネズミもまきこみ演じるのは、ご存じ「西遊記」。 気弱な野ネズミの兵隊はリンに惚れて旅回りについてくる、チタンは軍隊へ入り、一座と離れてしまう。戦争は続く……家族の悲しい歌も増えていく。 それでも‘天竺一座’愛と笑いと涙の舞台は続く……。 そんな鄭義信の描く色濃い世界をオペラに仕上げるのは、萩京子の音楽。サムルノリ(朝鮮半島の4種の伝統打楽器を使った演奏スタイル)もとりいれ、パワフルに展開します。 そして、豊富なキャラクターのこんにゃく座歌役者たちによるダブルキャスト 2月12日〜2月15日 世田谷パブリックシアター ●ブレヒトの『アンティゴネ』 (東京演劇アンサンブル)
作/ベルトルト・ブレヒト 訳/谷川道子 演出/志賀澤子 出演/原口久美子 神成美忍 公家義徳 松本暁太郎 伊藤克 尾崎太郎 真野季節 名瀬遙子 奈須弘子 浅井純彦 濱恵美 竹口範顕 熊谷宏平 篠澤寿樹 他 オイディプスの娘アンティゴネは、王クレオンの始めた鉱脈を狙う侵略戦争で長兄を失い、 次兄はその悲惨な死を目の当たりにして戦線から離脱し、裏切り者として殺された。 見せしめに砂漠に死体を晒された次兄を、アンティゴネは禁を破って埋葬しようとし、捕えられる。 アンティゴネのクレオンに対する抗議は、次第にこの戦争の真の姿を露呈させていく・・・。 ブレヒト版『アンティゴネ』は1948年初演。当時の権力機構を暴き、それにおもねる人々を 描いた傑作。しかしこの構図はまさに「いま」の世界をあぶりだす。 ブレヒトの問題作に志賀澤子と東京演劇アンサンブルが挑む。 2月12日〜14日 俳優座劇場 ●『千羽鶴』 (文化座)
原作/コーリン・トーマス 翻訳/吉原豊司 潤色/比佐 廉(東京スウィカ) 演出/磯村 純(青年座) 出演/有賀ひろみ 沖永正志 白幡大介 瀧澤まどか 青山真利子 小林悠記子 長束直子 姫地実加 高橋未央 水原葵 広島で2歳の時に被爆、10年後に原爆症を発症し12才の若さで亡くなった佐々木禎子(ささき さだこ)さん。 病気と闘いながら快癒を願い千羽鶴を折り続けた彼女は、広島平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルとなり、 今や平和祈念の象徴として世界中に知られる存在となっています。 文化座は1985年、この佐々木禎子さんと核に怯えるカナダの少年の話から成るカナダの戯曲『千羽鶴』を上演しました。 しかし、今。冷戦構造が終焉し、戦争の世紀といわれた20世紀が幕を下ろしても、テロやその報復、 民族や宗教の対立、独裁国家の存在など、世界から戦争やその種子の絶えることはありません。 そしてあの悪魔の核兵器もその存在を依然誇示し続けています。 文化座は戦争を自ら体験した数少ない劇団として、戦争と日本人にこだわり続けてきました。 現在の世界状況に対して、また若い世代への継承をめざして、 『千羽鶴』に新たなスタッフ、キャストでぶつかっていくこととなりました。 2月12日〜18日 文化座アトリエ
三 月
●『ドライビング・ミス・デイジー』
(民藝)作/アルフレッド・ウーリー 訳・演出/丹野郁弓 出演/仲代達矢 奈良岡朋子 他 奈良岡朋子と無名塾・仲代達矢との初の舞台競演で大きな反響を呼んだ『ドライビング・ミス・デイジー』。 誇り高い未亡人デイジーと、黒人運転手ホークとの25年間にわたる友情を描いた舞台は、2人の絶妙な演技により、 芸術祭大賞をはじめ多数の演劇賞に輝きました。 2005年のの初演以来日本全国に感動を呼び起こしました。全国ツアーを終えファイナル公演。 3月12日〜17日 東京芸術劇場中ホール ●『ハンナのかばん』
(銅鑼)脚本/いずみ凛 演出/モニ・ヨセフ 出演/谷田川さほ 佐藤文雄 郡司智子 栗木純 館野元彦 馬渕真希 他 ポーランドのアウシュビッツ博物館から東京のホロコースト教育資料センターに届いた茶色い古びたかばん。 かばんには、1931年5月16日生まれドイツ語で「孤児」と大きく書かれていました。 ハンナはどんな女の子だったの? 様々な場所で、あなたと一緒にハンナを探す旅がはじまります。 3月12日〜15日 東京芸術劇場小ホール2
四 月
●『風のセールスマン』 (トム・プロジェクト) 作/別役実 演出・出演/柄本明 別役実の新作は柄本明のひとり芝居。 柄本明の演技は、どんな役柄も自分自身に引きつけるところに特徴があります。 かれの笑いのツボにはまると、たちまち柄本ワールドの虜になること請け合い。 4月8日〜20日 紀伊国屋ホール ●『赤い城 黒い砂』
シェイクスピアの「二人の貴公子」より(松竹) 作/シェイクスピア/J.フレッチャー 脚本/蓬莱竜太郎 演出/栗山民也 出演/片岡愛之助 黒木メイサ 中村獅童 他 二人の男の愛憎劇、それに関わった人間たちのドラマ。 草原が広がる広大な大地に二つの国があった。赤国(せきこく)と白国(はくこく)。 二つの国は絶えず戦争をしていた。 白国の英雄カタリとシンパ、二人は「白国の獅子」と詠われていた。 冷静沈着な男ジンク。自信家のカタリ。 人は無二の親友として育ち、戦場では目を見張る活躍ぶりを見せていた。 赤国にも「赤国の魔女」という異名をもつ王女ナジャが戦場で活躍していた。 ナジャの美貌とその剣伎の美しさに心奪われるカタリ。 運命の出会い。 そこへ、突然の閃光!訪れる静寂! 赤い国の兵器により、黒く焼き爛れた大地。 そうして三人は、荒れ狂う運命に巻き込まれていく…。 4月12日〜23日 日生劇場
五 月
●『翔べ!イカロスの翼』 (東 演) 原作/草鹿宏 脚色/いずみ凛 演出/佐々木雄二 出演/南保大樹 飯田光 小池友理香 腰越夏水 星野真広 光藤妙子 土橋隆弘 姶良勇一 奥山浩 尾崎節子 能登剛 古川慎 江上梨乃 他 サーカスでの青春群像を描いたノンフィクションは、映画やTVドラマにもなった作品。 東演でも1986年以来実に」10年に及ぶロングランとなった財産演目。 カメラマン志望の若者がサーカスの写真を撮るべく飛び込んでいくが、やがてその世界で生きていくことを決意する。 そしてピエロに青春のすべてをかけ、工夫し、訓練を重ね、花形スターへと駆け上がっていく。 イカロスが太陽を目指すように……。 劇団創立50周年記念公演第2弾として、新たな脚色・演出で挑む。 5月12日〜5月15日 紀伊国屋サザンシアター ●『来年こそは』 (民藝) 作/アン・チスレット キース・ロウルストン 訳/吉原豊司 演出/高橋清祐 出演/樫山文枝 彼岸喜美子 杉本孝次 水谷貞雄 他 (あらすじ) 土地を愛し農業を慈しむカナダの農家が、投資効率だけを追ってビジネス化を謀るアメリカ金融資本に蝕まれてゆく姿を骨太に描く。 農業の将来!いま世界的に問題となっているテーマを扱いながら、展開するのは草の根に生きる人びとの日常。 「土に生きる喜び」を伝え、守り抜いていく一家の心温まるドラマ。 5月11日〜22日 紀伊国屋サザンシアター ●『蟹工船』
(俳優座) 原作/小林多喜二 脚本・演出/安川修一 演出/高橋清祐 出演/樫山文枝 彼岸喜美子 杉本孝次 水谷貞雄 他 「おい、地獄さ行ぐんだで!」男たちはそう言って蟹工船に乗り込んでいった。 ソビエト領カムサッカの領海に侵入して蟹を取り、これを加工して缶詰にするために仕立てられた蟹工船博光丸は他の蟹工船と共に函館を出港した。 博光丸には季節労働として雇い入れられた百姓・坑夫・漁師・土方・学生たちが糞壺のような船室に入れられていた。彼らは全ての人間的権利を剥奪されて、会社の利潤と定刻の「国策」のために酷使された。 博光丸に会社から派遣された監督の浅川は、友船のSOSを無視し、他の船が張った網を引き上げてその収穫を横取りするなどの卑劣漢で、船で働く労働者にも自分の成績を上げるために過酷な残業を強いた。 浅川の非人間的扱いに耐えかねた何人かは自然発生的にサボに入るがやがて幾人かの代表のもとに彼らの怒りと憤りはストライキに発展する――。 しかし、成功するかに見えたストライキは蟹工船を護衛していた駆逐艦から乗り込んできた水兵によってストライキの首謀者10名が連行されてしまう。 蟹工船に残された者たちは・・・。 5月16日〜21日 俳優座劇場
六 月
●『四角関係』 (NLТ) 作/クロード・マニエ 訳/梅田晴夫 演出/池田政之 出演/山口馬木也 木村有里 川島一平 真堂藍 他 パリのマンションの1室を文無しの画家ブレーズが、持ち主がスキー旅行に行く2週間だけ借りる事になった。 しかし家賃の持ち合わせがないので、小切手を切るが、彼の計略が果たせなければ小切手は不渡りとなり犯罪者の仲間入り……。 ところが目論見はどんどん外れ、大騒動になる−−。 6月25日〜7月7日 博品館劇場 ●『nine』 (俳優座) 作/小原延之 演出/山田潤 出演/中吉卓郎 巻島康一 松島正芳 蔵本康文 八柳豪 斎藤深雪 田野聖子 荒木真有美 ほか 2006、北朝鮮のミサイル発射や核実験の時期。原発と拉致現場がある北陸のミニFМ局。 徳番として高校生の番組を作る企画が挙がり、地元高校の放送部長・剛が書いたラジオドラマを放送することになる。 しかし、放送日に、核実験が北朝鮮で行われた。 実は剛は在日朝鮮人であるため、その日に嫌がらせを受け、学校内で傷害事件を起こしてしまう本人の希望により放送は中止になった。 北朝鮮やイラクを通して国家、差別、戦争についてラジオ局の社員や記者、掲示板に書き込むリスナー等の本音がぶつかり合っていく。 その中に頻繁に書き込まれるラジオネーム「九番」。その正体は……。 6月17日〜25日 シアターχ 6月の公演日時の詳細はここをクリック
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