東京労演
2010年 上半期 作品紹介
一 月
●『どん底』 (俳優座) 原作/М・ゴーリキー 脚本・演出/安川脩一 出演/可知靖之 中野誠也 伊東達広 村上博 河野正明 島英臣 内田夕夜 来路史圃 他 時は明治初期、所は江戸あらため東京の崖下に捨てられたように朽ち果てんばかりの裏店を舞台に、 今年5月に小林多喜二の「蟹工船」の安川修一の脚本・演出で俳優座版「どん底」をお贈りします。 貧困や失意、貧困や失意、絶望しながらどん欲に生きようとする住人達のエネルギーを “ええじゃないか”のリズムにのせて舞台化するスリリングな群像劇「どん底」にご期待下さい。 1月8日〜17日 紀伊國屋サザンシアター ●『冬のライオン』 (幹の会+リリック) 作/J・ゴールドマン 訳/小田島雄志 演出/高瀬久男 出演/平幹二朗 麻美れい 三浦浩一 廣田高志 小林十市 城全能成 他 西ヨーロッパに強大な国を築いたイングランド国王ヘンリー二世。 フランス王妃だったエレノアを妻に迎えることで広大な領地を手に入れ、地位と権力を手の入れた。 ヘンリー二世は後継者問題に決着をつけようと一族を招集した。 王の寵愛を失い、幽閉の身となっているエレノアと王位を狙う3人の息子たち。 誰を愛し、誰を信じ、誰が裏切るのか――。宮廷のクリスマス。 孤独を噛みしめたヘンリー二世は息子たちを地下牢に閉じ込め、剣を握るのだが――。 1月15日〜24日 東京グローブ座 ●『巨匠』 (民藝)
作/木下順二 演出/内山鶉 出演/大滝秀治 梅野泰靖、水谷貞雄、鈴木 智、塩屋洋子 他 戦時下のポーランド。旅回りの老優がゲシュタポの銃口の前で最後の選択を迫られる。 簿記係として生き残るか、マクベスを演じて銃殺されるか。舞台は感動のクライマックスを迎える……。 老人は、何ゆえに命を賭けてまで「俳優」であることを証明しようとしたのか? 1月22日〜2月9日 俳優座劇場
二 月
●三文オペラ (こんにゃく座)
作/ブレヒト 訳・脚色・演出/加藤直 出演/大石哲史 高野うるお 梅村博美 太田まり 酒井総澄 青木美佐子 岡原真弓 川鍋節雄 他 「三文オペラ」は、オペラと演劇の中間に位置する作品として、演劇、音楽劇、オペラといった様々な様式によって世界中で上演されています。 しかし、いわゆる西洋オペラの歌い方では、作品の魅力を全て表現できるものではなく、 又、ミュージカルと銘打たれた公演では、歌唱のバラつき、アレンジの貧弱さ等を演出面で補っているのが現状と言えます。 劇中歌をはじめとしたブレヒトの詩によるソングを、日本語訳にのせて30年に渡って日常的に歌いついで来た私たちこんにゃく座。 既存のオペラの概念を打ち砕き、今日の世界を映し出す鏡としてのオペラのちからを信じ、数々の新しい日本のオペラを創造し 公演活動を重ねているこんにゃく座が、『三文オペラ』を上演しようと思い立つのは自然な成り行きでもあり、 もっとも相応しく適した団体であると言っても過言ではありません。 23名の歌役者と6名の楽師たちで奏でる、これぞ「三文オペラ」 わたしたちは『三文オペラ』の決定版を創り出したいと思いこの作品に挑みます。 2月4日〜7日 世田谷パブリックシアター ●『藤島土建』 (トム・プロジェクト)
作・演出/中津留章二 出演/前田吟 角替和枝 山崎銀之丞 富樫真 ひわだこういち 【あらすじ】とある田舎の土木業者、藤島土建。 一代で会社を築いた社長である父親と、社名に土建という言葉が入っている事を恥じる専務の息子。 土木作業員をいまだにドカタと呼び続ける父を、息子は、心で、軽蔑していた。20年が経った…。 息子は社長となり、社名を藤島土木に変えていた。 けれども世間では、すでに土木という言葉が、自主規制用語として扱われ始めていた……。 2月20日〜28日 本多劇場 ●『シャンハイムーン』 (こまつ座)
作/井上ひさし 演出/丹野郁弓 出演/村井国夫 有森也実 増子倭文江 梨本謙次郎 小嶋尚樹 土屋良太 舞台は昭和9年8月から9月にかけての上海、場所は友人であった内山書店の二階。 『阿Q正伝』『狂人日記』などで知られる中国の偉大な文学者・魯迅。小説のみならず翻訳、詩や論文など幅広い文筆活動を行っていた魯迅は当時の文学革命、思想革命の中心的な指導者でした。 しかし、時代は混迷の極みを向かえ、弾圧の風吹き荒れる中でついに魯迅にも蒋介石の国民党政府より逮捕令が出されました。 逃避生活を余儀なくされた魯迅は妻と共に日頃より親交のある内山書店の内山完造、みき夫妻に匿われることになりますが、 魯迅の体は病気の巣窟でした。しかも魯迅は大の医者嫌い。 絶対に自分から診察を受けようとしません。一計を案じた内山夫妻は医者の須藤五百三と歯医者の奥田愛三の両医師はそれぞれ大の魯迅フアンと肖像画家に成りすまして魯迅に近づき診察を試みます。 ところが、奥田が使用した笑気ガスがもとで魯迅は人物誤認症や失語症と奇態な病気に取りつかれてしまいます。魯迅を救おうと内山夫妻と二人の日本人医師は病の根源を突き止めようと悪戦苦闘を繰り広げるのですが… 音を立てて変わり行く激動の中国で国を憂い家族を思い、そして文学に対する情熱を燃やし続けた魯迅が七転八倒の苦しみの中から見つけ出すものは。 日本を心底憎みながら日本人を心から愛した魯迅。これはこの魯迅とその妻と彼の臨終に立ち会った四人の日本人が激動の中国を舞台に繰り広げるおかしくも哀しい物語です。 2月22日〜3月7日 紀伊國屋サザンシアター
三 月
●『染(そめ)模様(もよう)恩愛(ちゅうぎの)御書(ごしゅいん)』
(松 竹)出演/市川染五郎 市川猿弥 市川春猿 市川段治郎 上村吉弥 片岡愛之助 本作は、燃え盛る宝蔵に飛び込み、お家の重宝を割腹した腹中に入れて守った、という細川家家臣、大川友右衛門の伝説をもとにしています。 通称「細川の血達磨」と呼ばれ、衆道(男色)というテーマも相まって人気を得、外題と趣向を変えて江戸時代から戦前まで幾度も上演を重ねました。 そして、古典と現代の最新技術が融合することによって、幻の傑作に新たな命が吹き込まれました。 2006年の大阪での復活の好評を受け、ついに東京にやってくる。 日生劇場 ●『王子の狐 かぎをくはえて』
(文化座)作/瀬戸口郁 演出/西川信廣 出演/佐々木愛 青木和宣 小林悠記子 春稀貴裕 東京の王子にはお稲荷様の関東総司・王子稲荷神社がある。 近世、稲荷信仰の高まりと風光明媚な土地柄もあり、王子は江戸の郊外でありながら参詣や物見遊山の人々で賑わっていた。 さて時は幕末、安政の頃。ペリーが来航し政治的な混乱の中安政の大獄が起こる。また相次ぐ大地震等もあり人々の受難の時代であった。 そんななか、人々の蠢く王子の縄暖簾「鶴亀屋」を舞台に、どっこい生きていく者たちの可笑しくもパワフルな人間模様が繰り拡げられる。 「てけれっつのぱ」の脚本・演出コンビが再びタッグを組み、文化座の地元・北区発の庶民のエネルギー溢れる舞台。 北とぴあ つつじホール ●『木槿の咲く庭』
(前進座)作/リンダ・スー・パーク 訳/柳田由紀子 脚色/金子義広 演出/十島英明 出演/いまむらいづみ 志村智雄 武井茂 浜名実貴 竹下雅臣 他 日本に統治され、すでに30年近く、1940年頃の朝鮮。スシヒィとテヨルの兄弟は、両親と叔父の5人暮らし。 言語は日本語を強要され、兄弟はハングルの文字も読めない。 創氏改名令、朝鮮の国木である木槿(むくげ)を抜き、桜に植え替える等、日本化する法令が続き、ついに太平洋戦争が始まる……。 抗日運動をしている叔父、軍に入隊し、朝鮮人には特攻出来る勇気はないと思われることに反抗して、特攻隊に志願してしまうテヨル。 終戦、残った家族は、平和を願い一本の木槿を庭に植える……。 前進座劇場
四 月
●『ホームカミング』 (演劇集団円) 作/ハロルド・ピンター 訳/小田島雄二 脚色・演出/大橋也寸 山口真司 石田登星 石住昭彦 吉見一豊 朴?美 吉澤寅彦 英国を代表する劇作家であり、2005年にフランツ・カフカ賞・ノーベル文学賞を受賞した、 ハロルド・ピンターの代表作のひとつ“帰郷”を、演出の大橋也寸が翻案・上演します。 ロンドンの場末に暮らす、男世帯の家に、アメリカで学者として成功した長男が妻を伴って帰ってくるところから物語は始まる。 ステージ円 ●『そしてナイチンゲールは歌う…』
(民藝)作/C・P・テイラー 訳・演出/ 丹野郁弓 出演/日色ともゑ 桜井明美 中地美佐子 他 第2次世界大戦の始まった日から、ヨーロッパ戦勝記念日までの家族の生活を描き、嵐のような時代に翻弄されながらも、 確かに生きる労働者階級の人々を笑いとペーソスをこめて描き出した現代劇。 スコット家の人々は戦争が始まったことすら気づかずにいた。 ペットの犬の葬式に気が気でない祖父のアンディー、炭鉱夫の父はピアノに夢中、母は教会の騒動でおおわらわ、次女のジョイスは恋人にプロポーズされ……。 そんな家族を遠巻きに観察している長女ヘレン。生まれつき片足が不自由で恋愛なんて遠い話だと信じ込んでいた彼女にもやがて恋の芽ばえが。 だが、この町にも刻々と戦争の嵐が……。 紀伊國屋サザンシアター
五 月
●『赤シャツ』 (青年座) 作/マキノノゾミ 演出/宮田慶子 出演/横堀悦夫 今井和子 野々村のん 大家仁志 小豆畑雅一 田中耕二 『MOTHER』『フユヒコ』につぐマキノノゾミが青年座に書き下ろした文人三部作の一作。 みんなに嫌われている赤シャツ君を主人公に「よしよし、赤シャツ君よ、僕の芝居であんたをグッと男にしてやろうじゃないか。」 というマキノさんらしい男気から出発しています。 『坊ちゃん』の裏側で生きた赤シャツ。彼の苦悩こそが100年後の我々の悩みでもあることを実感させられます。 夏目漱石の国民的小説『坊ちゃん』を赤シャツの視点から描いた『赤シャツ』は笑いと涙の中に隠された強烈なマキノ流文明批判なのです。 本多劇場 ●『沈黙亭のあかり』(仮題) (俳優座) 作/山田太一 演出/中野誠也 出演/中村たつ 中野誠也 他 (あらすじ) 小さな町にある小さなスナック「沈黙亭」の店主は、妻を5年前に亡くし、心因性ショックにより耳も聞こえず、口もきけない。 ただうまい酒と軽食と笑顔だけを売りに2年前からスナックを再開していた。 ある夜、店の常連客以外に一人中年の男・村田がいた。彼はひそかに自分が思い描く計画にこのスナックがふさわしいと考えていた。 村田がブログを通じ人を呼び集め、集団自殺を計画していたのだ。実は村田は犯罪者で逃亡に疲れを感じ、ただ一人で死ぬのは無念で人を巻き込もうとしていた。 やがて店主や他の客もその企てを知ることになり……。 紀伊国屋ホール ●『切られお富』(処女翫(むすめごのみ)浮名(うきなの)横(よこ)櫛(ぐし)) (前進座) 作/河竹黙阿弥 補綴/小池正太郎 演出/中橋耕史 出演/中村梅之助 嵐圭史 藤川矢之輔 河原崎国太郎 嵐広也 他 先代国太郎の悪婆の女方芸が大評判となった『切られお富』。 歌舞伎の名作『切られ与三』の切り刻まれる役を、お富に書きかえたものだが、 原作に遜色ないみごとに一途に一人の男を愛しぬき、色も悪もにおいたつような魅力的な女性を描き出します。 襲名から11年、当代の国太郎が満を持して臨む話題作!与三郎には、嵐広也。 本公演で父の名跡、七代目嵐芳三郎を襲名、劇中口上にて華を添えます。 もとは新内語りの女芸人お富は与三郎という浪人と一夜の契りを結んだが、今は絹問屋赤間源左衛門の妾の身。 やがて与三郎との仲が赤間に知られ、お富は瀕死の傷を負わせられるが……。 国立劇場大劇場
六 月
●『異聞浪人記』 (俳優座) 原作/滝口康彦 脚色・演出/金子良次 出演/加藤剛 他 彦根藩、井伊家を津雲半四郎と名乗る浪人が「切腹のためお庭を拝借したい」と訪ねてくる。 申し出を受けた家老は、金品目的の狂言切腹であろうと、「先日も庭先を借りに来た若者が無残な最期をとげた」という話をする。 実はその若者は半四郎の娘婿で、親友の忘れ形見でもあった……。 三越劇場 ●『峯の雪』 (民藝) 作/三好十郎 演出/児玉庸策 出演/内藤安彦 伊藤孝雄 安田正利 千葉茂則 他 1941年初秋。壺や茶碗を作らせたら名人と誉れ高い老陶工花巻治平は、国と会社から絶縁体の碍子を作るよう説得される。 それ以来、轆艫を離れて1年以上土をいじっていない。そんな折、出奔していた次女が疲れ果てた姿で3年ぶりに帰ってきた。 丁度この日、海軍士官として応召される親しい青年に、自慢の茶碗を餞別として渡す。軍からは新たに複雑な絶縁体の注文が来た。 治平は黙って轆艫に向かう。軍への協力課それとも次女や海軍士官と運命を共にする覚悟なのか…… 紀伊國屋サザンシアター ●『スタア』 (劇団昴) 作/筒井康隆 演出/久世龍之介 出演/内藤安彦 伊藤孝雄 安田正利 千葉茂則 他 スタア島本匠太郎と歌手の杉梢夫妻の新居披露パーティの日。 梢と家政婦、マネージャーが買い物に出かけた後に、かつて匠太郎の下積み時代を支えた女が現れ、匠太郎の子供だと赤ん坊を見せる。 彼は出て行くように頼むが出ようとしない女を思い余って殺してしまい死体を隠す。 そこへ出かけた三人も帰り、やがて招待された芸能記者達も集まってくる。 その中には梢のヒモだった男も混じっていた。そして地震研究所の犬神博士がなにやら大仰な機械をもって現れ、 この場所は地震の波動エネルギーと共振しており超空間と繋がっているという。やがて……。 俳優座劇場 6月の公演日時の詳細はここをクリック
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