東京労演
   2012年 上半期 作品紹介
      
1月 2月 3月 4月 5月 6月
 
    一     月  
 
 
●『十一匹のネコ』 (こまつ座)

作/井上 ひさし 演出/長塚 圭史 音楽/宇野 誠一郎・荻野 清子
出演/にゃん太郎………北村有起哉
   にゃん次…………中村まこと
   にゃん蔵…………市川しんぺー
   にゃん四郎………粟根まこと
   にゃん吾…………蟹江 一平
   にゃん六…………福田 転球
   にゃん七…………大堀こういち
   にゃん八…………木村 靖司
   にゃん九…………辰巳 智秋
   にゃん十…………田鍋謙一郎
   にゃん十一………山内 圭哉
   にゃん作老人……勝部 演之

 「ご飯にありついたのは一体いつのことだったかな?」野良猫にゃん太郎は、いつもおなかを空かせていた。
 空腹だけど僕にあるものは何?
 家、仕事、お金、財布、親、子どもそれとも運。どれもこれもないないづくしで何も無い。  だから野良ネコなのだ―。
 ところがある日思いもやらぬものを手に入れた。
 それはとても個性的な十匹の野良ネコ仲間であった。
 そんなとき鼠殺しのにゃん作老人に出会い、目の覚めるような話を聞いてしまった。
 一大決心、にゃん太郎を中心に十一ぴきのネコが大きな魚を求めて大冒険の旅に出た!


 1月11日〜20日 紀伊國屋サザンシアター


●『カラマーゾフの兄弟』  (俳優座)


脚本/八木 柊一郎  演出/中野 誠也
出演/遠藤 剛  児玉 泰次  中 寛三  星野 元信
    河内 浩  青山 眉子  瑞木 和加子  安藤 みどり  他
 成金で地方貴族とは名ばかりの父フョードル・カラマーゾフは物欲と淫蕩の権化のような男である。
 彼には性格の異なる3人の息子がいた。
 長男ドミートリィは退役大尉で、父親同様抑制の利かない性格で、亡き母の遺産相続に応じようとしない父親を憎み殺意を公言していた。
 彼には婚約者がいたが、グルーシェンカを愛するようになる。
 無神論者の二男、イワンはモスクワで論文や新聞記事を書いて長知られるようになっていたが、兄の婚約者カテリーナに心惹かれてゆく。
 皆に愛される性格の三男アリョーシャは敬愛する老僧ゾシマに導かれて修道院の生活に入っていた。
 やがて忌まわしい父親殺しの嫌疑が長男ドミートリィにかけられる――。

      1月12日〜19日   俳優座劇場

 
●『アイ・ガット・マーマン』 (東 宝)

作・演出・振付/宮本 亜門

★ファビュラキャスト
 エリアンナ  シルビア・グラブ  浦嶋 りんこ

★ニューキャスト
 樹里 咲穂  西国原 礼子 Мiz

 観客を虜にするダイナミックな歌声と抜群のリズム感。
“ブロードウエイの女王”ことエセル・マーマン(1908〜1984)はガーシュウイン、コール・ポーターといった大作曲家からその才能を愛され、ブロードウエイ黄金期に不動の地位を得る。
5度の結婚や娘の死など、愛する人たちとの出会いと別れが悲しみの淵に立たせても、そのたびに彼女は輝きを取り戻し、自分の全てをメロディにこめ、歌い続ける――。
     ◇
1987年―気鋭の振付師として活躍した宮本亜門が初めて作・演出を手掛けたデビュー作『アイ・ガット・マーマン』。
わずか4日間の公演は、またたく間にその面白さ、斬新さが口コミで広がり、客席は熱狂的なフアンが詰めかけました。10年の沈黙を破り再登場。

 1月14日〜18日 シアタークリエ


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    二     月  
 
●『静かな落日』      (民 藝)
作/吉永 仁郎  演出/高橋 清祐
出演/樫山 文枝  水谷 貞雄  伊藤 孝雄  安田 正利  小杉 勇二

 秋の日を浴びて本を整理する桃子と、隣室の黒々とした仏壇。夕映えのなかに志賀直哉が訪ねてくる。
 なぜか世間に背を向ける祖父広津柳浪。妻を捨て、愛人と暮らす若き日の父和。
あるいは戦後の黒い霧「松川事件」に取り組む晩年の父。
反発と戸惑い、そして父への敬慕。思いをはせる娘桃子の、美しく静かなたたずまい……。
 ドラマは、現代史のなかで遠く忘れ去られていく事件に光をあてながら、家族の愛情や、人間の信頼とやさしさ、そして人が真実に向かっていく姿勢を静かに浮かび上がらせていく。
   ○
 広津柳浪・和郎・桃子という作家三代のおかしな家族の近景をユーモラスに描く
 2月3日〜7日 紀伊國屋サザンシアター


●『雪やこんこん』    (こまつ座)
作/井上 ひさし  演出/鵜山 仁
出演/高畑 淳子  キムラ 緑子  村田 雄浩  金内 喜久夫
   今 拓哉   山田 まりや  新井 康弘  宇宙
        佐藤 麻衣子

 「一座総勢十八名、大挙来演」と看板をかかげ、人気も芸も関東一とうたわれた大衆劇団「中村梅子一座」を待つ北関東の雪深き旅館に併設された芝居小屋「湯の花劇場」。
 「こんな一座に居たんじゃ、明るい未来はありゃしねぇ」「給金代わりにかつらと衣装はいただき」と流れ流れの旅一座が小屋にたどり着いたときは、座員はたったの六名。「正月興行までなんとかもちこたえねば」女座長・中村梅子の焦りと悩みは外の雪のようにこんこんと降り積もる。
 旅館の女将・佐藤和子は、大衆演劇の大スターであったが、いや気がさしてこの世界から足を洗い旅館を切り盛りしている。
 役者の頃から尊敬していた梅子とその一座を迎え、何かと世話を焼く女将の和子と番頭の庫之介を巻き込んでの中村梅子一座の涙と人情の二日間。
      2月20日〜26日  紀伊國屋サザンシアター



●『どん底』    (東 演)
作/М・ゴーリキー 訳/佐藤史郎
演出/ベリヤーコビッチ
出演/笹山 栄一  豊泉 由樹緒 能登 剛  南保 大樹
   腰越 夏水  武正 忠明  津田 増美 他

吹き溜まりのような地下の安宿。そこには行き場のない人間たちがうごめいている。
男爵と呼ばれる男、イカサマ賭博師のサーチン、アル中の役者、帽子屋ブブノーフ、小説の恋物語を自分に置き換えいつもうっとり泣いているナースチャ、ここに落ち込んできた人間とは違うんだというクレーシチ、妻で今でも死にそうなアンナ、宿の主人コストゥリョフ、その妻ワシリーサといい仲になっているこそ泥ペーペル。
今日も宿の主人と一悶着が……そんなところへ新入りの巡礼ルカをナタシャが案内してくる……

      2月25日〜28日  本多劇場



 
    三     月  
 
●『眼のある風景』
原作/窪島 誠一郎  脚本/杉浦 久幸 演出/西川信廣
出演/靉光…………………………………………白幡 大介
藤本武士(音楽学校学生)………………沖永 正志
友さん(美術雑誌編集長)………………米山  実
串方良朗(靉光の最後を看取った男)…青木 和宣
 花岡謙二(詩人・培風寮オーナー)…………伊藤  勉
 とり子(その妻)………………………………佐々木 愛


 国立近代美術館において、ある男が鉄パイプを振るい、展示された絵画を破損させる事件が起こる。日本が誇る画家たちによるそれらの作品群のなかに、靉光のものも含まれていた――。
 昭和の初めから敗戦にかけて、、池袋とその周辺は、芸術家たちが集い、芸術の街パリに倣い<池袋モンパルナス>と呼ばれた。散在する下宿やアトリエ群の中に、詩人・花岡謙二が営むバイフー寮(培風寮)もあった。夢を追い、芸術を探求し、あるいは挫折し、そしてみな貧しかった。なかでもその力量と芸術への真摯さで存在感を際立たせていたのが画家・靉光である。
 時代が戦争へとその落下速度を増していくなか、バイフー寮の仲間たちも否応なくその渦中に巻き込まれていく。そして1944年、ついに靉光も応召して戦地に赴くことに…。
 絵を描くことに全てを賭け、そして戦争に散った靉光。そんな彼の作品が、なぜか幾星霜を経て無残にも傷つけられなければならなかったのか?
 芸術とは――、人間とは――、そして時代のなかに生きるとは――。

            あうるすぽっと


●『ホブソンの婿選び』             (無名塾)

作/ハロルド・ブリッグハウス
訳・演出/丹野 郁弓
  出演/仲代 達矢  渡辺 梓  樋口 泰子  岡本 舞  他

 舞台は1886年、イギリスの片田舎。
靴屋を営むホブソンは、豪放磊落で話し上手な反面、頑固者で寂しがりや。妻に先立たれた事で、その性格が一層色濃くなった。三人の娘を抱えてのやもめ暮らしで、鬱憤を晴らすかのごとく、毎日酒場に入りびたりで、仕事は放りっぱなし。
 長女のマギーが、そんな父親の面倒をみながら、店をとり仕切っているが、三十歳を超えて、このままでは売れ残ってしまう。
 妹のアリスとヴィッキーには、若い男たちが言い寄ってくるが、男勝りの肝の据わったマギーには男たちは近寄ってこない。
そんな毎日を送っていたところ、ある上流階級の夫人が店を訪れ、若い靴職人ウィリーを絶賛して帰っていった。
 これをきっかけにマギーは、この腕の立つ若い職人と一緒になり独立し、自分たちの靴屋を開店してやろうと、遂に口うるさい父親に反旗を翻すのである。
 これを知った父親ホブソンは、烈火のごとく怒りわめくが、マギーの決断はあっという間に実行に移され、家を出て行ってしまう。
 三姉妹が幸せになるための反乱。そのための荒療治がホブソン家に施される日が来た。
            ル テアトル銀座

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    四     月  
 


●『闇に咲く花』       (こまつ座)
作/井上ひさし
演出/栗山民也
出演/辻 萬長  石母田 史朗  浅野 雅博  増子 倭文枝
  小林 隆  山本道子  石田 圭祐  藤本 喜久子

 神田の愛敬稲荷神社に、終戦から二回目の夏が来た。
空襲で焼け落ちて神楽堂と渡り廊下の半分だけが焼け残った、神社とは名ばかりの廃屋に、神主の公麿は近所のアパートに住む五人の戦争未亡人の協力でお面口上を経営している。出征した一人息子は戦争から戻らぬままだ。
ところがある日、戦死したはずの息子健太郎が思いもかけず帰還した……。
    (紀伊國屋サザンシアター)


●『マギーの博物館』                            (民 藝)
原作/シェルドン・カリー 脚色/ウェンディー・リル  訳/吉原 豊司  演出/高橋清祐
出演/日色 ともゑ  千葉 茂則  他

1940年代末。カナダの東海岸ノバスコシア州ケープ・ブレトン島にある炭鉱町。
登場するのは、祖国の貧困を逃れてカナダに移住してきたスコットランド人一家。
移住はしてきたものの、約束の地カナダも楽園ではありませんでした。
劣悪な労働条件で、暗い地底をミミズのように這い回って石炭を掘る他には生計の道をみつけられない男たち――。
『マギーの博物館』は、祖父・父・兄・弟、そして新婚早々の夫までを、落盤事故や塵肺で次々と失った妻の物語。
     (紀伊國屋サザンシアター)

●『幸せの値段』                            (NLT)
原作/ジョン・パトリック 訳/安達 紫帆  演出/デボラ・ディスノー
出演/川端 槙二  木村 有里  岡田 眞善(客演) 他

アメリカ東部の町にある精神病院の患者用サロンが舞台。
ここにエセルという大変な資産家の入所者がやってくる。エセルの義理の子ども三人は、慈善事業である”メモリアル基金” という彼女の篤志が理解できず、その散在が許せない。
そこで義母は精神に異常をきたしたとして入院させた。
 ここの患者たちは一見すると障害がなく見えるが心の傷が深く、純粋でもろい精神の持ち主たち。
しかし純粋であるがゆえに、エセルの広い心に共感し彼女に強い親しみを持つ。
 エセルが全財産を社債に変えて隠したと知った子供たちは、隠し場所を聞き出そうとするが・・・。

     (俳優座劇場)




 
    五     月  
 

●『ハルジオン・ヒメジョオン』     (俳優座)

作/スエヒロケイスケ  演出/真鍋 卓嗣  美術/田中 敏江
出演/阿部 百合子  小飯塚 貴世江  他
 
  舞台を2050年に設定し、“いま”の日本の課題である高齢化社会、福祉、ひきこもり等々を認知症の老女とひきこもりの中年男を軸に描くスエヒロケイスケ渾身の社会派ファンタジー”
     (紀伊國屋ホール)


●『鳴神、芝浜の革財布』
                   (前進座)

『鳴神』
出演/嵐 圭史  河原崎 国太郎 他

鳴神上人は、朝廷に願い出た望みが叶えられないのを怨んで、北山の岩屋にこもり、三千世界の竜神を滝壺に封じたため、雨が一滴も降らず、天下は旱魃で苦しんでいた。
朝廷は、雲の絶間姫を鳴神のもとへ遣わし,破戒させて行法を破ろうと企てる…。
迫る米軍の上陸、自決か捕虜か。あの遠い夏の日の“愛と死のドラマ”が甦る。
戦後半世紀、秘めてきた苦悩の足跡を追う、感動小説の舞台化です。

『芝浜の革財布』
出演/藤川 矢之輔  山崎 辰三郎 他
 ここは芝浜に近い貧乏長屋―あとさき考えない呑兵衛な魚屋の熊五郎は、にっちもさっちもいかなくなり、女房のお春に手をついて、性根を入れ替えると証文をしたためるのだった。さて、その翌日。お春に見送られ浜辺に来てみると……。
(国立劇場大劇場)
『やってきたゴドー』       (名取事務所)
作/別役 実  演出/K,KIYAMA
出演/吉野 悠我  林 次樹  児玉 泰次  三谷 昇  他

世界の不条理劇の名作「ゴドーを待ちながら」のパリ初演から59年、別役実がゴドー≠登場させて、今日の状況を読み解いた傑作と言われた作品の再演。
         (俳優座劇場)



 
    六     月  
 

●『骨歌』      (トム・プロジェクト)


作・演出/東憲司
出演/高橋 長英  新妻 聖子  冨樫 真

   死んだ人の骨に細工をするという風習が残っている千坊村を舞台に、親子3人が絆を取り戻していく姿を描いた超大作!劇団桟敷童子を主宰する作演出の東憲司は圧巻のクライマックスを最大のスケールで作り上げた。笑いも取り入れ、緊張感溢れる展開で観る者を圧倒する。これは演劇でしか成しえない、涙なくしては語れない作品です。
     (あうるすぽっと)

●『うしろ姿のしぐれでゆくか』
           (民藝)

作/宮本 研  演出/児玉 庸策
出演/大滝秀治 他

 山頭火は黒い法衣に足代笠をかぶり、頭陀袋をさげ、杖をさし、左手に鉄鉢を持ち門口でお経を唱えている。少女が出てきて茶碗一杯の米を鉄鉢にあける。中年女が寄ってきて大根一本を頭陀袋に入れる……。
秋風が吹くころ山頭火は南へ向かって歩き出した。ふたたび踏むまい土を踏みしめて征く。
 (紀伊國屋サザンシアター)

●『東京原子核クラブ』
           (俳優座劇場プロデュース)

作/マキノ ノゾミ  演出/宮田 慶子
出演/田中壮太郎、石井テルユキ、若杉宏二 小飯塚貴世江、西山水木、田中美央
   二瓶鮫一、檀 臣幸、佐川和正、渡辺 聡外山誠二、佐藤 滋

 昭和7年、東京本郷の下宿屋「平和館」。 理化学研究所に勤める若き物理学者・友田は研究に自信をなくし故郷へ帰ろうとした矢先、提唱した仮説が認められ研究所に残る決心をする。 下宿に住むダンサー、ピアノ弾き、新劇青年、野球に熱中する東大生らと共に愚かしくも美しい青春の日々が始まる。 だが日本は少しずつ戦争に向かって歩んでいた。
 (俳優座劇場)