東京労演
2013年 上半期 作品紹介
一 月
●『心細い日のサングラス』 (俳優座) 作/山田太一 演出/中野誠也 出演/中野 誠也 川口 敦子 山下 裕子 長浜 奈津子 天野 眞由美 太田 亜希 斉藤 淳 安藤 みどり 森尻 斗南 KiNoмi 小笠原 良知 中村 たつbr> 島 美布由 もと銭湯だった家の物語です。見ていただく前にストーリーは秘密です。テーマだって、簡単に要約できるなら、芝居にすることもありません。どんな舞台か分らない新作に立ち合って下さるみなさんの楽しみに、勝手ながら全力でこたえようとスタッフ、キャスト一同張り切っています。 生きていることが、ふっと一人きりのような、心細いような気持ちになることはないでしょうか。 むき出しの現実だけではなく、サングラスを通したいくらかの非現実も楽しんでいただけると思っています。 きまり文句のようですが、涙も笑いもある、お正月の舞台です。 山田太一 1月9日、11−12日、15・18・19日 三越劇場 ●『イノセントピープル』 ”原爆を作った男たちの65年” (昴) 作/畑澤 聖悟 演出/黒岩 亮 出演/遠藤 純一 宮本 充 福山 廉士 石田 博英 鳥畑 洋人 米倉 紀之子 新野 美知 市川 奈央子 要田 禎子 大島 大次郎 矢島 祐果 高草 量平 槙乃 萌美 江川 泰子 吉田 直子 原 一登 アメリカ・ニューメキシコ州ロスアラモス。 ロスアラモス20周年の式典に出席した男達が、ブライアン・ウッドの家にパートナーを連れて訪れる。 18年ぶりに再会する彼らは、「ヒロシマ」に落とした原爆を開発した英雄である。 いまだにロスアラモスの研究所で研究に従事するブライアン。数学教師となったジョン。海兵隊将校となったグレッグ。 GМの社員となったキース。そして、医者のカール。 1945年のあの日から現代に至るまで、彼らは何を信じ、どう生きてきたのか? 1月31日・2月1日 あうるすぽっと ●音楽劇『わが町』 (俳優座劇場) 作/ソーントン・ワイルダー 演出/西川 信廣 出演/土居 裕子 原 康義 瀬戸口 郁 麻乃 佳世 粟野 史浩 川井 康弘 花山 佳子 保 可南 茜部 真弓 岡 のりこ 金子 由之 金 成均 藤側 宏大 佐藤 拓馬(ピアノ演奏) アメリカ・ニューハンプシャー州の小さな町グローヴァーズ・コーナーズ。 ギブズ医師の息子ジョージと、隣に住む地方新聞の編集長ウェブ氏の娘エミリーは幼馴染み。 穏やかで誠実な両親や町の人々に見守られ成長した二人は互いに恋をし、やがて結婚の日をむかえる。 結婚式は町のみんなに祝福され新生活は幸せに満ちていた。 だが9年の歳月が過ぎたとき、二人に思いもよらない出来事が訪れる……。 1月30日〜2月3日 俳優座劇場 1月の公演日時の詳細はここをクリック
二 月
●『真夜中の太陽』 (民 藝)
原案・音楽/吉永 仁郎 作/工藤 千夏 演出/武田 弘一郎 出演/日色 ともゑ 中地 美佐子 斉藤 尊史 平松 敬綱 望月 香奈 他 うた声がひびく1944年のある女学校の教室。 戦況が厳しさを増していく中でも日々精一杯に生きている女学生のなかに、そのうた声に導かれたのでしょうか、現代のおばあちゃんがひとりまぎれています――。 シンガーソングライター谷山浩子さんの名曲「真夜中の太陽」から生まれて掌篇。 (紀伊國屋サザンシアター) 2月 紀伊國屋サザンシアター ●『真砂女』 (朋友)
脚本/瀬戸口 郁 演出/西川 信廣 出演/藤真 利子 本山 可久子 谷 昌樹 他 明治39年、安房鴨川の老舗旅館吉田屋(現鴨川グランドホテル)の三女として生まれた鈴木まさ(真砂女)は、天真爛漫に育ち昭和4年22歳で日本橋の靴問屋の次男と恋愛結婚する。 娘(佳奈子)に恵まれるも、夫の失踪の故に、娘を婚家に残したまま鴨川に戻される。 姉の急逝により義兄と結婚させられ旅館の女将となり吉田屋を継ぐ。 そして……。 今生のいまが倖せ衣被(きぬかつぎ) 恋に生き―、恋の句を詠み続け―、96歳でその生が燃え尽きるまで、波乱の人生を俳句と共にしなやかに生き抜いた女流俳人の半生を綴る。 10年11月例会で取り上げ大好評を受けた作品の再演。 2月18日〜27日 新国立劇場小劇場 2月の公演日時の詳細はここをクリック
三 月
●『長江〜乗合い船』
作/沈 虹光 翻訳/菱沼 淋晁 演出/原田 一樹 出演/南保 大樹 落合 咲野香 山田 珠真子 佐々木 梅治(劇団民藝) 清川 佑介 清川 佑介 古田 美奈子 歌野 貴仁 中国の大河・長江に臨むある都市――。 この街のもっとも平均的な2LDKのアパートに、住宅事情の逼迫で円もゆかりもない若い夫婦と元小学校の女教師が同居している。 誰が名づけたのか「団結団地」。 背に腹はかえられず同居しているそれぞれにとって、相手のやることなすことが気に障ってしかたがない。 ……今日もまた一騒動がはじまった。 3月5日〜17日 東演パラータ ●『あかきくちびるあせぬまに』 (文化座) 原作/連城 三紀彦 脚本/八木柊一郎 演出/黒岩 亮 出演/佐々木愛 他 梅本タヅという女性の歩んだ半生――。 栃木から上京し旅館で女中奉公していた戦中、彼女には仄かに想いを寄せる陸軍少尉がいた。タヅは自分の気持ちを殺し、少尉と同僚との中を取り持とうと腐心していた。 しかし、少尉はサイパンで戦死する。 その後タヅは結婚するも、夫は先妻のところに入り浸るなど、不幸な結婚生活を送る。 二人の娘を授かるも夫は病死、女手一つで育て上げた。 そして現在。新婚4カ月で亡くなった次女の亭主・和弘のアパートへ転がり込み、奇妙な同居生活が始まる。 和弘はかつて思いを寄せていた陸軍少佐に瓜二つだったのだ――。 3月14日?24日 東京芸術劇場シアターウエスト ●『屋根の上のヴァイオリン弾き』 (東宝) 台本/ジョセフ・スタイン 音楽/ジェリー・ポック 作詞/シェルドン・ハーニック 演出・振付/ジェローム・ロビンス 日本版演出/寺崎秀臣 出演/市村正親 鳳蘭 他 ヒト・モノ・カネが自由に行き来し、情報が氾濫する現在、人々は様々な文化に触れ、変化に富んだ生活を送っています。 そんな時代だからこそ、人々は"自分らしく生きる"ことを望んでいるのではないでしょうか。"自分らしく生きる"ということは・・・。 多くの親は自分のこれまでの経験を基に、我が子には父として、母として望む人生を歩いてほしいと願っています。 主人公テヴィエのように。それは、伝統に基づく人生でもあります。 それに対して子供たちは、親の望む人生は、自分の人生ではない、"自分らしく生きる"ことではない、と抗うかもしれません。 しかし、子供たちも年を重ね、様々な経験を積むことで気付くのです。親が伝えたかったこと。どんなに親が自分のことを愛してくれているかということを。 テヴィエとゴールデ夫妻と、五人の娘たち・・・結婚、親元を巣立ち子が自立することを通して故郷とのつながり、親子の情愛を改めて認識させてくれる作品なのです。 3月5日〜3月29日 日生劇場 3月の公演日時の詳細はここをクリック
四 月
●『とりつくしま』
(俳優座)原作/東直子 脚本・演出/真鍋卓嗣 出演/田中 壮太郎 田中 美央 佐藤 あかり 他 「とりつくしま」は2007年に筑摩書房から出版された小説です。真で心残りがある人は、この世に何かを「とりつくしま」にできる。死んでしまったあなたに、とりつくしま掛が問いかけます。 妻は夫のマグカップに、母は息子のロージンに、弟子は先生のセンスになりました。 切なくてちょっぴり苦い、不思議な物語。切なくて、ほろ苦くて、じんわりする連作短編集です。 4月13・16・17・20・21日 (シアタートラム) ●『夏・南方のローマンス』
(民 藝)作/木下順二 演出/丹野郁弓 出演/梅野 泰靖 鈴木 智 伊藤 孝雄 中地 美佐子 桜井 明美 他 この作品は『神と人とのあいだ』の第2部として発表された。 第1部の『審判』はA級戦犯の問題、この第2部は敗戦直後に行われたB・C級戦犯裁判を扱っています。 国際的で政治的な網の目から落ちこぼれていく。日常的なひとびとの苦悩。 罪なき者が死刑に処せられ、無法が公然とまかり通るような、主として外地で敗戦直後に行われた戦犯裁判 4月18・20・21・22日 (紀伊國屋サザンシアター) ●『横濱短編ホテル』 (青年座) 作/マキノノゾミ 演出/宮田慶子 出演/加門 良 横堀 悦夫 大家 仁志 小豆畑 雅一 田島 俊弥 桜木 信介 逢笠 恵祐 須田 祐介 津田 真澄 椿 真由美 加茂 美穂子 小暮 智美 香推 凛 田上 唯 横浜にある老舗ホテルを舞台に、1970年から現在まで、時代を追って7つの短編で綴るオムニパスドラマ。 第一話は1970年。高校演劇部の副部長。奥山ハルコが、ホテルに映画監督を訪ねることから始まる。 それをきっかけに、ハルコはやがて女優デビューを果たすが・・・。 男と女、男と男、女と女・・・時代の流れの中で、もつれあう運命。 マキノノゾミ12年ぶりの新作は、苦味のきいた大人のコメディだ。 4月18・20・21・22日 (紀伊國屋ホール)
五 月
●『完全姉妹』 (トム・プロジェクト) 作・演出/中津留章仁 出演/真野 響子 真野 あずさ 夫に先立たれた姉と、結婚できない妹。姉妹仲はすこぶる良い。姉の夫は経営者だつた。 結婚したとき、夫はすでに具合が悪かった。 姉は夫の親族から、夫の財産目当ての結婚と思われる、疎まれていた。 妹は結婚をしなかった。 一生一人の男を愛するなんてできない。 それが彼女の結婚出来ない原因だ。 妹は姉の夫と不倫していた。 姉のものがどうしても欲しくなる性分だ。 二人の姉妹は、同時に一人の男性を愛した・・・。 姉妹であり、恋敵であり、親友でもある二人は、その前に、私ではない一人のおんなであることに、そろそろ気づき始めた・・・。 2013年5月11日〜5月19日 (赤坂レッドシアター) 『元禄忠臣蔵・一本刀土俵入り』 (前進座) 出演/中村 梅之助 嵐 圭史 藤川 矢之輔 河原崎 国太郎 嵐 芳三郎 他 『元禄忠臣蔵―御浜御殿綱豊卿』 作/真山青果 演出/十島英明 甲府藩主・徳川綱豊(のちの六代将軍家宣)の御浜御殿では、奥女中はじめ奉公人たちの年に一度の楽しみ「お浜遊び」が賑やかに催されていた。 そこへまぎれ込もうとするのは赤穂浪士・富森助右衛門。 この日の客に吉良上野介がいることを知った助右衛門は、何としても一目仇の顔を見ておきたかったのである。 綱豊は、浪士たちの動静や仇討の覚悟のほどを助右衛門に語らせようと挑発する。 どうにか耐えた助右衛門であったが、綱豊の口から仇討の機会が奪われかねない事態を知り、一人吉良を討とうと決意する─── 『一本刀土俵入り』 作/長谷川 伸 演出/平田 兼三 旅興行先で親方に見限られた駒形茂兵衛は、それでも関取になる望みが捨てられず、腹ぺこの無一文で江戸へ向かう。 取手の旅籠・我孫子屋の酌婦お蔦は、通りすがりの茂兵衛に有り金と櫛簪を与える。 「きっと横綱になって今日の恩返しに土俵入りを見てもらう」とうれし涙で誓う茂兵衛だった。 十年後の春、利根川沿いに来かかった茂兵衛は、夢破れて、賭博渡世の旅姿。昔を思い出し、お蔦の行方をたずね当て………。 2013年5月10日(金)─22日(水) 東京・三宅坂 国立劇場 大劇場
六 月
●『汚れた手』 (昴) 作/ジャン=ポール・サルトル 訳/白井 浩司 演出/森 新太郎 出演/中西 陽介 秋間 登 伊藤 和晃 牛山 茂 水野 龍司 宮本 充 北川 勝博 佐々木 誠二 鳥畑 洋人 三輪 学 大島 大次郎 高山 佳音里 染谷 麻衣 この世に自分の居場所を見出せない若者ユゴー。 彼は生甲斐を得るために入党を果たし、葛藤渦巻く抗争の中に身を投じる。殺伐とした世界。 若者は一人の男の暗殺に自らの使命を見つけ出す。ピストルを向けるべき標的。 しかしその男の言動に触れるうち、ユゴーは男の豊かな人間性に惹かれていく…。 1948年に初演され、時代に大きな衝撃を与えたサルトルの問題作。 2013年6月1日〜9日 (俳優座劇場) ●『金色夜叉』 (松竹) 作/宮本 研 演出/成瀬 芳一 出演/水谷 八重子 波乃 久里子 英太郎 風間 杜夫 瀬戸 摩純 鈴木 章生 高橋 よしこ 田口 守 柳田 豊 矢野 淳子 児玉 真二 木内 宣輝 松村 沙瑛子 中嶋 ゆか里 久藤 和子 両親に早く死に別れた一高生の間貫一は、小さい頃から親戚の鴫沢家に引き取られ、一人娘の鴫沢宮とは兄妹のように育てられた。 そして、将来二人は結婚する約束をしていた。ところが、下谷に本店のある富山銀行の息子富山唯継が、カルタ会の席で宮を見初め、嫁に欲しいと申し込んできた。 「結婚は愛です、愛情だけが二人を結びつけるのです」という富山の甘い言葉に、宮は思わず結婚を承諾するのであった。 宮に裏切られた貫一は、熱海の海岸で「宮さん、僕は今宵限り、非人間になるよ」という言葉を残し、宮の前から姿を消すのであった。 それから四年、貫一は高利貸し鰐淵の手代になっていた。 同業の高利貸し赤樫満枝は、貧しさのあまり親子程も年の違う老金貸しの妻になった女だが、金の為になくしてしまった青春時代を取り戻すかのように、貫一に言い寄ってくる。 一方、宮は富山と結婚はしたものの、夢見ていた結婚生活とは全くかけ離れた現実に、悲嘆のうち、気が狂ってしまう…。 2013年6月3日(月)〜23日(日) (三越劇場) ●『無欲の人 熊谷守一物語』 (民藝) 作=相良 敦子 演出/兒玉 庸策 出演/西川 明 千葉 茂則 白石 珠江 他 簡潔な形態と色彩で多くの愛好家を持つ洋画家・熊谷守一。 東京美術学校を首席で卒業、青木繁や和田三造とともに若手の美術家として台頭してきます。 熊谷の面白いところは、目立つことも極端に嫌い、人と競うことを好みません。 青木繁の”俺が俺が”に対して俺は俺≠ニおっとり構えます。 仲間たちが熊谷の才能を惜しんで展覧会への出品を強く促しますが重い腰はなかなか上がりません。 時代に迎合せず世俗に溺れず、自分で見たものを、見たまま、見た気持ちで画く姿勢を貫きます。 2013年6・7月 (紀伊国屋サザンシアター)
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