●咀嚼筋腱・腱膜過形成症とは
咀嚼筋腱・腱膜過形成症(そしゃくきんけん・けんまくかけいせいしょう)は、2000年に神奈川歯科大学の研究者が初めて報告、2008年に日本顎関節学会によって病名が承認、2016年に治療が保険適応された新しい病気です。
顎関節症(がくかんせつしょう)と症状が似ているため、顎関節症として治療されたことも少なくありませんでしたが、現在では診断方法、治療方法が確立されています。国内患者数は不明ですが、大規模調査では1.8%の人に咀嚼筋腱・腱膜過形成症の疑いがあったなど、患者数は多いとされています。
関連するページ 顎関節症(がくかんせつしょう)
●咀嚼筋腱・腱膜過形成症の症状
かみ合わせに関与する筋肉の腱(筋肉と骨を結び付けている組織)、腱膜が異常に大きくなることにより、筋肉の動きが制限され、口が開きにくくなります。
10代後半〜20歳代後半で口が開きにくいことに気付くことが多く、10年以上たってから医療機関に受診する傾向があります。少しずつ口が開きにくくなるために気付かないことが多く、歯科医院での治療時に指摘され、診断されることも多い傾向にあります。
女性に多く、7〜8割の患者さんはかみ合わせの筋肉(咬筋)が発達しており(エラが張っている状態)、歯ぎしりをしている患者さんも多い傾向があります。顎関節症を合併していることもあります。
関連するページ 歯ぎしり
●咀嚼筋腱・腱膜過形成症の治療
顎関節症の治療でおこなわれる歯を接触しない訓練(TCH)、マウスピースの装着等はほとんど効果なく、手術がおこなわれます。
手術は入院、全身麻酔のもとでおこなわれ、かみ合わせの筋肉の腱膜を切除(側頭筋膜切除術、咬筋膜切除術)、下あごの骨の一部を切除(筋突起切除術)したり形態修正(下顎角形成術)をおこないます。手術後は口を開ける訓練をおこない、これらの治療によって口は手術前の2倍ほど開くようになり、食事がしやすくなります。
関連するページ 顎関節症の治療 TCH(歯列接触癖)
●治療をおこなっている医療機関
口が開きにくい病気として、顎関節症、悪性腫瘍、破傷風、関節リウマチ、強直性脊髄炎、虫歯などがあります。まずは歯科医院に受診して診断を受けます。お気軽にご相談ください。
咀嚼筋腱・筋膜過形成症の疑いがある場合は、紹介により歯科大学病院や病院の口腔外科、顎関節外来に受診、治療となります。
関連するページ 致命率の高い顎関節症と間違えやすい病気(破傷風)
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