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◎苔のような小さな世界に入り込んで小人になって見ている。子供の頃から蟻の穴をいつまでも覗いていた。神戸の山の上に住んでいたのでそこは自然の宝庫、うずらがいたり、山桃、ぐみ、びわ、蛇苺をおやつにしていた、周りに同じ年頃の子供がいない一人っ子。いつも空想の世界に身を置いた。毛虫を捕まえたり、カマキリやカタツムリを友達にした。いつしかまるでケルトの民話に出てくる地底に住むという妖精になった。木や石やあらゆる自然に神が宿ると思っていた。カタツムリを見ているとその角の先に小人がいるような気がした。朝焼けや太陽の色を絞り出しているような夕焼けの空が好き、新月の頃もさらによい。 草や花をジッと見つめている間にメタモルフォーゼ(metamorphose)して違った形に生まれ変わる。エロスに変身して人の心の隙間から入り永久の命を宿す。いま漠然なイメージを徹底的な写実にする難しさ思う。表現することの限界も思う。それは絵筆が走る先にイメージが次々と湧き拡がって行くから。描ききれないもどかしさと旅をしている。 |
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