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悠久の遺産 古代文明と仏教美術「中国国宝展」Treasures of Ancient China
会場:国立国際美術館 大阪・中之島 会期:2005年1月18日[火]〜3月27日[日]
ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2
取材日:2005年1月17日 掲載:1月29日 ART SCENE/Street Artnavi
中国へ仏教が伝来して間もない2世紀頃から5世紀初期までの仏像を概観し、中国における仏教受容の過程をたどる。
揺銭樹とは、死後の富貴や繁栄を願って墓に埋納された副葬品。陶製の台座上に揺銭樹の幹が伸び、その頂部に仏坐像を浅く浮彫する。揺銭樹に表わされた仏像は中国に現存する遺品としては最古に属し、仏教伝来の初期に仏像が神仙と同様のものとして受容されたことをうかがわせる遺品として非常に重要である。(展覧会図録より抜粋)

漢民族による南朝と北方民族が支配した北朝とが南北に並立した、南北朝時代(439〜589年)の仏像を紹介し、仏教信仰が中国全土へ拡大していったありさまを眺めてみる。

五層四面塔:方形の石材の側面に仏菩薩像や仏伝などを浮彫し、塔の形に積み上げる。制作当初は、石と石の間には屋根の形をした別の石材をはさんでいたらしく、その形はまさに楼閣塔を模したものである。

菩薩半跏像:龍興寺址から出土した3体の半跏像の一つで、最も残りがよい像。右手先を書いているが、指先を頬にそえた、いわゆる半跏思惟の姿をしていた可能性が高い。朝鮮半島及び日本に伝わる半跏像との関連が注目され、文化史上重要な位置をしめる。
菩薩立像:龍州寺址【りゅうごうじあと】で発見された多数の石像のひとつ。三尊像の右脇侍【みぎわきじ】とみられ、下半身に裳をまとい、各種の装飾品を身に着け、髷【もとどり】を結って立つ。 各部に損傷があるものの、微笑を浮かべるような表情には気品と美しさが漂い、東魏の端正な作風が見事に凝縮されている。

如来三尊立像:北魏の三尊像の典型作で、6世紀前半の作風をよく示す。舟形の細長い光背【こうはい】を負い、両脇侍を従えて立つ中尊の姿は、中国式の厚手の衣の表現とあいまって、威厳に満ちている。像の各部の巧みな造形や光背の細緻な文様など、上質な出来栄えを見せる佳品である。
仏教が隆盛をみた隋(589〜618年)から北宋(960〜1127年)にかけて制作された、豊かで多彩な造形を示す仏像の数々をとりあげ、その特質を探る。
如来坐像(中):切れ長の目と引き締まった口元から作られる表情は、おごそかな雰囲気を漂わせ、肉体の表現にも優れた造型感覚をうかがわせる。初唐の様式的特徴をそなえた優作。台座に銘文があり、景龍4年(710)に張敬[篤]という者が発願造像したことがわかる。

阿嵯耶観音立像(右):本体は金、光背は銀製。平板な顔立ちで、腰がくびれ、直立するこのタイプの像は、雲南地方に独特のもので、阿嵯耶観音【あさやかんのん】という名で信仰された。雲南の南詔、大理国では、王室が仏教を篤く保護した。この作品が見つかった大理祟聖寺は、その代表的寺院。

阿弥陀経断簡:『仏説阿弥陀経』巻第一の残巻。この作品は冒頭に近い部分で、極楽浄土の様子を経文と絵画を上下に組み合わせて表す。当時人々が抱いていた浄土の具体的なイメージがよく理解できる。わが国に伝わる『絵因果経』とよく似た構成となっている点も興味深い。

仏舎利(釈迦の遺骨)に対する信仰に焦点をあて、仏塔から発見された舎利容器をはじめとするさまざまな納入品に注目し、唐(618〜907年)から五代十国(907〜960年)、北宋(960〜1127年)における仏舎利及び仏塔に関する信仰の様相を概観する。

描金堆漆舎利箱:仏舎利(釈迦の遺骨)を納めて仏塔に納入した舎利容器の一種。
報道関係者説明会:上段左から 国立国際美術館長 宮島 久雄、司会 同館学芸課長 島 敦彦

概要の説明:下段左から 東京国立博物館列品課長 谷 豊彦、同 特別展室長 小泉 惠英
◎「中国国宝展」という展覧会名だが、中国には『国宝』という名の制度はない。一級、二級、三級文物の最高ランクに位置するもの、また日本で考えても国宝級、中国側からみても国宝級の認識のものを展示した。「考古学の新発見」とは最近10年間程の発見の作品で構成されている。それだけでも展覧会ができる中国の奥深さを表わしている。世界中に注目されている『玉人』は人間の姿を具体的に表わしている珍しい作品。中国文化の伝統の深さを最初の展示で飾る。
第2部の『仏教美術』は時代の流れを体系的に展示、わが国の仏教文化にも大きな影響を与えた中国の仏教美術の約1000年にわたる変遷をたどる壮大な試みは、世界でも初めてのもの。
展示作品は一旦、北京に集結し、東京、大阪とやってきた。中国の国内であっても見るのは難しい。倉庫にあるものは、中国に行っても普通はみれない。ここに集結したものは、いっぺんに見る機会はなかなか訪れないのでこの機会にご堪能して欲しい。『日本初公開作品』は新発見の物、数点をのぞいてほぼ初公開。中国の人も見てません。(取材メモより)
取材日:2005年1月17日/掲載日:1月29日
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、展覧会図録、同展説明会を参考にしました。
※作品写真提供:国立国際美術館
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