海外での歯科治療
●治療費
日本にいると気付きにくいのですが、海外での歯科治療は日本の5〜10倍以上の治療費がかかることが多く、治療内容によっては日本での治療費は発展途上国よりも安いことも多くあります。
日本歯科医師会の調査結果(2024年発表)によると、海外の治療費は下記でした。
主な国の歯科治療費
※日本歯科医師会が世界各国の歯科医師会の協力のもと調査したもの
※虫歯治療:小さな虫歯の治療(コンポジットレジン)、入れ歯:総入れ歯、1ドル:149円
1回の治療ですむ小さな虫歯の治療費は日本では3000円ほどなのに対し、イギリスは1.3万円、アメリカは5万円ほど、入れ歯の作製費用は日本は3.5万円ほどなのに対し、アメリカは28万円ほどでした。
海外では親知らずの抜歯が10万円、さし歯が20万円といった費用がかかることも多く、留学生を中心に歯科治療のために帰国される方も多くいます。
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●治療技術、衛生環境
先進国では日本と同様に治療技術の水準は高い傾向があります。世界歯学部ランキング(2025年)では、日本だけでなく欧米先進国の歯科大学もランキングに入るなど高い水準にあります。これらの国々では衛生環境も整っています。
発展途上国は同じ国のなかでも治療技術や衛生環境に格差があります。先進国と同じレベルで治療をおこなっている歯科医院がある一方で、無資格の歯科医師が治療をおこなっていたり、消毒・滅菌器具が完備されておらず感染のリスクが高い歯科医院もあります。国によっては路上で治療をおこなう光景を見かけることもあります。
自分自身の健康のためにも、安心、安全な歯科医院を選ぶことが重要となります。
世界歯学部ランキング
※QS世界大学ランキング(世界でもっとも広く使われている大学評価指標の一つ)による
※東京科学大学:旧 東京医科歯科大学
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●治療方針
治療方針は歯科医師や保険制度などにより異なります。日本では抜歯せずに治療する歯も、海外では抜歯になることもしばしばあります。また、日本では治療の必要がないと言われた歯も、アメリカなどでは治療が必要と言われることがあります。
歯科医師の言われるとおりに治療を進めていくのではなく、分からない点があれば納得いくまで聞き、納得いかない場合は治療内容を変更してもらうことも必要となります。
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●待機期間
日本のようにすぐに歯科治療を受けられない国は多くあります。
一例としてイギリスでは健康保険(NHS)での治療は緊急時を除いて予約してから診療までの待機期間が長く、1年以上待ったという人もいます。そのため、治療費は高いものの自費診療を選択される人が多くいます。
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