ムーシールド

●ムーシールドとは
ムーシールドは1983年に東京の矯正科医によって考案された、乳歯の時期から治療可能な受け口(反対咬合、下顎前突)治療の装置です。多くの臨床応用、学会発表を経て、2005年に一般の歯科医院でも治療が可能となりました。

ムーシールドは寝ている間に装着するだけで簡単に受け口が治ることから、少しずつ普及しつつあります。ムーシールドの名前は、開発した先生の幼少期からの愛称「ムーちゃん」と英語で防御壁を意味する「シールド」に由来します。

当クリニックでは、いち早く2006年よりムーシールドを使用した矯正治療を始めさせていただきました。日本では最も早くにムーシールドを導入した歯科医院の一つとなっています。


ムーシールド ムーシールド  ムーシールドの効果 ムーシールドの構造

1.赤:上唇の力を防ぐ上唇シールド部分/2.青:舌の力を防ぐ下顎シールド部分/3.黄:かみ合わせを治すプレート部分


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●早期の受け口治療の重要性※1
3〜5歳頃のお子さんで、歯並びが受け口になっていることがあります。3歳児健診や幼稚園、あるいは保育園の歯科健診などで指摘されるお子さんも多くいます。

これまでは歯科医院に行っても、「しばらく様子をみましょう」と言われて、歯の生え代わりまで様子をみていくことが一般的でした。ところが、歯の生え代わりまで様子をみても、受け口が治るのは15%程度とされています。永久歯になっても85%が受け口のままです。

受け口をそのままにしておくと受け口が重症化することがあります。治療も外科手術が必要になることがあるなど、大変になることがあります。早い時期に受け口の治療をおこなうことにより、症状は緩和され治療に対する負担が軽減されます。

歯並び 早期の受け口治療

関連するページ  健康保険適応の矯正治療(外科手術による矯正治療)



●ムーシールドの種類
3〜5歳児が適応となるSサイズと6〜11歳児が適応になるMサイズがあります。Mサイズは他の矯正装置と併用して治療をおこなうことが多い傾向にあります。

ムーシールドの種類 適応症 適応年齢
Sサイズ 乳歯列期 3〜5歳
Mサイズ 混合歯列期 6〜11歳
※大人用ムーシルド(成人用ムーシールド)はありません。



●ムーシールドの歴史

1983年 東京都調布市、調布矯正歯科クリニックの柳澤宗光先生により考案されました。
1985年 日本矯正歯科学会でムーシールドが発表されました。ムーシールドの考えが初めて公にされました。
2005年 多くの臨床応用、学会発表を経て、厚生労働省に認可されました。一般の歯科医院でも、ムーシールド(Sサイズ)を使用した3〜5歳児の受け口治療が始まりました。
2006年 日本でムーシールドによる受け口治療をおこなっている歯科医院はわずか約100施設、0.1%程度ですが、多くの歯科大学病院ではムーシールドによる受け口治療をおこなうようになりました。
当クリニックでも、いち早く治療を始めさせていただきました。
2008年 テレビ番組の特集で取り上げられ、大きな話題となりました。
ムーシールド(Mサイズ)が製品化され、6〜11歳児のムーシールドによる受け口治療が可能となりました。
2014年 ムーシールドによる受け口治療をおこなっている歯科医院は少しずつ増え続け、1200施設以上、1.7%以上の歯科医院が治療をおこなうようになりました。



ムーシールドによる治療のメリット

3歳から治療を始めることができます。

夜寝ているときに装置をはめているだけで、受け口が改善されます。低位舌も改善されます。

通常の矯正治療に比べると、治療は短期間ですみます(多くは1年以内)。

ワイヤーを使用した矯正治療をしないので痛みがありません。

多くの場合において、受け口が重症化することを防ぐことができ、外科手術による受け口治療を回避できることができます。

歯並び きれいな歯並び

関連するページ  低位舌



●ムーシールドによる治療のデメリット

治療をおこなっても、その後の成長過程で(症状は緩和されますが)受け口が再発することがあります。

ムーシールドが適応にならないことがあります。

治療を受けるお子さん、保護者の方の協力が得られないと治りません。

ムーシールドは受け口の全てのお子様が適応になるわけではありません。適応にならないお子様もいます。 また、5歳以上のお子様では、ムーシールド以外の矯正装置の使用が適当と思われるケースもあります。



●ムーシールドの効果※2−6
ムーシールドによる治療の効果は、1985年以降多くの研究者によって、日本小児歯科学会などの学会で発表されてきました。下記は学会で発表されたムーシールドによる研究発表の一部です。

研究者 研究報告要旨
東北大学歯学部 ムーシールドは取り外しが可能で、夜間のみ使用できるため、治療は簡単である。効果は患者の協力状態に左右されるが、小児の受け口治療には有効である。ただし、骨格性の受け口は再発する可能性はある。
松本歯科大学 ムーシールドによる受け口治療をおこなった小児を調査したところ、全員が下顎の成長を抑える効果があった。
朝日大学歯学部 66人の小児(平均年齢5歳1ヶ月)に治療をおこなったところ、治療期間は平均9.8ヶ月、78.8%に効果があった。治療の中断(不協力、転居など)が12.2%、受け口の再発(永久歯の萌出時)が9.0%であった。
九州歯科大学 小児(平均年齢4歳1ヶ月)に治療をおこなったところ、治療期間は平均8.5ヶ月、全員の受け口が改善された。
福岡歯科大学 ムーシールドによる受け口治療をおこなったところ、歯列は大きくなり、受け口は改善された。




●治療の流れ

1.ご相談(初診時)

お口の中を診査した後にご相談をお受けします。ムーシールドが適応になるかを診査をさせていただきます。

ムーシールドについてご説明をさせていただきます。

ゆっくりお考えいただきムーシールドによる治療を希望されるようでしたら精密検査をさせていただきます。

ご相談だけでも構いません。お気軽にお問い合わせ、ご来院ください(電話番号:045-910-2277)。

精密検査へ

2.精密検査

レントゲン写真、歯の型、写真をとります。

これらの結果を分析して正確な診断と治療方針を立てます。

検査結果のご説明へ

3.検査結果のご説明
精密検査によって得られた診断をもとに、治療内容、期間、費用の詳細をご説明させていただきます。

十分ご納得していただいたうえで治療方針を決定させていただきます。

治療へ

4.治療
ご家庭で数ヶ月間、就寝中にムーシールドを使用します。

1〜3か月に1回程度、歯科医院で検診、装置の調整をさせていただきます。

定期検査へ

5.治療後の定期検査
治療を終えてからもかみ合わせが安定しているかどうかをチェックさせていただきます。



●治療例 治療前(左)と治療後(右)

ムーシールド治療前 ムーシールド治療後  ムーシールド術前 ムーシールド術後



●治療費
ムーシールドによる矯正歯科治療は、自費診療となります。患者様一人ひとりの症状に応じて治療の内容や期間は異なり、治療費用も変わってきます。治療を始める前に、全体的な費用、お支払い方法について詳しくご説明させていただきます。

治療費内容 治療費(税込み)
Sサイズ(3〜5歳) Mサイズ(6〜11歳)
 精密検査・診断料 1.5万円 3万円
 矯正治療費 10万円〜13万円
 調整料(1回あたり) 4000円
ムーシールドの使用後にさらなる治療が必要になった場合は、矯正治療費(永久歯列、費用40〜60万円)からムーシールドによる治療費を差し引かせていただきます。 通常の矯正治療につきましては「矯正治療費(費用)」のページをご覧ください。


※1 永原邦茂 乳歯反対咬合者の咬合の推移 愛知学院大学歯学会誌30(1)233 1992  ※2 丸谷由里子 ムーシールドによる反対咬合の早期治療例 小児歯科学雑誌50(1)68−69 2012  ※3 山木貴子 筋機能訓練装置を応用した患者における年間成長発育量の検討第二報 日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 33(1/2)17−22 2013  ※4 中原弘 機能的矯正装置ムーシールドによる反対咬合小児の治療効果と歯列・歯槽部の形態的変化 小児歯科学雑誌51(4)429−439 2013  ※5 大木淳 乳歯列期反対咬合症例に対する機能的矯正装置 (ムーシールド) の効果について 西日本矯正歯科雑誌46(2)165−173 2002  ※6 久保田文恵 当科における乳歯列期反対咬合症例に対する治療評価 小児歯科学雑誌49(1)132−133 2011



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