顎関節症と間違えやすい致命率の高い病気 横浜・中川駅前歯科クリニック

破傷風(はしょうふう)は、最初にあらわれる症状として「口が開けにくい」、「あごが疲れる」といった、顎関節症と同じような症状があります。致死率が極めて高い病気であるため、疑いがあれば至急医療機関を受診する必要があります。



●破傷風とは

破傷風は、破傷風菌がつくる毒素によって、強いけいれんをおこす感染症です。破傷風菌は土の中に広く存在し、転倒による傷や土いじりの際の気付かない程度の傷から体内に入り込みます。

3〜21日間の潜伏期間の後に、急激な開口障害(50〜70%にみられる)、飲み込み障害(嚥下障害)から始まり、全身の症状があらわれます。重症の患者さんは呼吸に関する筋肉の麻痺によって窒息死することがあります。



日本でにおける破傷風の状況

日本における破傷風の患者数は、1950年は報告患者数1915人、死亡者数1558人、致命率81%でしたが、1952年には破傷風のワクチンが導入され、1968年には法律による三種混合ワクチン(DPT、D:ジフテリア、P:百日咳、T:破傷風)が開始され、破傷風の患者数、死亡者数は激減しました。

近年では、報告された患者数は年100人前後、致命率は30%程度となっています。世界では新生児の主要な死亡原因の一つとなっていますが、新生児の破傷風は1995年の報告を最後に日本ではなく、高齢の患者さんが増加しています(下図)。

東日本大震災では、震災から1ヶ月ほどの間に9名の患者さんが被災地(宮城県、岩手県)で発生しています。震災で受傷したのが原因となっています。


破傷風の患者さんの年齢
※国立感染症研究所調べ



破傷風の症状

破傷風の症状は4つに分類されます。第1期の症状(主に開口障害)から第3期の全身のけいれんが始まるまでの時間を「オンセットタイム」といい、これが48時間以内の場合は、予後が不良であることが多いとされています。

第1期
3〜21日の潜伏期の後、口が開きにくい(開口障害)、あごが疲れる、歯ぎしり、飲み込み障害、寝汗などの症状があらわれます。

第2期
口が開きにくい症状が強くなり、口唇は横に広がり、前歯は露出し、ひきつり笑いをしたような表情になります(破傷風顔貌)。飲み込み障害も症状が悪化します。

第3期
生命に最も危険な時期で首の筋肉の緊張、硬直がおき、しだいに背筋にも緊張、硬直がおき、発作的にけいれんがおきます。

第4期
全身のけいれんはみられないものの、筋肉の硬直は残っています。症状は少しずつ改善されていきます。

痛み 開口障害、あごの疲れから症状があらわれます



破傷風の予防

破傷風の予防としては、予防接種を受けるようにします。予防接種は生後3ヶ月〜1歳の間に3回、3回目の翌年に1回の合計4回の接種をする基礎免疫と11〜12歳の間に1回の接種をおこなう追加免疫がおこなわれています。

予防接種の効果は40歳以上で急速に低下することから(下図)、追加の予防接種が必要となります。

年齢別破傷風抗毒素保有状況 年齢別破傷風抗毒素保有状況
※国立感染症研究所調べ



破傷風の治療

治療では、医療機関で傷口をきれいに洗い、異物の除去をおこないます。また、破傷風菌の毒素を中和するために免疫グロブリン、破傷風菌を殺菌するために抗生物質を使用します。

薬 治療は早めにおこなうことが大切です



破傷風の疑いがあるときの対応

破傷風の疑いがある場合は、すぐに最寄りの医療機関を受診します。全身の筋肉のけいれんがみられる場合は、救急車をよびます。



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