インプラント治療のための抜歯方法(ソケットプリザベーション)
●ソケットプリザベーションとは※1、2
歯を抜くと、歯があった部分は時間とともに骨がやせて薄くなっていきます。歯を抜いた周囲の骨は、そのままにしておくと2〜3年の間に40〜60%がなくなるといわれています。
また、抜歯後1年ほどで2〜4mmもの骨の高さがなくなるとされています。多くのインプラントの長さは8〜12mmほどですので、4mmもの骨の高さを失うことは、ブリッジや入れ歯で治療するのであればそれほど問題とはなりませんが、インプラントにするのであれば治療を難しくします。
ソケットプリザベーションは、歯を抜いた部分を移植した骨、人工の骨、コラーゲンなどを入れることにより、骨がやせていくのを防ぎ、インプラントを入れやすくする方法です。リッジプリザベーション、サイトプリザベーションとも言われます。
インプラント手術時の負担が軽くなります
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●ソケットプリザベーションの利点
歯を抜いた部分の骨がやせていくのを防ぐことができます。
インプラント埋入時に、骨再生誘導法(GBR)や骨移植(ボーングラフとト)などの補助手術をしなくてすむ可能性が高まります。また、治療期間が短く、治療費も抑えることができます。
当クリニックではインプラント治療される場合は、抜歯してからでなく、抜歯前にインプラント治療をすることを お決 めになることをおすすめしております。抜歯前にインプラント治療をお決めになると、(1)ソケットプリザベーションがおこなえること、(2)その後のインプラント治療のご負担が軽くなること、(3)抜歯時に歯科医師がインプラントを埋入する部位の骨や歯肉の状態を目で確認できる等の利点があります。
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●ソケットプリザベーションの効果と欠点
数多くの研究によりソケットプリザベーションによって、歯を抜いた部分の骨がやせていくのが防げることは明らかにされています。その結果、インプラント治療時の負担を少なくできます。
その一方で、どの材料(人工の骨など)を使用すれば最も効果的なのかは、まだはっきり分かっていません。今後の研究成果が待たれるところです。
また、既にインプラント治療の成功率は90%以上となっているため、ソケットプリザベーションをおこなってもインプラントの成功率が大きく上がるわけではありません。
研究者 | 使用材料 | 結果 |
ハーバード大学 (アメリカ) |
rhBMP-2 | ソケットプリザベーションにより、インプラント手術時に補助手術をおこなう必要性が大幅に減少した |
カリフォルニア大学 ロサンゼルス校 |
硫酸Ca | ソケットプリザベーションにより、抜歯後に骨がやせていくのが防げた |
ルイビル大学 (アメリカ) |
FDBA | ソケットプリザベーションをおこなった人は骨が1.3mm(頬側中央)増加したが、おこなわなかった人は骨が0.9mm(同)減少した |