●移植骨を使用することのあるインプラント治療
インプラント治療において、インプラントを入れるための骨が十分にないときは、骨の移植をおこないます。
歯を抜くのと同時にインプラントを埋入するとき(抜歯即時インプラント)、骨を再生させる手術(骨再生誘導法)をおこなうとき、副鼻腔をへこませる手術(サイナスリフト、ソケットリフト)をおこなうときなどに、移植骨が使用されることがあります。
移植骨を使用することのある主なインプラント治療
骨再生誘導法(GBR)/サイナスリフト/ソケットリフト/スプリットクレフト/抜歯即時インプラント/骨移植(ボーングラフト)/ソケットプリザベーション
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●移植骨の種類
移植骨には、自分の身体から採取した「自家骨」、他人から採取した「他家骨」、動物の骨などを利用した「異種骨」、化学的に製造した「人工骨」があります。
骨の足りない部分に移植骨を入れます。単独で使用することもあれば、自家骨と人工骨などを混ぜ合わせて使用することもあります。
1.自家骨(じかこつ)
自家骨とは、自分の身体から採取した骨のことをいいます。自分の骨となじみがよく移植骨に適している反面、吸収も早いため、多めの骨が必要となります。そのため、人工骨などと混ぜ合わせて吸収を遅らせる方法も多く用いられます。
自家骨はインプラント埋入部位やあごの骨から採取しますが、大量の骨が必要なときはひざや骨盤の骨から移植します。骨盤の骨を移植する場合は、入院が必要となります。
自家骨として採取される主な部位
インプラント埋入部位および周辺/下あごの後方(親知らずのある部分)/下あごの前方(前歯の根元の前方)/ひざの骨(脛骨)/骨盤の骨(腸骨)
※脛骨、腸骨による移植は、当クリニックではおこなっていません。
2.その他の移植骨(他家骨、異種骨、人工骨)
下記はインプラント治療で使用される代表的な移植骨です。以前は性能が落ちるとも言われていましたが、移植骨の性能が向上したため、自家骨と変わらないという意見も多くあります。
アパセラムエーエックス(APACERAM-AX)
ハイドロキシアパタイトでできた、歯科用として認可された移植骨。ハイドロキシアパタイトは、骨に置き換わらずに、いつまでも体内に残ることがあるという弱点があります。
オステオグラフトエスディー(Osteograft S-D)
国産大手インプラントメーカーが開発したハイドロキシアパタイトでできた移植骨。
ボーンジェクト(BONEJECT)
牛から取り出したハイドロキシアパタイトとコラーゲンを混ぜ合わせた移植骨。BSE(牛海綿状脳症)の感染リスクのない部分を原料とし、1100度で焼成しているため、安全性には問題ないとされています。
オスフェリオン(OSferion)
β-TCP(β−リン酸三カルシウム)を主成分としています。移植後に体に吸収され、骨に置き換わるとされています。
ボーンジェクト オスフェリオン
バイオリゾルブ(BioResorb)
オスフェリオンと同じくβ-TCPを主成分とした移植骨。
セラソルブ(Serasorb)
β-TCPを主成分とした移植骨。6〜12か月で吸収され、骨に置き換わるとされています。
バイオス(Bio-Oss)
牛から取り出した成分を加工した移植骨。ハイドロキシアパタイトを使用した移植骨よりも治療効果が高いとされています。日本では1999年に認可申請され、2011年にようやく厚生労働省に認可されました。海外では大きな実績のある移植骨です。
ニューオス(Nuoss)
バイオスと同じような成分からできている移植骨。
セラソルブ バイオス ニューオス
プロオステオン(Pro-osteon)
珊瑚からできたハイドロキシアパタイトとβ-TCPからできた移植骨。
脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)、非脱灰凍結乾燥骨(FDBA)
ヒトの骨から取り出した移植骨。厳格なドナーの選別、製造過程を経て使用されます。臓器移植の盛んな欧米では、年間100万以上の歯科、医科の治療に使用されているといわれています。
プロステオン DFDBA 移植骨
上記はインプラント治療で使用されるる代表的な移植骨を記したものであり、当クリニックで全てを使用しているわけではありません。
●移植骨を使用した治療(当クリニックの治療例)
1)下あごの骨を採取して、上あごに移植した治療例
上あごの骨がやせているため、インプラントを入れるための骨がありませんでした。下あごの後方(親知らずのあった部分)の骨を採取し(赤円の部分)、上あごに骨を移植しました(矢印の部分)。サイナスリフトという補助手術をおこない、インプラントを同時に2本入れました。
治療前 治療後
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2)上あごの前歯にインプラントを入れた治療例
上あごの前歯の骨がやせているため、インプラントを入れるための骨がありませんでした。骨再生誘導法(GBR)という補助手術をおこない、インプラントを3本入れるのと同時に、骨のない部位に人工骨(バイオス)を入れました。
治療前 手術時
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3)上あごの奥歯にインプラントを入れた治療例
上あごの奥歯の骨がやせているため、インプラントを入れるための十分な骨がありませんでした。骨再生誘導法(GBR)という補助手術をおこない、インプラントを2本入れるのと同時に、骨のない部位に人工骨(バイオス)を入れました。3ヶ月後にセラミックスのブリッジが入りました。
治療前 手術時 治療後
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