紙の予備知識
紙の大別
紙には大きく別けて、洋紙・和紙・板紙(ボール) の三つがあります。それぞれ、原材料・製法・特徴などは、 以下の表1のようになっています。また、洋紙の大まかな分類を表2に あげておきます。

表1
原材料 製法 特徴
洋紙 パルプ・チップ 薬品でパルプを溶かし繊維を取り出し平滑に伸ばす 平滑度が高く多目的に利用でき、また、 その種類も多様化している
和紙 こうぞ・三つ又 原料を煮て繊維を取り出し手作業ですき乾燥させる 繊維が長く強度があり、また、中性なため長期保存に適しているが、 平滑さに欠け、鉛筆・ボールペン・万年筆などによる筆記には 適していない
板紙 古紙 古紙を再び薬品で溶かしすき固める 多種多様な古紙を混ぜて漂白せずに作るため、色合いに一貫性が無く、 主に箱や台紙に使われるため厚く硬く作られている。印刷用には、 表面を上質紙やコート紙のように加工したものもある
表2
大分類 小分類 特徴
洋紙 一般紙 上質紙 一般的な印刷用紙
アート紙 非常に光沢があり、表面塗工量が多い
コート紙 光沢があるが、アート紙より塗工量が少ない
マット・コート紙 ツヤ消し
特殊紙 エンボス紙・カード用紙等 多種多様
紙の表記
紙は一般的に以下の様に表わします。

種類・銘柄 寸法 流れ目 連量

種類・銘柄 寸法 流れ目 連量
上質紙 4/6判 Y目 70kg
色上質 浅黄 4/6判 T目 中厚口


表記の意味については、それぞれの項を参照してください。
紙の寸法(平判)
一般に流通している紙には、洋・和紙では、 B/2判(4/6半切判)・A判・キク判・B判・4/6判・H判、ボール紙では、 K判・L判等があります。これを場合により裁断し、印刷・製本などに 使います。これとは別に、JIS工業規格で定められた俗に言う、 キカク寸法と言うものがあります。これは前者に比べかなり小さいく、 簡単に言えば、前者は製品に加工する前に扱われる寸法で、後者は 製品化された状態の寸法です。ですから、軽オフ印刷などで使われる、B/4・ A/3等と、コピー用紙などの、B/4・A/3等を間違えないように、前者を 4/6判8切(B/4、B系は4/6判から取ります)・A判4切(A/3)と呼び、 後者をキカクB/4・キカクA/3と呼んでいます。

洋紙本判
A全判 キク全判 B全判
625x880 636x939 765x1085
4/6全判 H全判
788x1091 900x1200

板紙(ボール紙)本判
K全判 L全判
640x940 800x1100

JIS工業規格
A/1 A/2 A/3
841x594 594x420 420x297
A/4 A/5 A/6
297x210 210x148 148x105

B/1 B/2 B/3
1030x728 728x515 515x364
B/4 B/5 B/6
364x257 257x182 182x128
紙の流れ目
紙には流れ目(縦目、横目)があります。これは 紙の繊維の方向であり、折りを入れるときなどは注意が必要です。 また、印刷する場合でも進行方向に対して横目だと、薄い紙はくわえが悪く、 反対に縦目だと、厚い紙は胴からはねてしまう等の不具合があるようです。 大抵の一般紙には、縦・横目(T・Y目とも表わす)とも用意されていますが、 特殊紙等は横目のみが多いようです。受注するとき特に指定が無い場合は、 縦目で処理するのが一般的です。
紙の連量
紙の連量とは、紙の一単位あたりの重さによって、紙の厚さを表現したものと 言えます。そう言うと、少々とらえ難いかもしれませんが、単に重さの軽い方が 薄い紙ぐらいに思ってください。この表わし方には利点があります。それは、 連量を言えば同時に寸法も分かると言うことです。たとえば、上質紙70kg ならば、4/6判、44.5kgならば、A判と言った具合です。ですから、 一般紙の受・発注の際には、寸法はあえて言わなかったりします。では、 紙の連量の意味についてですが、基本的にはkg表記とg表記の二通りの 表わし方があります。kg表記では、決められた寸法(4/6・A判等)の 1000枚単位の重さを表わし、g表記では、紙一枚の1平方メートルあたりの 重さを表わしています。(ちなみに、洋紙は、1000枚を一単位として、 一連(R)と呼び、板紙は100枚で一ボール連(BR)と呼びます。) また、商品によっては、厚口・薄口や、番手(#番号)など、固有の表現を しているものもあります。
環境関連マーク
環境問題やリサイクル意識が高まっている昨今、さまざまな団体がそうしたことに 取り組み、推進していく向きがあります。そして、それらを明示していく上で、 さまざまな環境関連のマークが使用されています。紙業、印刷業では、再生紙の使用 及び古紙配合率、ケナフ、バガス等の非木材の植物を原材料としているかなどを表わすマーク があります。以下にいくつか示しておきますが、ほとんどのマークが無断使用を 禁じているようですので、詳しくは各団体へお問い合わせ下さい。