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遊水地のしくみ

遊水地は、大雨や台風などで起こる河川の増水による洪水被害を防ぐため、平地に作られる一時的貯水池のことで、通常は沼や水田を高い堤防(い ぎょう堤)で囲んで建設される。河川と遊水地の間は導水路や「越流堤」と呼ばれる高さが低く水が流れる堤防で接続されている。

蕪栗沼や旧迫川の流域の家屋は、標高の高い丘陵地帯につくられている。これは洪水被害を防ぐためで、伊達藩の方針であった。一方、明治以降につく られた家屋には、平地に建てられたものもある。かつては海だった蕪栗沼周辺の平地は、標高が3メートルから5メートルほどしかなく、度重なる洪水 に襲われてきた。大雨が降ると周囲の山に降った雨が集まり、また北上川から水が逆流してきて、大きなみずたまりのような状態になる。

谷地と呼ばれる大雨が降ると水没する平地

昭和22年と23年に戦後最悪の水害となった「カスリン・アイオン台風」が通過したときには、堤防が327カ所が壊れ、死者20名、行方不明者 10名、水に沈んだ水田の面積は実に50,000ha(現在の蕪栗沼のおよそ333倍)にもおよんだと言われる(カスリン台風時)。この災害が契 機となり、蕪栗沼と周辺水田に洪水の時に水をためる遊水地が整備された。
遊水地が整備される以前の状態
遊水地が整備された後の状態

ただし遊水地の建設は簡単なことではなかった。蕪栗沼の周辺水田は昭和 10-20年頃に、国から土地を購入し開拓を行った農業者によって作られたが、地方から移り住んだ新規営農者も多くいた。他の土地に水田を持 たない人々にとっては、蕪栗沼の周辺水田が遊水地になることは死活問題だったからである。また遊水地内に住んでいた人々は集団移転しなければ ならなかった。蕪栗沼遊水地はこうした多くの人々の努力と苦労によって建設され、住民の家や暮らしを大雨や台風などの災害時の洪水から守って くれている。
四分区の越流堤

 北駐車場にある看板より