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『 わたしと小鳥とすずと』


「みんなちがってみんないい・・・」のフレーズで知られる金子みすヾですが、 わたしが彼女の詩を読んだのは2001年。明治の生まれの童謡詩人である ことに、今に通じる心にしみる詩の数々に驚きました。
彼女は大正末期にすぐれた作品を発表し、西条八十に「若き童謡詩人の巨 匠」とまで称賛されながら、26才の若さで自らの命を絶ってしまいました。彼 女の作品は散逸しました。50年以上たって、詩集として発行され一時期「ブ ーム」にまでなりました。
彼女の詩は、小さいもの、力の弱いもの、無名なもの、無用なもの、この地 球という星に存在する全てのものに対するやさしさがあふれています。
私の好きな詩を2編紹介しますね。


わたしと小鳥とすずと

わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんなうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

星とたんぽぽ
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。

ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
(『 わたしと小鳥とすずと』 金子みすヾ、JULA編集局、1984)