このページでは、チェンマイの気候について調べてみたことを書いてみます。

雨と季節の関係

タイの気候は大きく「雨季」と「乾季」に別れ、乾季はさらに「暑い乾季」と「寒い乾季」に分けられます。それぞれの特徴は下記の通りです。

  • 暑い乾季(暑季) 3月から5月下旬くらいまで
    3月に入ると急に気温が上がり、4月中旬がMAXになります。一番暑い時期には盛大な水掛け祭りがおこなわれます。
    長期間雨が降らないせいで煙やホコリが地面に落ちず、煙ったような景色になります。
    2011年は異様でした。3月には3日間雨が降り続くことがありましたし、水掛祭りの最中にもスコールがあって気温が異様に下がったりしました。おかげで煙害は緩和されたようですが。
  • 雨期 5月下旬から10月中旬まで
    タイの雨とはスコールです。午後から夕方の間に1時間ぐらい降るのが普通です。
    雨期の開始の頃は「3日に1回、ゲリラ豪雨がある」って感じで、雨が降った翌日は安心して外出できます。雨期の終わりに近づくにつれ「3日に1日、雨が降らない日がある」という感じになり、洪水が起こる地域も出てきます。雨が降っている時間も長くなりがちですが、それでも午前中に雨が降ることはほとんどありません。
  • 寒い乾季 10月中旬から3月まで
    10月中旬くらいから、雨が降らない日が続きます。
    涼しくて雨が降らないので世界中から観光客が訪れ、いろいろなイベントが開催されます。特にローイクラトンは一見の価値アリです。
    12月〜1月はかなり寒く、布団に毛布を2枚かけないと寒くて寝られません。日中でも日向を探して歩かないと体が暖まらない感じで、町中ではセーターを着ている人も目立つようになります。
タイの雨の降り方を端的に表現すれば、「緩急が激しい」ということでしょうか。雨が降る時は徹底的に降り、短時間でピタリと止む。日本の梅雨時みたいに、雨が何日間もシトシトと降るのとはだいぶ違います。

余談ですが、タイ人が時間にルーズなのは、雨期の雨の降り方が影響を与えているんじゃないかと思います。
あのスコールの中を傘を差して歩くのは不可能ですし、車の運転も危険です。雨は1時間ほどで止むことも分かっているので、どこかで雨宿りして待っていれば良いのです。約束を待っている方も、雨が降ったら相手が時間通りに来ない前提で行動するようになります。

年間気温について

チェンマイと東京の気温を比較すると、次のようになります。


年間平均最高気温と最低気温の間を、チェンマイはオレンジ色、東京は緑色でそれぞれ塗りつぶしています。
全体的にチェンマイの方が東京より暑いのはあたりまえですが、線の「幅」も大きく違うのが分かると思います。チェンマイの1日の寒暖差はかなり大きいのです。
日本では、最高気温と最低気温の差が年間を通して6〜9℃ほどしかありません。しかしチェンマイでは寒暖差が最も差が少ない8月でも12℃近く、最も差が大きい2月では22℃も変化しています。日本では1年の寒暖差が激しいのに、チェンマイでは(年間の寒暖差は少なくて)1日の寒暖差が大きいという特徴があります。
最高気温を気にしがちですが、最低気温の最高気温がチェンマイよりも東京の方が高いのも注目点です。

1日の気温と湿度

次は、1日の内での気温と湿度の変化を見てみます。
とりあえず、個人的に最もすごしにくい6月のデータを見てみます。下のグラフは、2010年6月6日のものです(この日は夕方に若干曇ってましたが、雨は降らない平穏な日でした)。

この日に限らないのですが、なぜか、気温が上がる時は湿度が下がる傾向があります。このため日本のような蒸し暑いという感じがあまりありません。雨が降ると湿度が90%以上になる時もありますがそのような時は温度も低くなるので不快指数がそんなに上がらないのです。なかなか良くできてますね。
気温が高い時に湿度が低いので、なんだか砂漠気候のように、太陽が当たっている場所と日陰の温度差が大きくなります。日陰で風が吹くとかなりの涼しさを感じられるのは、日本の夏とはだいぶ違うところです。

太陽の位置

日本では、太陽は概ね南の方にあります。太陽の方向を見れば、だいたいの方角が分かりますね。
チェンマイ(というよりタイ)は北回帰線より南に位置しているので、太陽が真上に来ることもあれば、北にあることもあります。年間気温の図の下に太陽の位置を書いてます。棒の赤い部分では太陽が北にあり、青い部分では南にあります。これはチェンマイの状況で、南に行けば太陽が北にある期間が長くなります(例えばバンコクでは、4月22日から8月20日まで、太陽が北にあります)。

太陽が真上に来る時もあるので、直射日光はかなりの強さになります。当然ながら紫外線も強くなるので、日焼けもしやすくなります。
タイに遊びに来る人は暑いのを気にして半袖短パンで来たりするのですが、暑さよりは日焼けを注意すべきだと思います。薄い生地の長袖で、色も白っぽい服がお勧めです(白っぽい服は蚊にも刺されにくいそうです)。帽子か日傘も持っていると良いでしょう。

1日の気温のところで書きましたが、太陽が当たっている部分と日陰の温度差が大きいので、太陽がどの位置にあるかというのが意外と重要だったりします。特に部屋を選ぶ時は、窓のある方角に注意した方が良いでしょう(個人的には、南東に窓があるのがベストと考えてますが、まだ引越経験が無いので断定できません)。

気候(暑さ)対策

気温と雨の降る時間が分かると、生活のリズムが自然に生まれてきます。すなわち、

  • 涼しくて雨が降らない午前中に重要な仕事をすませてしまう。
  • 昼食を摂ったら、なるべく外出しない(外は暑いし、スコールが降るかもしれない)。
  • 夜(18時以降)は涼しくなるので、特に若者は本格的に行動開始する。
と、多くの人(人口の半分くらい?)がこんな感じで行動しますから、14時〜17時くらいは店も客が来なくて暇になります。 夕方16時くらいになるとだいぶ涼しくなるので、ナイトバザールなど夕方以降にようやく動き始める市場もあります。

しかしなんだかんだ言ってもタイは暑いので、行動の工夫以外にも暑さ対策が必要になります。

水浴び

PRICKLY HEAT
この有名なパウダーは男性用。「PRICKLY HEAT」の名の通り、メントールが強すぎるかもしれません。女性向けにはいろいろな香りのパウダーがあります。
暑さ対策に一番効果的なのが水浴びです(心臓マヒを起こさないようにぬるま湯でね)。 特に4月〜6月下旬くらいまでは、「朝起きた後」「昼食から帰ってきた後」「夕食から帰ってきた後」と、1日3回水浴びするのが日課になります。

水浴びした後は冷感パウダーを体に塗ります。このパウダーはシッカロールみたいなものですが、大人でも使ってます。コンビニなどで大量に売られているのですぐに分かると思います。水浴び後、水分を十分に拭き取ってからパウダーを塗るのがコツです。

水浴び後は下着を替えたくなるので、暑気は洗濯の回数がものすごく増えます。コインランドリーでは追いつかないので、水浴びのついでに自分で洗う人が多いようです。

窓を開けて寝る

夜間にクーラーをつけて寝るとどうも冷えすぎますし、音もうるさいです。
対策としては、窓を開けて寝ちゃいますね。もちろん網戸はしているので蚊は入ってきません。
防犯上心配かと思いますが、高層階なら問題無いと思います。隣人などが泥棒に入ったら犯人が特定できますしね。

水分は少しずつ、回数を多く取る

暑いからと言って水分を多量に取ると、なんだか疲れやすくなります。水を飲むと、条件反射で汗が出るのでかえって不快になることもあります。
軽くジャンプしてみて、お腹がチャプンと鳴ったら水の飲み過ぎですね。水分は、汗で蒸発した分だけこまめに摂取するのが良いようです。うがいだけでも良いかも。外を歩く時は小さいペットボトルを持っておくと良いです。

食事も少しずつ、回数を多く取る

日本人から見たら、タイの食堂で出される食事はとても量が少なくて物足りないと思います。
しかしこの食事量の少なさも、実はタイの長年の経験から導かれた暑さ対策なのです。
お腹が一杯になると体温が上がりますし、太ることは服の重ね着と同義です。 だから腹七部目の食事にして、その代わりにデザートなどを頻繁に取るのが正解です。
また日本人は、暑い時はさっぱりしたものを食べたがりますが、炎天下を歩くには栄養が足りないんじゃないかと思います。辛い物を食べて食欲を出し、栄養摂取に気をつかいましょう。
ちなみに、辛い食べ物や南国のフルーツは、体を冷やす効果があるらしいです。

飴とガム

水分の摂り過ぎ防止として、飴やガムを口に含んでおくというのは結構効果があります。タイ人を観察していると、女性でもガムを噛んでいるようですね。昔はビンロウというものを噛んでいたようですが、現在はスーパーで色々な冷感ガムを売ってます。
他に、鼻から吸う気付け薬を使っている人もいるようですね。若い女性が道端でも平気で吸ってます。

終わりに

ここに書いた暑さ対策は、実はクーラー無しの生活をするための知恵です。
日本でも夏場のクーラーは必需品と思っている人が多いと思いますが、実はほんの40年ほど前にはクーラーなんぞ無くても普通に生活していたのです。
クーラーを使うと汗が引きますが、汗をかかない生活というのはとても不健康なような気がします。実際、タイ人は勿論、日本人でも(私も含めて)クーラーを使っていない人が多いようです。

2011年3月11日の東日本大震災の影響で、東日本での電力不足が深刻になりました。特に夏場の電力不足が指摘されていますが、この夏場の電力増の原因は冷房使用による物です。
電力回復まで数年かかるようなので、この機会にタイの暑さ対策を見習ってみてはいかがでしょうか。電力低下で生産性まで低下させてしまうより、暑さ対策だけに焦点を絞るのが良いんじゃないかと思います。日本ではタイと違って職場に水浴び場がありませんが、「無いものは工夫する」姿勢が必要なんじゃないかと思います。
また、パウダーは、一度快適さを知ってしまうと日本で売ってないのが不満になるほどです。タイに遊びに来た時はおみやげに持って帰ってみてください。

暑さ対策を沢山書きましたが、日本での寒さ対策に比べれば大したことありません(個人差はあると思いますが)。蒸したような気温が少ないせいもありますが、日本とチェンマイでは、チェンマイの方がずっと過ごしやすい気候だと思います。