矯正治療は10代、20代の若い人がおこなうというイメージがありますが、人生100年の時代を迎え、40代、50代で矯正治療を始める方は増えています。当クリニックでは60代で矯正治療を始める方もいます。
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40代、50代で矯正治療を始めるための条件
1)歯の本数
歯の本数は28本、親知らずを含めると32本となりますが、20本以上の歯が残っていることが必要です。また、奥歯は歯を動かす支点となるため、奥歯があまりにもない場合は矯正治療ができません。
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2)歯肉の状態
日本人成人の8割が歯周病にかかっているとされ、40代以上では歯周病が進行している人もいます。重度の歯周病では矯正治療が難しいことがあります。
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3)全身の状態
40代以上では全身の状態にも気を付ける必要があります。歯周病は糖尿病の合併症の一つで、糖尿病の症状が悪化すると歯周病の症状は悪化します。
女性は50歳前後から骨密度の低下により骨粗しょう症と診断されることがあり、矯正治療では骨の吸収と再生をくり返しながら歯を移動させるため、骨粗しょう症の症状によっては矯正治療が難しいことがあります。
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40代、50代から始める矯正治療のメリット
1)かみ合わせの改善
かみ合わせが改善することにより、一部の歯に負担がかかって抜け落ちるリスクが低くなります。また、食べ物をしっかりかめることによって胃腸の負担が軽くなったり、栄養状態が改善されたり、肥満の予防にもつながります。
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2)虫歯、歯周病、口臭の予防
歯を失う最も大きな要因は歯周病です。歯並びが改善されることによって歯みがきもしやすくなり、歯周病が進行しにくくなります。定期的な歯科医院での歯のメンテナンスも大切ですが、きれいな歯並びは虫歯や口臭の発生を防ぐことにもつながります。
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3)見た目の改善、アンチエイジング
きれいな歯並びは好印象を与えるだけでなく、笑顔に自信がもてるようになり、コミュニケーションに積極的になれます。かみ合わせが悪いと口周辺の筋肉が衰えるため顔のたるみが進むことがありますが、顔の輪郭が引きしまり小顔効果もあります。
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●40代、50代で矯正治療を始めるリスク
1)歯肉が下がることがある
40代以上は歯肉の衰え、加齢により歯肉が下がりやすく、矯正治療によって歯肉がさらに下がることがあります。
2)治療期間が長い
子供の頃におこなう矯正治療と比較して、あごの骨の成長が終わり骨が硬くなるため、歯の動きは遅く治療期間は長くかかる傾向にあります。症状にもよりますが、多くの方は2〜3年の治療期間がかかります。
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40代、50代でおこなう矯正治療の方法
矯正治療の方法として針金を使用しておこなう「ワイヤー矯正」、マウスピースを使用する「マウスピース矯正」があります。当クリニックで矯正治療をされる40代、50代の方の2割がワイヤー矯正、8割がマウスピース矯正を希望されます。
ワイヤー矯正には歯の表側に装置をつける方法(表面矯正)と歯の裏側に装置をつける方法(舌側矯正)があります。歯の裏側に装置をつける方法は話しにくい、違和感が大きい、治療の期間や時間がかかることから希望される方はいません。