●歯冠切除術(コロネクトミー)とは
歯冠切除術(しかんせつじょじゅつ)は、下あごの親知らずの抜歯時におこなわれる治療方法です。下あごの親知らずは神経に接していることがあり、抜歯時に神経を傷め、抜歯後に唇や頬にしびれ感、違和感、麻痺が生じることがあります。
このような危険を避けるために考えられたのが、歯冠切除術です。
親知らずを全て抜かず、上の部分(歯冠)のみを除去して、神経に接している下の部分(歯根)は残します。通常の親知らずの抜歯に比べると、負担が少なく、安全な治療方法です。
歯冠切除術は、歯冠除去術、コロネクトミー、下顎第3大臼歯歯冠部切除術などともいわれます。
下あごの神経(下歯槽神経)に接触している親知らず
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●歯冠切除術の歴史
歯冠部切除術は、比較的新しい治療方法です。歯冠部のみを切除する抜歯方法は1992年にマギル大学(カナダ)の歯科医師によって報告され、歯冠切除術(コロネクトミー)の名称は2004年にマウントバーノン病院(イギリス)の歯科医師により初めて使用されました。
2005年にロンドン大学で128例の症例が発表がされ、歯冠切除術が治療方法の一つとして有用であることが示されると、その後世界の歯科医師の間に広まりました。
日本では、2005年に愛知学院大学歯学部附属病院で初めて治療がおこなわれました。欧米諸国に比べると、日本ではほとんど普及していません。
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歯冠切除術の適応症、利点
歯冠切除術は、主に下あごの神経(下歯槽神経)に接している親知らずの抜歯に対しておこなわれます。
通常の親知らずの抜歯に比べると、1)治療後に神経が損傷したり麻痺する割合が低い、2)治療後の痛みや腫れが少ない、3)治療費が安いという利点があります。
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歯冠切除術の治療方法
1)麻酔
麻酔の量は、通常の親知らずの抜歯に比べると少なくできます。
2)歯の切断
歯を切断します。切断にかかる時間は5〜10分ほどです。
3)歯冠の除去
歯の上の部分を取り除きます。歯根は残すため、通常の親知らずの抜歯に比べると治療時間は短く、治療後の腫れも少なくできます。
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