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アトピー性皮膚炎(診療科目)
アトピー性皮膚炎の患者さんへ(私見篇)
1.要は予防にあります。
 アトピ−性皮膚炎はアレルギ−反応が大きく関係しており、アレルギ−反応を起こさないことはたいへん重要なことです。よってアレルギ−源を確定して、これらに接触しなければ良いわけですが、そう簡単には行かないことはみなさんが身を以て経験していることと思います。さて、それでは現実的な対処はどうしたら良いのでしょうか!

2.アレルギ−源は多数あるが、最もアトピ−性皮膚炎に関係するものはどれか?
 多くの場合、目に見えないような粉ダニです。食物アレルギ−がクロ−ズアップされた時期もありましたが、食物に対するアレルギ−反応は、3歳以下では関連することが少なくないものの、それ以降は圧倒的にダニがアレルギー源となります。ですから、ダニに対する防御に無頓着では、いくら食物にこだわっても意味がありません。

3.具体的にはどうしたらよいか?
 ここでは現実的に、あまり神経質にならなくて済む方法を模索してみましょう。まず長期的な展望として、ダニの住み難い環境を作ってやりましょう。例えば転居および家の改装をする時は、床を板張りにするようにしましょう。敷絨毯なら撤去しましょう。家具もできるだけクッション材を用いていない物を購入してください。色々なタイプの殺虫剤は、不完全ながら試みる価値はあるものと考えます。特に畳の下に敷き込むタイプの物は有効と報告されています。そして大事なのが寝具の扱いです。一日の内で最も長時間接触するのが寝具なのですから、力を入れなければならないところです。最善の方法は、フトンの丸洗いを定期的に行うことです。しかしこのやり方は経費が嵩みます。そこでお勧めしたいのが、冬場においても、かけブトンの最も内側はタオルケットを使用することにし、敷布と共に毎週洗濯するのです。これですと洗濯機で洗えますので、経費がかかりません。天日干しは高温多湿な日本では期待した程の効果は上げません。布団乾燥機の使用は一考に価するものと考えます。

4.その他
a. 動物を飼うことはお勧めしません。観葉植物もできたら避けたいところ
です。
b. 入浴時はナイロンタオルおよびブラシ等硬い素材の物は使用しないで
ください。
お風呂の入浴剤、柔軟仕上げ剤はできるだけ使用しないでください。
石けん.シャンプ−は色および香りの無い物を用いると良いです。
c. 水仕事の際はできるだけビニ−ルもしくはゴム手袋を用いるようにして
ください。
d. 化学繊維や毛羽立った物は、皮膚を刺激してかゆみを増すので避けま
しょう。
同様に、毛髪の先端が額.瞼.首に当たらない髪形を工夫しましょう。
e. 加湿機の使用は原則的にはお勧めしません。もし使用する場合は超音波を利用した物ではなく、実際に加熱するタイプの物を用いてください。


 以上生活上の注意についてまとめてみました。ここに挙げた方法にはもちろん異論があります。従ってこの内容は現時点での私見としてご理解いただきたく存じます。ここに述べた内容だけでも、完全に実行することはたいへんな努力を要します。また新築マンションのように自ずと高温多湿になってしまう環境では努力が思うように報われないかもしれません。アレルギ−の程度も個人差が大きく、効果もこれに相関することになると思います。しかし、これらを実行すれば1ランク弱い外用剤が使用できるようになるかもしれません。このことは長い経過をとることが多いアトピ−性皮膚炎において、副作用の回避という点で大きな意味を持つことを保証致します。患者さんおよびご家族のみなさんのご健闘を祈ります。
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