横浜・中川駅前歯科クリニック
がん治療に伴う口腔合併症

口の中には300種類以上、1mgの歯垢(耳かき1杯)には数億個もの細菌が棲みついています。がん治療に伴う免疫力の低下により、細菌は増殖して様々な合併症を引き起こします。


口腔粘膜炎(口内炎)
抗がん剤治療、放射線治療後1〜2週間で口の中の粘膜に炎症がおきます。最も発症する頻度が高く、唇、頬、舌などの軟らかい粘膜にできやすい傾向にあります。痛みが強いと食事ができなくなり、点滴を使って栄養を補給することもあります。あまりにも痛みが強いときは、治療を中断、中止する原因にもなります。

対処方法としては、口の中を清潔に保つ、口の中を乾燥させない、痛み止めの薬の使用があります。抗がん剤治療治療前に歯科医院で虫歯や歯周病の治療をおこなったり、歯の清掃(クリーニング)をおこないます。

抗がん剤治療による口腔粘膜炎(口唇)


●口内炎(細菌やウイルスが原因の口内炎)
がん治療に伴う免疫力の低下により口内炎ができます。カビの一種であるカンジダ、ヘルペスウイルスによるものがあります。痛みにより食事が困難になることもあります。薬を塗ることにより治ります。

カンジダ菌による口内炎(カビの一種が繁殖)


虫歯、歯周病
虫歯や歯周病の治療が終えていない状態でがん治療を始めると、がん治療に伴う体力の低下により、歯や歯肉に痛みがでたり、炎症がおきたりします。虫歯や歯周病の悪化を防ぐためには、がん治療前に歯科医院で治療を済ませておきます。


●ドライマウス(口腔乾燥症)
抗がん剤治療によって唾液腺の細胞が障害を受けると、唾液が出なくなります。また、顔から首にかけては脳、目、耳、鼻などの重要臓器が集まっているため、放射線治療をおこなうことが多く、この部位の放射線治療では高い確率で唾液は減少します。

唾液が減少してドライマウスにかかると、夜中に口の中が渇いて何度も目を覚ます、食事がしづらい、食べ物の味がしない、口の中がヒリヒリする等の症状がみられます。また、虫歯、歯周病、口臭の原因にもなります。

対処方法として口の中が渇かないように、保湿剤を使用して保湿を保ちます。また、虫歯や歯周病の予防のために、歯の清掃(クリーニング)をおこないます。

放射線治療に伴うドライマウスにより発症した虫歯放射線治療に伴うドライマウスにより発症した虫歯


●味覚障害
抗がん剤や放射線により、味を感じ取る細胞(味蕾)、唾液腺の細胞が障害を受けると、味覚障害がおきます。塩味や甘味が感じなくなったり、金属の味がすることがあります。
味覚障害は一時的なもので自然に治ります。放射線治療では、照射後2〜3ヶ月で回復するとされています。高い頻度であらわれ、食欲の低下、栄養不良をもたらします。

味付けなど調理方法の工夫、歯の清掃(口腔ケア、クリーニング)をおこなうことにより、味覚障害を緩和していきます。亜鉛の内服により、症状が早く回復するという報告もあります。


●知覚過敏
抗がん剤治療中は、すべての歯がしみるように感じることがあります。抗がん剤による神経障害の一つで、抗がん剤治療が終了すると、症状は自然と改善されます。

知覚過敏の治療をおこなっても治らないため、様子をみていきます。極端に熱いものや冷たいものは避けるようにします。


●顎骨壊死(がっこつえし)
放射線治療により、あごの骨が腐ってしまうことがあります。骨が弱くなっているところに、口の中の細菌が入り込み、炎症をおこすのが原因と考えられています。乳がんなどの治療で使用される「ビスホスホネート系薬剤」を使用した場合は、抜歯等の歯科治療によって、あごの骨が腐ってしまうことがあるので注意を要します。

対処方法として、虫歯や歯周病の治療を終えてから、がん治療を受けます。歯の清掃(クリーニング)をおこなうことにより、口の中を清潔に保ちます。歯科治療前に必ず歯科医師に申告します。


●その他
肺炎、嚥下障害、発音障害、口臭、入れ歯の不適合等の合併症がおきます。


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