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口腔バイオフィルム感染症とは
細菌と細菌が作り出す物質からなる集合体をバイオフィルムといいます。
口内には虫歯や歯周病の原因菌を始めとする多数の細菌と細菌が作り出す物質からなるバイオフィルムがあります。バイオフィルム内では細菌どうしが連携して栄養を分けあったり、薬を効きにくくするなどして共同体をつくっています。
バイオフィルムは強力で、抗生物質や免疫物質(抗体、IgA)は口内をただよっている細菌には効果がありますが、バイオフィルムの中には届かず、効果を発揮することはできません。歯ブラシや洗口液でも除去は困難です。
このバイオフィルムによる感染症を口腔バイオフィルム感染症といい、2022年4月に新しい病名として登録されました。虫歯、歯周病、口内炎、舌炎も口腔バイオフィルム感染症の一つです。
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口腔バイオフィルム感染症の問題
口腔バイオフィルム感染症は全身の病気を引きおこすことがあり、時には命を奪いまいます。
バイオフィルムの細菌が呼吸器に入ると、肺炎をおこしたり、インフルエンザなどウイルスの体内侵入を手助けします。歯周病、口内の汚染などで出血した歯肉の血管から細菌が体内に入り込むと、心筋梗塞をおこすことがあります。
そのほか、糖尿病、骨粗しょう症などの全身の病気を引きおこしたり、症状を悪化させる原因となります。
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●口腔バイオフィルム感染症を発症しやすい方
障害のある方や介護を受けている方は口内に著しい汚染がみられることがあり、口腔バイオフィルム感染症を発症していることが多くあります。汚染の原因は主に口内細菌の著しい増加によるものです。
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口腔バイオフィルム感染症の検査(感染状況を把握する検査)
障害のある方、訪問歯科診療を受けている方等を対象に
2022年4月から検査が健康保険適応となり、口腔細菌定量検査においては厚生労働省の定める基準を満たし認可された歯科医療機関で検査がおこなわれています。
当クリニックでも検査をおこなっています。
口腔バイオフィルム感染症の検査には主に2つの方法があります。検査により口内の汚染状況が分かり、十分な感染症対策をおこなうことができるようになります。
1)精密検査(口腔細菌定量検査)
口腔内細菌カウンタという装置を使用して、誘電泳動インピーダンス計測(DMPIM法)という方法にて口内細菌の量を測定します。1分で口内の細菌数が測定でき、細菌数が一定数以上であると口腔バイオフィルム感染症と診断されます。
2)簡易検査(舌検査)
舌の表面を9分割し、舌苔の状態を測定します。検査スコアが高いほど口腔バイオフィルム感染症のリスクが高いとされます。
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口腔バイオフィルム感染症の予防と治療
口腔バイオフィルム感染症は抗生物質の服用、歯みがき、洗口液での改善は難しく、歯科医師や歯科衛生士により定期的に歯のクリーニング、口腔ケアでバイオフィルムを破壊していくことで改善されます。
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