認知症の約8割を占めるアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症は、症状が進行していく病気のため、少しづつ日常生活に不具合が生じてきます。
食事は本能に結びついたものであるため、軽度の認知症では自分で食事はできますが、重度の認知症では食事が困難になり、様々な支援や介助が必要になります。
一方で、認知症の約2割を占める脳血管性認知症は、症状は進行しないことが多く、食事の支援や介助方法も上記3つの認知症とは異なります。
認知症の患者さんの食事は、家族だけでなく、歯科医師、歯科衛生士、医師、ケアマネージャー、栄養士など、認知症を支える人々と相談しながら進めていくのがよいでしょう。お気軽にご相談ください。
●アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症になると下記の症状があらわれます。
食事を提供したときに混乱しているのであれば、食卓から食事以外の目につくものを片付ける、柄や文字のないシンプルな皿で提供する、他の施設利用者の声や様子に気を取られているのであれば、壁際にテーブルを置いて一人で食事をするなどの工夫が必要となります。
また、食事の品数が多いことで混乱するのであれば、一品料理にすることも方法です。
脳の障害部位 |
症状 |
主な食事に関する問題 |
側頭葉内側
(海馬) |
記憶障害 |
食べたことを忘れる
食べる行為、食べ方が分からなくなる |
側頭頂 |
失認
失行 |
食べ物を食べ物だと認識できない
食事を前にして困ったようにキョロキョロする
食器の使い方が分からない
食器をさかさに使う |
前頭葉 |
注意障害 |
食事中に他のことに気をとられてしまう
食事に集中できない |
重度になると、食べ物の認識ができなかったり、かむ機能や飲み込む機能(嚥下機能)が低下します。そのため、口の中に食べ物を入れたままにしていたり、むせが頻繁におきたりします。
関連するページ 摂食嚥下障害 食べ物が飲み込みにくい方の食事について
●レビー小体型認知症
レビー小体型認知症では、記憶や判断力が比較的維持されている時期から、飲み込み障害(嚥下障害)がみられます。食べ物との距離がつかめなかったり、食具が変形して見えてしまったりすることによる混乱、手のふるえにより食具がうまく使用できないこともあります。
食べ物のなかに異物や虫が入っているように見えて食事を拒否したり、口内の硬い食べかすに対して入れ歯が割れてしまったと思い込んでしまうこともあります。
症状が進むと、飲み込み障害が深刻になったり、むせが頻繁におきたりします。
脳の障害部位 |
症状 |
主な食事に関する問題 |
後頭葉 |
視空間認識障害
幻視 |
口と食器の位置関係がうまく調節できない
食べ物に虫が入っているように見える |
関連するページ 食べ物が飲み込みにくいことはありませんか?
●前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症の症状が食行動にあらわれると、毎日同じものを買ってきて同じ時間に食べている、冷蔵庫を家族が開けてみたら同じものが大量に出てきた、無理な早食べをする、スーパーで目についた食べ物を買わずに食べてしまうなどの行動がみられます。
周囲の人は、食事の際は、過食、むちゃ食い、早食べ、食べ物のつめ込み、他人の食事を食べようとしていないかに注意していく必要があります。
脳の障害部位 |
症状 |
主な食事に関する問題 |
前頭葉 |
脱抑制
常同行動 |
早食べ
他の人のものも食べてしまう
いつも同じ食べ物を同じ時間に食べる |
側頭葉 |
失語 |
言葉のコミュニケーションがとりにくい |
●
脳血管性認知症
上記3つの認知症は進行性のため、「病気がどの程度進行しているか」の把握が重要ですが、脳血管性認知症は「脳血管の損傷を受けた部位」の把握が重要となります。脳の損傷した部位によって障害が異なります。
発症後から、脳が障害を受けた部位によって食具の使用方法が分からない、他の施設利用者の声や様子に気を取られて食事ができない、飲み込み障害(嚥下障害)といった症状がみられます。
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