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入れ歯安定剤(義歯安定剤)とは
入れ歯安定剤は、ガタついたり、外れやすかったり、痛みがでたりする入れ歯を安定させる製剤のことをいいます。日本だけのものと思われがちですが、世界で使用されています。
入れ歯が合わなくなったときは、歯科医院で入れ歯の調整や修理をおこなうほうがしっかり直せますが、歯科医院に行くほどの問題がなかったり、歯科医院に通院する時間がないときなどは、入れ歯安定剤の使用によって入れ歯の不具合は簡単に解消されます。
海外で販売されている入れ歯安定剤(スーパーポリグリップ)
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●入れ歯安定剤の種類
入れ歯安定剤には、クリ−ムタイプ、パウダータイプ、シートタイプ、クッションタイプがあります。かかりつけの歯科医師と相談しながら、用途に合わせて使い分けていくのがよいでしょう。
入れ歯安定剤の種類
1)クリ−ムタイプ
入れ歯を歯肉に粘着させることで安定させます。効果は1日以内で、入れ歯に安定剤のクリームを塗ります。ガタつきが大きい入れ歯には効果はありませんが、少しゆるみを感じたり、入れ歯が少しガタついて発音しにくくなったときに使用します。
クッションタイプに比べると費用が安く、使いやすいことから、現在では入れ歯安定剤の6割以上がクリームタイプとなっています。
特徴)
・使いやすく最も売れています。ガタつきの小さな入れ歯向き。
・粘着力に優れ、安定性があります。
・使用後に入れ歯についたクリームは、比較的簡単に除去できます。
クリームタイプの入れ歯安定剤(ポリデントNEO入れ歯安定剤)
2)パウダータイプ(粉末タイプ)
クリームタイプと同様に、入れ歯を歯肉に粘着さることで安定させます。クリームタイプと基本成分は同じですが、クリームタイプには使いやすいように、軟こうの成分が入っています。
効果は1日以内で、クリームタイプよりも効果時間は短い傾向にあります。入れ歯に安定剤の粉末をかけるだけで、簡単に使用できます。ガタつきが大きい入れ歯には効果はありませんが、何となく話しづらい、食べにくいなど、使い始めで入れ歯がなじんでいなかったり、違和感を感じるときに使用します。
特徴)
・ガタつきの小さな入れ歯向き。
・サラサラした粉末のため、使用後の除去がしやすい。
・最も薄いため違和感が少ない。
パウダータイプの入れ歯安定剤(新ファストン)
3)シートタイプ(テープタイプ)
シートもしくはテープを入れ歯に貼りつけることで、入れ歯を歯肉に粘着させます。クリームタイプ、パウダータイプと基本成分は同じですが、硬めのシートや不織布を使用しています。効果は1日以内です。
ガタつきが大きい入れ歯には効果はありませんが、少しゆるみを感じたり、入れ歯が少しガタついて発音しにくくなったときに使用します。
特徴)
・用途はクリームタイプ、パウダータイプとほぼ同じです。
シートタイプの入れ歯安定剤(タッチコレクトU)
4)クッションタイプ(ホームリライナー)
クッションタイプは入れ歯と歯肉のすき間を埋めることで、入れ歯を安定させます。入れ歯と歯肉との間に大きなすき間があり、食事中や会話中に入れ歯が外れそうになるときに使用します。効果は2〜5日と長いのが特徴です。
強力な粘着力によって入れ歯のガタつきが解消される一方で、外すのが大変で、入れ歯安定剤の厚みがあるためにかみ合わせが変わったり、歯肉やそれを支える骨がダメージを受けやすいという欠点があります。1990年代まではクッションタイプが最も使用されていましたが、少しずつ使用されなくなってきています。
特徴)
・ガタつきの大きな入れ歯向き。
・効果期間が長い。
・強力な粘着力がある一方で、外すのが大変。
・厚みがあるため、かみ合わせが変わりやすい。
クッションタイプの入れ歯安定剤(やわらかタフグリップ)
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入れ歯安定剤の歴史
入れ歯安定剤はアメリカでは1913年に、日本では1951年に使用が始まりました。入れ歯を安定させるのは今も昔も大きな問題で、昔は和紙や絹布、オブラートを入れ歯につけている人もいました。
長い間、入れ歯安定剤の使用を勧めない歯科医師が多かったものの、1990年代に欧米の歯科医師の間でクリームタイプの入れ歯安定剤の有効性が認識され、その後に日本の歯科医師の間でも有効性が認識されるようになりました。
2000年代になって、入れ歯安定剤を補助的な役割として、使用を勧める歯科医師が増えてきました。日本補綴歯科学会(入れ歯の学会)でも、クリームタイプ、パウダータイプの入れ歯安定剤は、入れ歯が動くときの治療の補助材として役立ち、お勧めできるとしています。
※1現在では、日本義歯ケア学会、アメリカ歯科医師会などでも、同様の評価がされています。
1990年代はクッションタイプが入れ歯安定剤の6割近くを占めていましたが、他のタイプに比べると費用がかかること、入れ歯安定剤をはがすのが大変など使いにくい欠点があり、少しずつ使用されなくなってきました。クリームタイプはクッションタイプに比べると費用が安いこと、使いやすいこと、使用を勧める歯科医師の増加により、2000年代になって使用が増えてきました。
現在、日本での使用割合は、クリームタイプが62%、クッションタイプが30%、シートタイプが5%、パウダータイプが3%となっています。
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入れ歯安定剤の販売シェア※2
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入れ歯安定剤の使用上の注意事項
多くの方は、入れ歯安定剤を多く盛り過ぎる傾向がみられます。入れ歯安定剤の使用量が多すぎると、ネバつきなど口の中の不快症状が強くなります。
歯肉や口の中に痛みや傷、腫れがある時は使用しないようにします。
入れ歯安定剤をつけたまま入れ歯を放置すると、入れ歯安定剤が乾燥して取りにくくなりますので注意が必要です。
長期にわたる入れ歯安定剤の使用は、かみ合わせが悪くなったり、歯肉やそれを支える骨がダメージを受ける原因になることがあるため、注意が必要です。
入れ歯安定剤についてお分かりにならない場合は、ご来院の際にお気軽にスタッフにお問い合わせください。
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※1 日本補綴歯科学会のホームページより ※2 グラクソ・スミスクライン社調べ
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