関節リウマチとは
関節リウマチは、免疫の異常によって関節の腫れや痛みが生じ、持続した炎症の結果として、骨や軟骨が破壊され、関節が変形する病気です。原因は不明ですが、歯周病菌(ポルフィノモナス・ジンジバリス)の感染、ストレス、喫煙、出産、遺伝などが発症に関与しているとされています。

症状としては朝のこわばりが特徴で、関節リウマチの活動期には微熱、体重減少、疲労感、貧血などの症状がみられます。約2割の患者さんがシェーグレン症候群を合併します。

30~50歳代で発症する人が多く、性別では女性に多く、日本国内の患者数は約100万人と推定されています。

関節痛 30~50歳代の女性が発症しやすい傾向にあります

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歯周病と関節リウマチ※1-4etc.
関節リウマチと歯周病の病態には共通点が多くあります。ともにインターロイキン(IL-1β、IL-6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)といった物質が関与して、慢性的な炎症が続き、骨が破壊されていきます。

2つの病気は互いに関与し合い、手指の機能障害、薬の服用、シェーグレン症候群といった要因も加えて、複雑に関与し合っていると考えられています。

手指の関節の機能障害による不十分な歯みがき、ステロイド薬の使用による抵抗力の低下、シェーグレン症候群の合併によるドライマウス(口腔乾燥症)は、虫歯の発生や歯周病を進行させます。また、 歩行困難による行動制限は、歯科受診(定期検診)の低下につながり、歯を失うことにもつながります。


歯周病と関節リウマチの関係 歯周病と関節リウマチの関係


2つの病気の関連については100年ほど前には研究報告されており、シカゴ大学(アメリカ)教授のフランク・ビリングは、1917年に発行した著書の中で、関節リウマチの患者さんの発症原因が、歯肉の細菌による感染と報告しています。

これまでに多くの研究報告がされ、最近の研究では関節リウマチの患者さんは重症の歯周病の人が多い歯周病が関節リウマチの発症や進行に影響を及ぼしている口の中の細菌は関節内にまで移動しているといった研究報告がされています。


歯周病と関節リウマチに関する主な研究報告
発表年 研究者 対象者 結果
2006 サン テティエンヌ大学
(フランス
147人 手首の関節骨破壊と歯槽骨破壊との間で強い関連がみられた。ドライマウスの患者さんは骨破壊のリスクがさらに高かった。
2007 新潟大学
(日本)
300人 関節リウマチの患者さんの86%が歯周病が進行しているなど、関節リウマチと歯周病との間に強い関連があった。
2008 ベルリン医科大学
(ドイツ)
109人 関節リウマチの患者さんは歯周ポケットが深い、出血しやすいなど、歯周病が進行していた。
2011 ミネソタ大学
(アメリカ)
9702人 歯周病(歯周炎)は、関節リウマチの発症リスクを1.85倍に高める。
 2012 バーミンガム大学
(イギリス)
1009人 関節リウマチの患者さんは、歯が少ない人ほど炎症が強く、朝のこわばりが強かった。
2012 ジェノバ大学
(イタリア)
366人 歯の本数が少ないほど、関節腫脹の発症リスクが高かった。歯周病による慢性的な炎症は、関節腫脹につながる。
 2013 ネブラスカ大学
(アメリカ)
617人 歯周病は関節リウマチの発症リスクを1.59倍に高める。
 2015  京都大学
(日本) 
9553人 関節リウマチに特異度の高い抗体の産生に、歯周病が関係していた。
72人 歯周病をもつ関節痛患者は、歯周病のない患者に比べて、その後に関節リウマチと診断されるリスクが2.7倍高い。

京都大学が2015年4月21日に発表した「歯周病と関節リウマチ」に関する研究は、下記をクリックしてください。
PDF歯周病と関節リウマチ発症との相関(2015年4月13日)




一例として、ジェノバ大学(イタリア)の研究グループが、関節リウマチの患者さんの関節が腫れるリスクについて調査したところ(オッズ比)、歯を全く失っていない人(32本)を1とすると、28~31本の人は3.6倍、21~27本の人は4.1倍、20本以下の人は8.1倍となり、歯の本数が少ない人ほど関節が腫れるリスクが高いという結果となりました。

また、歯が20本以下の人は歯が全てある人(32本)に比べて、5.3倍(オッズ比)も朝のこわばりがおきるリスクが高いという結果となりました。

歯周病が進行して歯肉に炎症がおこったり、歯を失う本数が多いほど、関節リウマチの症状も悪化するといえます。


関節腫脹のリスク(オッズ比
関節腫脹のリスク

杖 関節リウマチになると、歯科医院への受診が低下する傾向にあります

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関節リウマチに対する歯周病治療の効果※5-7etc.
2000年代になって、歯周病の治療をおこなうと関節リウマチの症状が改善するという研究報告がされてきています。

これらの研究報告を見ると、歯周病の外科手術といった大がかりな治療ではなく、歯科医師や歯科衛生士による歯のクリーニングや歯みがき指導といった、負担の少ない歯科治療で関節リウマチの高い効果をあげています。


関節リウマチに対する歯周病治療の効果に関する主な研究報告
発表年 研究者 結果
2009 ケース・ウェスタン・リザーブ大学
(アメリカ)
中等度から重度の関節リウマチの患者さんを2つのグループに分けて調査した。
歯のクリーニング、歯みがき指導をおこなったグループは、リウマチ活動性(DAS28)が低下した。何もしなかったグループのリウマチ活動性は変わらなかった。
2009 サンパウロ・カトリック
大学(ブラジル)
外科手術を伴わない歯周病治療によって、関節リウマチの患者さんのリウマチ活動性(DAS28)は低下した。
2013 新潟大学
(日本)
歯周病治療によって歯周病菌を減少させることで、血液中のシトルリン(関節リウマチの病因に関係しているタンパク質)の濃度が低下。その結果、関節リウマチの患者さんのリウマチ活動性(DAS28)は低下した。
2013 エーゲ大学
(トルコ)
歯周病治療により、関節リウマチの患者さんのリウマチ活動性(DAS28)は大幅に低下した。歯周ポケット内のインターロイキン(IL-1β)も大幅に減少した。

DAS(ダス)とは
高血圧では血圧、糖尿病では血糖値が症状の目安となるように、関節リウマチではDAS(Disease Activity Score)が使われます。DASは症状の強さを数値として表し、44関節を調べるDAS44と28関節を調べるDAS28の2種類があり、一般的にはDAS28がよく使われます。


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関節リウマチの患者さんにとって大切なこと
関節リウマチの患者さんは歯周病が進行しやすく、重症化しやすい傾向にあります。

歯周病予防のためには、毎日しっかり歯をみがくことが大切ですが、関節リウマチの症状により歯をしっかりみがけないときは、電動歯ブラシを使用したり、洗口液を使用するのも方法です。また、歯科医院で定期的(年2~4回)に歯のクリーニング(PMTC)などをおこない、歯周病の予防処置や治療を受けることも大切です。

歯周病の予防処置や治療をおこなうことで、関節リウマチの症状が改善することもあります。

診察
 歯のクリーニング

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※当クリニックは、日本歯周病学会、日本シェーグレン症候群学会に所属する歯科医師が在籍しています。


※1 Marotte H、Farge P、Gaudin P、Alexandre C、Mougin B、Miossec P. The association between periodontal disease and joint destruction in rheumatoid arthritis extends the link between the HLA-DR shared epitope and severity of bone destruction. Ann Rheum Dis. 65(7):905-9 2006  ※2 Kobayashi T、Ito S、Kuroda T、Yamamoto K、Sugita N、Narita I、Sumida T、Gejyo F、Yoshie H The interleukin-1 and Fcγ receptor gene polymorphisms in Japanese patients with rheumatoid arthritis and periodontitis. J.Periodontol. 78(12):2311-2318 2007.  ※3 Pischon N、Pischon T、Kröger J、Gülmez E、Kleber BM、Bernimoulin JP、Landau H、Brinkmann PG Association among rheumatoid arthritis, oral hygiene, and periodontitis. J Periodontol. 79(6):979-86 2008  ※4 Demmer RT、Molitor JA、Jacobs DR Jr、Michalowicz BS Periodontal disease, tooth loss and incident rheumatoid arthritis: results from the First National Health and Nutrition Examination Survey and its epidemiological follow-up study. J Clin Periodontol. 38(11)998-1006 2011 ※5 Pinho Mde、Oliveira RD、Novaes AB Jr、Voltarelli JC. Relationship between periodontitis and rheumatoid arthritis and the effect of non-surgical periodontal treatment. Braz Dent J.20(5):355-64. 2009  ※6 Okada M、Kobayashi T、 Ito S、Yokoyama T、Abe A、Murasawa A、Yoshie H Periodontal treatment decreases levels of antibodies to Porphyromonas gingivalis and citrulline in patients with rheumatoid arthritis and periodontitis. J Periodontol. 84(12):74-84 2013  ※7 Bıyıkoglu B、Buduneli N、Aksu K、Nalbantsoy A、Lappin DF、Evrenosoglu E、Kinane DF. Periodontal therapy in chronic periodontitis lowers gingival crevicular fluid interleukin-1beta and DAS28 in rheumatoid arthritis patients. matol Int. 33(10):2607-16. 2013


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