●血友病とは
血友病は血液を固める物質(血液凝固因子)が生まれつきなかったり、少ない病気です。ケガや打撲などで出血をおこすと血が止まるまでに時間がかかり、出血は関節内、筋肉内が多い傾向にあります。
血友病には2種類があり、血液凝固因子の第Ⅷ(8)因子がなかったり、少ない病気が血友病A、第Ⅸ(9)因子がなかったり、少ない病気が血友病Bとよばれています。
遺伝子が関わる病気で、患者数は年々増加しています。2018年度血液凝固異常全国調査(厚生労働省委託事業)によると、国内患者数は6457人、男性が99%となっています。
●血友病と歯科
血友病の患者さんは出血が心配で歯みがきを十分おこなわなかったり、受診可能な歯科医院がない等の理由で、歯科受診率が低い傾向にあります。その結果、口内は汚れ、多数の虫歯ができることがあり、虫歯によりかえって歯肉から出血してしまうことがあります。
歯科治療で問題となるのは出血です。しかしながら、血友病であっても、補充療法が確立されているため、ほとんどの歯科治療は歯科医院で問題なくおこなうことができます。血友病の症状が重症で、出血の多い歯科治療をおこなうときは、大きな病院での治療、入院が必要となることがあります。
1)抜歯
抜歯時に血が止まりにくく、いったん止まっても再出血することもあります。事前に医師との連携をとり、十分な補充療法をおこないます。抜歯の本数や方法によっては、入院が必要になることもあります。
乳歯の抜歯については通常であれば必要ありませんが、自然に抜け落ちない乳歯、ずれた位置から永久歯が生えてきたときは、抜歯が必要となることがあります。
当クリニックでも抜歯をおこなっていますが、状況により高次歯科医療機関での抜歯となります。
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2)歯周病
歯肉からの出血で最も多いのは歯周病(歯肉炎、歯周炎)です。歯周病は自覚症状があらわれにくい病気で、ほとんどの人が歯周病にかかっているとされています。
歯周病になると、歯みがきや少し硬い食物が歯肉に当たると出血するようになります。歯周病の症状が進むと自然に歯肉から出血するようになり、貧血おきて輸血が必要になることもあります。
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3)虫歯
小さな虫歯であれば歯肉から出血することは少ないものの、大きな虫歯では汚れがたまりやすく歯肉に炎症がおきるため、食事をするだけで歯肉から出血することがあります。
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4)外傷
転倒などで口唇、歯肉をぶつけたり、切れて出血することがあります。出血した部位によっては血液により気管がつまり、窒息の危険性があるため注意が必要となります。
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5)予防処置
出血が心配で十分に歯がみがけていない、血友病に関心が集中して口の中まで注意が及ばない、歯科医院になかなか通院できないなどの理由で、口内が汚れている人が多い傾向があります。
出血を防ぐために毎日の歯みがきをしっかりおこなうほか、定期的に歯科医院で歯のクリーニング(PMTC)、フッ素塗布などの予防処置をおこなうことが大切となります。
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●年齢別の出血の特徴
血友病は生涯続く病気のため、お口の健康管理が大切となります。小児は歯の生え変わりや虫歯、成人では歯周病に気を付けていく必要があります。
1)乳幼児(0~5歳)
保護者が歯をみがくときに歯肉からの出血を心配して、歯ブラシを歯肉に当てるのを控える傾向にあります。歯肉が正常であれば出血することはないため、しっかり歯をみがいていく必要があります。
この時期は虫歯の周辺の歯肉からの出血が多いため、虫歯になりにくい食習慣を確立していきます。
2)小学生(6~12歳)
乳歯から永久歯に生え変わる際に出血することがあり、抜ける前に凝固因子製剤の投与が必要なこともあります。歯が抜けた後は、強くブクブクうがいをしないこと、数日間はやわらかいものを食べること、傷に触れず、傷を避けて歯みがきをおこないます。
乳歯が虫歯になると自然に抜けにくくなったり、出血しやすくなります。歯科医院に定期的に虫歯予防のために通院して、虫歯になりにくい口内環境にしていきます。
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3)成人
成人のほとんどが歯周病にかかっていますが、多くは自覚症状がありません。虫歯予防だけでなく、定期的に歯石の除去をおこなうなどして、歯周病の予防もおこなっていきます。
4)高齢者
高齢になると歯周病が進行して歯肉からの出血が多くなったり、歯周病や虫歯を原因として抜歯が必要になることがあります。毎日の歯みがきや歯科医院での定期検診がより重要になります。
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当クリニックでは血友病の方の歯科治療をおこなっています。歯とお口の健康、歯科治療について、ご不明な点、ご要望等がありましたら、お気軽にご相談ください。
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