●プランマー・ビンソン症候群とは
プランマー・ビンソン症候群(Plummer−Vinson syndrome)は、鉄欠乏性貧血(鉄の欠乏によっておきる貧血)を発症したときにおきる、舌炎、口角炎、嚥下障害を特徴とする病気です。
鉄欠乏性貧血は日本人の貧血では最も多く、プランマー・ビンソン症候群は鉄欠乏性貧血の1〜2割の人にみられます。月経のある女性は何らかの鉄欠乏にあるとされ、そのため貧血は女性に多い傾向にあります。
プランマー・ビンソン症候群の症状としては、舌は赤く平らになり、ヒリヒリしたり、痛みが生じます。症状が進むと口角炎、口内炎、食べ物の飲み込みが困難(嚥下障害)になります。スプーンのようにそり返った爪「スプーンネイル」がみられることもあります。
プランマー・ビンソン症候群の症状
舌炎/ヒリヒリ感などの舌痛/舌乳頭の委縮(赤くて平らな舌)/口角炎/嚥下困難(飲み込み困難)/スプーン状爪/顔面蒼白/易疲労性(疲れやすい)/食欲不振などの貧血症状/皮膚乾燥
貧血の症状があらわれます
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●原因
体内の鉄分不足によって発症します。胃炎や胃がん手術後による鉄分の吸収障害、偏った食生活、妊娠(妊婦貧血)などによる体内の鉄分不足によって発症します。胃がん手術後に高頻度にみられるほか、30〜50歳代の女性に多くみられます。
鉄の需要増大による体内の鉄不足
妊娠、授乳/成長期やスポーツ選手にみられる筋肉量の増加/慢性の出血、失血(過多月経、子宮内膜症、胃・十二指腸潰瘍、胃がんほか)
妊娠中は鉄分が不足しやすくなります
関連するページ マタニティ歯科
鉄供給の不足による体内の鉄不足
鉄の摂取不足(菜食主義、ダイエット、摂食障害、低栄養、飢餓)/ヘリコバクター・ピロリ菌感染/慢性胃炎/胃がん手術後(胃切除)
極端な菜食主義は体内の鉄不足を招きます
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●検査
血液検査をおこない、赤血球の状態、鉄や貯蔵鉄(フェリチン)の量などを調べ、体内の鉄分が減少していないかを調べます。
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●治療
治療は歯科、口腔外科、内科、耳鼻咽喉科などでおこない、主に鉄剤を服用します。鉄剤としてはフェロミア、スローフィー、フェロ・グラデュメットなどの薬剤(製品名)があり、鉄として1日50〜210mg、1日1〜2回、数ヶ月間服用します。
鉄の1日の必要量は2700mgで、食事からの摂取と肝臓に貯蔵している鉄でまかなわれていますが、食事による鉄の摂取は1日1〜2mg程度と少ないため、いったん鉄が不足すると食事だけでは補うことは困難になります。そのため、鉄剤の服用が必要となります。
●食品による鉄摂取
食品による鉄摂取は、治療とあわせておこないます。体内に必要な栄養素をバランスよく摂るほか、鉄を多く含む食品を十分に摂取します。
食品に含まれる鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄は肉や魚に含まれ、吸収率は10〜30%、非ヘム鉄は野菜や穀物に含まれ、吸収率は1〜8%となっています。魚や肉の赤身、内臓は鉄を多く含み、吸収率も高いのでおすすめです。
また、鉄分の吸収を補う作用のあるビタミンC(果物、ジュース)を摂取すると、より効果が高まります。
鉄を多く含む主な食品 単位(鉄量mg)
アサリ水煮30g(11.3mg)/豚レバー60g(7.8mg)/牛レバー60g(2.4mg)/和牛ヒレ肉80g(2.0mg)/小松菜100g(2.8mg)/ほうれん草70g(1.4mg)
レバー刺しは鉄の吸収率が高く、鉄を多く含みます
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