大阪市立美術館(天王寺公園内)----
「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録記念 特別展「祈りの道〜吉野・熊野・高野の名宝〜」
自然遺産と文化遺産の融合した紀伊山地の魅力を6つのテーマに分けて紹介。
第1章:「吉野・熊野・高野をめぐる人々」
第2章:「参詣と修行の道〜熊野古道と大峯奥駈(おくがけ)道〜」
第3章:「高野山町石道(ちょういしみち)と高野山の名宝」
第4章:「吉野・大峯と修験道の遺宝」
第5章:「熊野信仰と三山の遺産」
第6章:「霊場と道中の名宝」
第4章:「吉野・大峯と修験道の遺宝」
金峯山寺や大峯山寺などに所蔵される修験道ゆかりの名品、
皇族・貴族が御獄詣
(みたけもうで)の際に奉納した宝物を展示。
近畿地方の最高峰を含む大峯山系は、修験道の聖地として、日本の霊山の中心的地位を占めました。中でも吉野から金峯山【きんぷせん】(大峯山)を経て熊野に通じる険しい道は、7世紀後半の白鳳時代に活躍した修験道の開祖、役行者【えんのぎょうじゃ】が開いたといわれています。平安時代中期以降には多数の修験者の活躍の場となり、山中には様々な神仏が祀られました。
その中心となった金峯山寺に本尊として祀られる蔵王権現【ざおうごんげん】への信仰が高まり、皇族や貴族たちが金峯山に参詣する「御嶽詣【みたけもうで】」が行われました。蔵王権現は、役行者の感得と伝える日本独特の憤怒【ふんぬ】の姿の尊像です。平安時代から造像が始められ、金銅仏や木彫像、鏡像や懸仏【かけぼとけ】などにその姿が残されています。このほか大峯修験では、不動明王や三宝荒神、弁才天といった尊像が多く祀られ、吉野曼陀羅や天川弁才天曼陀羅など独自の垂迹曼陀羅も考案されています。【祈りの道展覧会図録より転載】
下段左:木造「役行者坐像」鎌倉時代(奈良・櫻本坊)/下右:木造「役行者倚像・前後鬼坐像」室町時代(奈良・吉水神社)
左端:木造「聖観音立像」円空作 江戸・寛文10年(1670)(奈良・栃尾観音堂)/中央:木造「如来形坐像」江戸時代(奈良・大峯山寺)
木造「蔵王権現立像」像高459.0 鎌倉時代(奈良・金峯山寺)

役行者が大峯山で感得したとされ、修験の守護神として信仰を集める「蔵王権現立像」は美術院での解体修理が終わって、面目を新たにして本展に出品された。金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂の外陣奥に安置されるが、明治の廃仏毀釈【はいぶつきしゃく】までは「吉野奥の院」と称された安禅寺蔵王堂に、本尊として祀られていた。ヒノキ材による寄木造り。両目を見開き開口する憤怒の形相【ぎょうそう】は真に迫る。今回が寺外での最初で最後の公開となろう。
展覧会シーン取材:2004年8月9日、掲載:8月13日(更新)
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
本文、写真キャプションは「祈りの道」展覧会資料・図録を参考にしました。
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