オールオンフォー(All-on-4)
●オールオンフォー(All-on-4)とは
全ての歯を失った人がインプラント治療をおこなう場合は、骨を移植するなどの大がかりな手術が必要であったり、下あご、もしくは上あごだけで8〜12本のインプラントが必要でした。そのため、手術時の負担が大きく、費用もかさむという欠点がありました。
オールオンフォーは、片あご僅か4本(6本)のインプラントで、全ての歯を回復できるという新しいインプラント治療です。インプラントの本数を少なく、手術の負担を軽く、治療費を抑えることができる利点があります。
ポルトガルの歯科医師パウロ・マロによって1998年に治療が始められ、2004年にノーベルバイオケア社(ブローネマルクインプラント)によって、オールオンフォーの概念が発表されました。
オールオンフォーは世界15ヶ国(2016年現在)に展開するマロ・クリニックを中心におこなわれ、2016年までに10万人以上の人が治療を受けました。日本では2011年に開設されたマロ・クリニック東京、2013年に開設されたマロ・クリニック札幌を中心に治療がおこなわれています。
関連するページ インプラントの種類(ノーベルバイオケア) マロ・クリニック東京(外部サイト)
●オールオンフォーの特徴
片あご、あるいは両あごの歯が全くない方、それに準じた方が適応となります。
片あご4本(6本)のインプラントで12本(10〜14本)の歯を支えます。
上部構造(インプラントの上の部分)は、主にセラミックスの歯となります。
上下顎のオールオンフォー
関連するページ インプラントの構造
●オールオンフォーの治療の流れ
1.レントゲン写真、CTを撮影します。必要に応じて抜歯等の処置をおこないます。
2.コンピュータガイドシステムを使用して、治療計画をたてます。
3.4本(6本)のインプラントを埋入します。
4.その日のうちに仮歯を入れます。
5.インプラントと骨がくっつくのを6ヶ月ほど待った後に歯型をとります。
6.完成です。
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※一般的なオールオンフォーの治療の流れです。患者様のお口の状態によって多少異なります。
関連するページ インプラント治療におけるCT検査 コンピュータガイドシステム
●オールオンフォーの利点
従来のインプラント治療と比較すると、インプラントの本数を大幅に減らすことができます。
手術時の負担を減らすことができ、治療費用も安くできます。
骨がやせていても、骨の移植などの補助手術を回避することができます。
手術をしたその日に仮歯を入れることもできます。
関連するページ インプラントの補助手術
●オールオンフォーの欠点
適応症は歯が全くない方など、かなり限定されます。
治療の際に、本来ならば残せる歯を抜くことがあります。
治療には高度な技術が求められるため、マロ・クリニックなど実績のある医療機関での治療が求められます。インプラントの本数が極端に少ないため、1本のインプラントが駄目になると、再度治療をやり直す必要があります。
インプラントにかかる負担が大きい、あごの骨が脆弱な日本人には向かいないなど、使用に反対する意見もあります。
費用を抑えたインプラント治療では、インプラント義歯(インプラントオーバーデンチャー)のほうが、手術時の負担が少なく、治療期間が大幅に短く、費用負担も大幅に軽く、治療後の清掃が容易です。
●インプラント義歯(インプラントオーバーデンチャー)との比較
インプラントの本数を少なくできる治療としては、オールオンフォー以外にインプラントを使用した入れ歯「インプラント義歯」があります。
治療法 | オールオンフォー | インプラント義歯 |
適応症 | 限られる | 広い |
インプラントの本数 | 4本(6本) | 2本(4本) |
抜歯 | 必要 | 必要なし |
手術の負担 | × | ○ |
治療期間 | × | ○ |
審美性 | ○ | ○ |
かむ力 | ○ | ○ |
違和感 | ○ | × |
治療後の清掃性 | × | ○ |
治療費 | × | ○ |