●慢性腎臓病の食事療法
慢性腎臓病の治療では、薬による治療のほか、生活習慣の改善がおこなわれます。過度の飲酒、脱水、塩分の摂りすぎなどは、腎臓の機能を低下させる要因となるため、注意が必要となります。食事療法は慢性腎臓病の治療には欠かせません。
当クリニックでは管理栄養士が在籍して、慢性腎臓病の方の食事療法、栄養相談、食事相談をおこなっております。お気軽にご相談いただけたらと思います。
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食事療法の基本
食事療法の目的は、腎臓の機能を維持していくことで、症状の重症化や合併症を予防し、健康な人と同様の日常生活を送ることにあります。食塩の制限、タンパク質の制限、適正なエネルギーの確保が重要です。
1)食塩
腎臓の機能が正常であれば、余分な塩分は腎臓から排出されるため問題はありません。慢性腎臓病ではこの機能が低下しているため、体内に塩分がたまり、高血圧やむくみの原因となります。
高血圧が続くと、腎臓の機能低下をさらに進めてしまいます。1日あたり3g以上6g未満の食塩摂取を目安とします。
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2)たんぱく質
腎臓の機能が低下すると、たんぱく質が処理されてできる老廃物が腎臓から排出されず、体内に蓄積され、腎臓の機能悪化を引きおこします。老廃物の蓄積を抑えるために、管理栄養士と相談しながら、たんぱく質の量を制限をおこなっていきます。
腎臓の機能低下が軽度であれば、過剰なたんぱく質の摂取をしなければ問題はありませんが、機能低下が中等度以上に進んだ場合は、たんぱく質の摂取制限をおこないます。
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3)エネルギー量
たんぱく質の摂取を減らし過ぎると、エネルギー摂取も減少して栄養不足になります。栄養不足の状態が続くと、全身の健康に様々な問題が生じることになります。
また、エネルギー摂取が不足すると、体は体内にあるたんぱく質を壊してエネルギーに変えようとします。このたんぱく質も老廃物となって腎臓に負担をかけてしまうため、たんぱく質の摂取を制限しつつ、炭水化物と脂質を十分に摂り、適正なエネルギー摂取をおこなっていきます。
4)リン
腎臓の機能低下によって体内にリンが蓄積され、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、骨粗しょう症の原因になります。たんぱく質が豊富な食品にはリンも多く含まれているため、摂取を減らし過ぎると栄養不足の状態となるため注意が必要です。
5)カリウム
リンと同様にカリウムも体内に蓄積されやすく、カリウムの蓄積はしびれ、嘔吐、不整脈、心停止の原因となります。カリウムを制限した食事も必要となります。