●小児の味覚障害
小児の味覚障害は増えているといわれています。味覚障害になると、酸っぱい味が苦い味に感じたり、味を濃くしないと味覚を感じなかったりします。
味は食物が味蕾(みらい)という器官に接触して、そこで受けた刺激が脳に伝えられることによって感じます。味蕾は10〜12歳頃に最も多く、大人になると減少します。そのため、小児は最も味を感じやすいとされています。
ところが、東京医科歯科大学(歯科)の研究グループがおこなった大規模な調査によると、
甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味のうち、いずれかの味を正しく認識できない子供が31%もいました。
また、酸味を認識できない子供は21%、塩味を認識できない子供は14%、甘味、苦味を認識できない子供はそれぞれ6%いました。
NHKのニュースでも大きく報道され話題となりました
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●小児の味覚障害の原因
大人の味覚障害の原因は、亜鉛の不足、薬の長期服用、口腔乾燥症(ドライマウス)などですが、小児の味覚障害の原因は異なります。
味覚障害をおこしている小児は、加工食品など味の濃い食べ物や人工甘味料を使用した飲み物を頻繁に摂取している傾向があります。
スナック菓子やファーストフードなどソース、ケチャップ、マヨネーズ、塩などで味付けされたものは、口に入れた瞬間に味がはっきり分かりますが、この濃い味に慣れてしまうと、だんだん味覚が鈍ってきます。
濃い味に慣れてしまうと、のどは渇き、清涼飲料水を飲みたくなります。清涼飲料水に含まれる人工甘味料は、砂糖よりも強い甘味をもっています。
人工甘味料のアスパルテームは砂糖の200倍、ステビアは同300倍、サッカリンは同500倍もの甘味があります。この甘味に慣れてしまうと味覚は鈍り、より強い甘味を求めるようになってしまいます。その結果、味覚が鈍っていきます。
若者の味覚障害が増えていることを報道(フジテレビ)
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●小児の味覚障害の問題
濃い味の食べ物を好むようになると、薄味の食べ物に満足できなくなり、ますます濃い味の食べ物を好むようになります。
濃い味の食べ物は塩分の摂取量が多くなるだけでなく、食が進んで食べる量が増えるため、肥満など生活習慣病の原因になります。大人になってから高血圧、心筋梗塞、脳梗塞の原因にもなります。小児のうちから薄味に慣れておくことが大切です。
調理方法にも工夫を
●小児の味覚障害の治療
小児の味覚障害の多くは、食生活を改善するだけで治ります。加工食品の摂取頻度を少なくし、肉、魚、野菜、穀物などを薄味にして、バランスよく食べていくことが大切です。また、味覚を促すために、よくかむ食事を取り入れていくことも大切です。
朝食をしっかりとることも大切です
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