睡眠中のドライマウス
睡眠中のドライマウス※1

ドライマウス(口腔乾燥症)は口が渇く、口の中がネバネバする、ヒリヒリするなどの症状を引きおこします。

日中だけでなく、夜間の睡眠中にもドライマウスの症状はおきます。ある歯科大学がおこなった大規模な調査では、歯科大学病院ドライマウス外来に受診した患者さんのうち、夜間の睡眠中にドライマウスを自覚していた患者さんは84%もいました。

睡眠中のドライマウスは、夜間口腔乾燥症、睡眠関連口腔乾燥とも言われ、当クリニックに来院される患者様では、年齢では60~70歳代が最も多く、性別では女性が多い傾向にあります。

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睡眠中のドライマウスの症状

睡眠中のドライマウスの症状では、「口が渇いて目が覚める」が最も多く、次いで口が渇いて眠れない、朝起きると口が渇いてネバネバするといった症状が多くなっています。



睡眠中のドライマウスの原因と対策、治療

睡眠中のドライマウスの主な原因は、唾液の分泌が低下していること、口の中の水分が蒸発してしまっていること、睡眠が浅く目が覚めてしまうことが原因としてあげられます。ドライマウスの症状を改善するためには、それぞれの原因に対応した、対策、治療が必要となります。


1)口呼吸
健康な人でも、睡眠中は唾液の分泌が低下しています。そのようなときに口呼吸によって口内の水分が蒸発してしまうと、口が渇いてしまいます。

鼻づまりなど鼻に問題がある場合は耳鼻科で治療をおこない、鼻呼吸がおこなえるようにします。鼻呼吸を促す器具(パタカラ)を使用したり、口呼吸を促すテープ(ネルネル)や保湿 装置(モイスチャープレート)を使用するのも一つの方法です。

そのほか、就寝前に保湿剤が配合されたジェルを口内に塗ったり、ドライマウス向けの漢方薬を服用すると、症状が改善されることがあります。


パタカラ 口呼吸を改善させる器具(パタカラ)  口閉じテープネルネル 鼻呼吸を促進させるテープ

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2)いびき、睡眠時無呼吸症候群
口呼吸と同様に、いきびをかくと口が渇いてしまいます。いびきが悪化して睡眠中に呼吸が止まってしまう病気「睡眠時無呼吸症候群」では、いびきによる口の乾き、呼吸の停止による浅い睡眠によって、ドライマウスの症状を悪化させます。

いびき、睡眠時無呼吸症候群を原因とするドライマウスは60~70歳代の人に多く、マウスピースを作製するなどの治療をおこないます。口呼吸と同じ対策、治療をおこなうと、症状が改善されることがあります。


オーラルバランス 保湿剤が配合されたジェル(オーラルバランス)

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3)歯ぎしり、食いしばり※2etc.
睡眠中に無意識、リズミカルにおこなうあごや口の運動は、口の中の保湿に重要な役割を果たしているとされています。睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、この運動を妨げ、ドライマウスを引きおこすことがあると指摘されています。

保湿機能を備えた歯ぎしり用マウスピースの装着により、睡眠中のドライマウスの症状が改善されることがあります。

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4)ストレス、うつ病、不眠症
大きなストレス、うつ病や不眠症の治療で使用される薬の服用は、唾液の分泌を低下させることがあります。睡眠の質が低下していることが多く、睡眠中に口が渇いていることで目が覚めやすく、ドライマウスの症状を感じやすい傾向にあります。

唾液の分泌が低下しているときは、一般的なドライマウスの治療をおこないます。また、内科、心療内科、精神科でうつ病や不眠症の治療をおこなうことで、ドライマウスの症状が改善されます。

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5)寝酒
アルコールは体から水分を奪い、唾液の分泌を低下させます。また、アルコールは眠りを促す作用がある一方で覚醒作用もあるため、一晩全体でみると、睡眠の質を低下させます。これらは睡眠中のドライマウスの原因になるため、就寝前の飲酒は控えるようにします。

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6)喫煙
喫煙は血液の中の酸素を減らし、のどに炎症をおこし、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状は悪化します。タバコの成分であるニコチンには強い覚醒作用があり、喫煙は睡眠の質を低下させます。これらは睡眠中のドライマウスの原因となるため、就寝前の喫煙は避けるようにします。

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7)加齢
高齢になると、不眠症などの病気がなくても睡眠は浅くなり、睡眠中に何度も目覚めやすくなります。目覚めたときに口の渇きが気になることがあります。



当クリニックはドライマウス(口腔乾燥症)唯一の学会組織である「ドライマウス研究会」が発足した2002年からメンバーとして参加しています。お気軽にご相談ください。


※1 池田裕子、岡本真理子、山本健、今村武浩、山近重生、斎藤一郎、中川洋一 ドライマウス患者における睡眠の質の評価とその低下に関連する因子 歯科薬物療法33(1)10-17 2014  ※2 Thie NM、Kato T、Bader G、Montplaisir JY、Lavigne GJ The significance of saliva during sleep and the relevance of oromotor movements. Sleep Med Rev6(3)213-217 2002


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