●ドライマウス(口腔乾燥症)とは※1−5etc.
ドライマウス(口腔乾燥症)とは、唾液の減少などによって口の中が乾く病気です。原因はストレス、不規則な生活、老化、薬の副作用など多岐にわたります。
症状が進むと夜中に口の中が渇いて何度も目を覚ましたり、食事がしづらくなるなどの症状がみられます。
欧米の大規模な調査では人口の25%がドライマウスにかかっており、日本でも800〜3000万人の患者数がいるとされています。しかしながら、病気に気付いていない人が多く、また対応できる医療機関が少ないことから、治療を受けている人はごくわずかとなっています。
ドライマウス治療の受診者でみると、女性が7〜8割を占め、高齢者が多い傾向がみられます。4〜13%はシェーグレン症候群と診断されます。
口がかわくことを自覚している人の割合
※令和4年歯科疾患実態調査(厚生労働省)
ドライマウス治療における女性患者の割合
ドライマウス治療受診者の概要
医療機関 |
受診者の概要 |
SS |
東京歯科大学 |
60歳代が最も多い。
主訴は口腔乾燥84%、ネバネバ感4%、舌の痛み4%など。 |
6% |
大阪歯科大学 |
70歳代が最も多く、自覚症状では口腔乾燥感が67%、口の中のネバつきが58%、舌の痛みが52%、味覚が変わったが35%。83%が何らかの薬を服用しており、平均4.8剤を服用していた。 |
4% |
広島大学 |
20〜80歳代が受診。60歳以上が76%。唾液分泌が低下している患者が50%。
主訴は口腔乾燥47%、舌の痛み17%、味覚障害11%など。原因はストレスが50%、薬の副作用が20%であった。 |
11% |
九州歯科大学 |
30〜83歳が受診。平均年齢67歳。60〜70歳代が多い。92%の患者が唾液の分泌が低下していた。
自覚症状は舌のピリピリ感59%、口腔乾燥33%、ネバネバ感28%など。 |
4% |
新潟大学 |
男性は70歳代、女性は60歳代が最も多い。唾液の分泌(刺激時)が低下している患者が79%。
原因は薬の副作用30%、ストレス20%、シェーグレン症候群13%、放射線治療の後遺症4%など。 |
13% |
中川駅前歯科 |
16〜96歳が受診。70歳代の患者様が最も多く1/4。30〜60歳代の患者様はほぼ同数が受診。唾液分泌が低下している患者様が50%。
40〜60歳代の女性は舌の痛みも伴うことが多く、60〜70歳代の患者様は睡眠中の口腔乾燥を主訴に来院することが多い。
|
5% |
※SS:ドライマウス受診者に占めるシェーグレン症候群の患者の割合
東京歯科大学:東京歯科大学千葉病院ドライマウス外来の受診者/大阪歯科大学:大阪歯科大学附属病院ドライマウス外来の受診者/広島大学:広島大学病院口腔検査センタードライマウス外来の受診者/九州歯科大学:九州歯科大学付属病院第2口腔外科の受診者/新潟大学:新潟大学医歯学総合病院くちのかわき外来の受診者/中川駅前歯科:中川駅前歯科クリニックにドライマウス治療を目的として来院された患者様
関連するページ ドライマウス(口腔乾燥症)の検査 シェーグレン症候群 舌痛症
●ドライマウスの症状
ドライマウスになると、痛み、乾燥、ネバネバ感、ざらつき感、食べにくい、飲み込みにくい、飲み物がすぐにほしくなる、口の中が苦い、しょっぱいなどの自覚症状があらわれます。
また、唾液の減少により、虫歯、歯周病、酸蝕症、味覚障害になりやすくなります。
ドライマウスの症状
口の中の乾燥、ネバネバ感、ざらつき感/
舌の痛み(舌痛症)/
舌炎/
口内炎/口角炎/話しにくい/口の中のヒリヒリ感、灼熱感(
口腔灼熱症候群)/のどのひっつき感/のどの渇き/
口臭/口唇の乾燥、ひび割れ/
虫歯/
歯周病/入れ歯が合わない/乾燥した食品を食べるのが困難、飲み込みにくい(
摂食嚥下障害)/食べ物の味がしない(
味覚障害)/口の中がすっぱい、苦い(味覚異常)/夜中に口の中が乾いて何度も目を覚ます(睡眠障害)/酸蝕症(
酸蝕歯) ほか
情報番組「朝イチ」(NHK)の特集で報道
●ドライマウスの原因
食生活など生活習慣、ストレス、薬の服用、全身の病気などを原因として、ドライマウスを発症します。
ドライマウスの原因
口呼吸(
お口ポカン)/仕事や家庭などのストレス/
薬の長期服用/
オーバードーズ/更年期/鼻閉/生活習慣の乱れ(夜更かし、生活リズムが不規則など)/唾液腺の病気/外傷/食生活の乱れ(外食中心、朝食抜きなど)/精神的な病気(
うつ病、不眠症など)/
放射線治療/化学療法(抗がん剤など)/
糖尿病/
甲状腺機能亢進症/
甲状腺機能低下症/
シェーグレン症候群/
サルコイドーシス/
喫煙/慢性関節リウマチ/脳血管障害/
胃食道逆流症(逆流性食道炎)/悪性リンパ腫/移植片対宿主病(GVHD)/後天性免疫不全症候群(AIDS)/
TCH(歯列接触癖)/
慢性腎臓病(腎不全、人工透析)/
いびき・睡眠時無呼吸症候群/
歯ぎしり ほか
生活習慣などを原因として、ドライマウスになります
関連するページ ドライマウスを引きおこす全身の病気
●ドライマウスを引きおこすことのある薬剤
独立行政法人医薬品医療機器総合機構によると、アレルギー、血圧、不整脈、喘息、うつ、咳止めなど、約4000種類の医薬品が副作用としてドライマウスがあります。風邪薬など短期間の服用は問題ありませんが、長期間にわたって薬を服用すると、ドライマウスを発症することがあります。
服用している薬が原因でドライマウスになることもあります
関連するページ 唾液の働き 薬剤性ドライマウス ストレス性ドライマウス
●
ドライマウスの検査方法
ドライマウス問診表にご記入いただき、お口の中を診査いたします。唾液の量を測定したり、質を調べていきます。症状によってはレントゲン写真を撮影したり、血液検査をおこないます。
口腔水分計 保湿剤が配合された洗口液(絹水)
関連するページ
ドライマウス Q&A ドライマウス(口腔乾燥症)の検査
●ドライマウスのケアと治療
ドライマウスのケアと治療は、水分補給、人工唾液や保湿剤が配合された洗口液の使用、喫煙や口呼吸などの生活習慣の改善をおこないます。また、虫歯や歯周病になりやすいため、定期的に歯科医院で口内の清掃をおこないます。
ドライマウスのケアと治療
水分補給/人工唾液(サリベート)の使用/薬剤の副作用を除去/口腔機能訓練/
保湿剤が配合された洗口液(オーラルウェットなど)の使用/口呼吸の改善/保湿ジェル・スプレー(オーラルバランスなど)の使用/唾液分泌促進剤(サリグレン、エボザックなど)の服用/生活習慣や体質の改善/保湿装置(モイスチャートレー、プレートなど)の使用/クリーニング(PMTC)/漢方薬(白虎加人参湯、麦門冬湯など)の服用/食生活の改善 ほか
水分補給
関連するページ ドライマウスの治療で使用される薬剤 歯のクリーニング(PMTC)
●
ドライマウスのセルフケア
口の中の保湿
水分補給をまめにおこなうだけでなく、あごの運動やシュガーレスガムなどをかむことにより唾液の分泌を促進しましょう。また辛い食べ物やアルコール飲料、喫煙は乾いた口に刺激を与えますので控えるようにしましょう。
規則正しいゆとりをもった生活
精神的緊張は唾液の分泌を少なくしてしまいますので、ゆとりのある、リラックスした生活を送るようにしましょう。
口腔ケア
ドライマウスは口臭の原因となるだけでなく、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。毎日の歯みがきをしっかりするのはもちろんのこと、歯科医院で定期的に口の中を掃除してもらいましょう。
※1 三輪恒幸、松坂賢一、監物真、村上聡、井上孝 口腔乾燥症(ドライマウス)の臨床統計的検討 : 東京歯科大学千葉病院におけるドライマウス外来について
日本口腔検査学会雑誌 1(1)40-43 2009 ※2 城山明宏、毛利大介、島津薫、青木秀哲、湊川徹 当科における口腔乾燥外来の現状 口腔・咽頭科
19 (1)83-83 2006 ※3 北川雅恵、新谷智章、小川郁子、栗原英見 ドライマウスの臨床統計的検討 : 広島大学病院ドライマウス外来の診療
日本口腔検査学会雑誌2(1)69-73 2010 ※4 友寄泰樹、黒川英雄、高野裕史、安細敏弘、高橋哲 当院におけるドライマウス患者へのチームアプローチ
日本口腔粘膜学会雑誌11 (2)33-41 2005 ※5 伊藤加代子、竹石英之、浅妻真澄、渡部守、船山さおり、五十嵐敦子、野村修一、山田好秋
くちのかわき(ドライマウス)外来における初診患者の臨床統計的検討 新潟歯学会誌34(1)59-61 2004
当クリニックはドライマウス(口腔乾燥症)唯一の学会組織である「ドライマウス研究会」が発足した2002年からメンバーとして参加しています。
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