●オーバードーズ(OD)とは
オーバードーズ(オーディー)とは、多幸感を得て家庭、学校、職場などの精神的な苦痛から逃れたり和らげるために、ドラッグストアなどで購入できる風邪薬やせき止め薬、医療機関で処方された睡眠薬や抗不安薬などを大量に摂取することをいいます。
若い人を中心に急増しており、オーバードーズは身体に大きな負荷がかかるほか、一度依存するとなかなか自身で離脱することは難しくなります。
始めたきっかけ
友人、知人からすすめられて/精神的につらかったので/眠れなかったので/仕事、人間関係のストレス/リストカットは怖いので/違法薬物(大麻、覚醒剤)で捕まるのは怖いので/SNSで調べて/興味本位で
対象となる市販薬の種類
鎮咳去痰薬(せき止め)/総合感冒薬(風邪薬)/解熱鎮痛薬(痛み止め)/鎮静薬/抗アレルギー薬/眠気防止薬(カフェイン製剤)
薬の選択理由
気分がよくなる/ほっとする/嫌なことが忘れられる/気持ちが落ち着く/集中力が増す
乱用に伴う症状
攻撃的/幻聴/幻覚/妄想/不眠/希死念慮/意識喪失/無気力/食欲不振/便秘/頭痛/口渇(ドライマウス)/吐き気/嘔吐/だるさ/手のふるえ/意図しない死
関連するページ 薬物依存症(シンナー、麻薬)
●薬物依存症の原因となる薬物
国立精神・神経医療研究センターによると、10歳代の薬物依存となる薬物は、2014年は危険ドラックが半数だったものの減少し、2020年には市販薬(風邪薬、せき止め薬など)が半数以上となっています(下図)。
薬物依存症の原因となる薬物
●オーバードーズ(OD)の情況
2021〜2022年の調査では、オーバードーズで救急搬送された人の平均年齢は25.8歳、女性が8割を占め、コロナ禍により急増していました。また、同期間に高校生4.4万人を対象におこなった調査では、高校生の60人に1人、1.6%が市販薬の乱用経験がありました。
オーバードーズが原因として疑われる救急搬送は2023年1〜6月だけで5625人にもなります。
2012年から2020年にかけての間に精神科医療施設を受診する市販薬を主とする薬物依存症患者は6倍に急増しています。
●オーバードーズ(OD)と歯科
オーバードーズをしていると口が渇いたり、虫歯ができやすくなったり、歯が欠けたり、溶けたりすることがあります。オーバードーズをしていること自体は歯科医師や歯科衛生士はまず気付きませんが、機会があれば歯科医師や歯科衛生士に歯とお口の健康についてご相談されるのがよいでしょう。
1)ドライマウス 虫歯
薬の副作用により唾液が減少して口が渇きやすくなります。唾液には歯を治す作用や細菌の繁殖を抑える作用があるため、唾液の減少は虫歯が多発したり、歯が欠けやすくなります。
薬が糖衣錠の場合は通常量であれば問題はないものの、大量の服用、頻回の服用では糖によって虫歯ができることがあります。
関連するページ 薬剤性ドライマウス 唾液の働き 虫歯
2)ジスキネジア
精神科や心療内科で処方される薬、胃腸薬の大量服用によって口がもぐもぐしてしまったり、唇がふるえる、歯をくいしばるなどの症状があらわれることがあります。
関連するページ ジスキネジア(舌や口が勝手に動いてしまう症状) ジスキネジア Q&A
3)歯ぎしり(くいしばり)
薬が効いているいる間に歯をくいしばっていることがあります。歯のくいしばりは、歯が欠けたり、削れたり、しみたりする原因となります。
関連するページ 歯ぎしり(歯軋り)
4)酸蝕症
唾液の減少(ドライマウス)や薬の大量服用による嘔吐(胃酸)により、歯が溶ける病気「酸蝕症」を発症しやすくなります。嘔吐が続くと歯がボロボロになります。対策としては嘔吐後にうがいをするなどの方法があります。
関連するページ 酸蝕症 摂食障害
※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
交通アクセス・駐車場案内図(横浜市都筑区、港北区など近隣よりご来院の方)
青葉区・宮前区からのご来院(横浜市青葉区、川崎市宮前区からご来院の方)
小田急線沿線からのご来院(東京都町田市、川崎市麻生区、多摩区などからご来院の方)
横浜線沿線からのご来院(横浜市緑区、相模原市などからご来院の方)
南武線沿線からのご来院(川崎市中原区、高津区などからご来院の方)
広域路線図 広域道路地図(神奈川県、東京都からご来院の方)
新幹線・飛行機でのご来院(神奈川県、東京都以外からご来院の方)
関連するページ ドライマウス(口腔乾燥症) 歯ぎしり