口腔灼熱症候群(バーニングマウス症候群) 横浜・中川駅前歯科クリニック
口腔灼熱症候群(バーニングマウス症候群)
口腔灼熱症候群(バーニングマウス症候群)とは

口腔灼熱症候群(こうくうしゃくねつしょうこうぐん、Burning Mouth Syndrome)とは、口の中に灼熱感のある痛みを引きおこす病気です。舌痛症と同様に、50〜70歳代、女性に多くみられます。

日本では一般の人だけでなく、歯科医師、医師などの医療関係者の間でも、ほとんど知られていません。原因は不明なことが多く、現在のところ決定的な治療方法もありません。

しかしながら、世界の研究者の間では、2000年以降、口腔灼熱症候群に関して急速に関心が高まっています。口腔灼熱症候群について発表された研究論文は、1981〜1990年は僅か81編でしたが、1991〜2000年は154編、2001〜2010年は383編となり、急増しています。

今後、研究が進み、治療方法も確立されていくことが期待されています。


口腔灼熱症候群について発表された研究論文の数
口腔灼熱症候群について発表された研究論文の数
アメリカ国立医学図書館が提供する世界最大の医学研究論文データベース「PubMed(パブメド)」に登録されている口腔灼熱症候群に関する研究論文

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口腔灼熱症候群の定義と診断基準

口腔灼熱症候群という名称は1967年に初めて記載され、定義と診断基準は2014年に国際頭痛分類第3版beta版で下記のように定められました。


口腔灼熱症候群の定義
3ヵ月を超えて、かつ1日2時間を超えて連日再発を繰り返す口腔内の灼熱感、あるいは異常感覚で、臨床的にあきらかな原因病巣を認めないもの。


診断基準
A. BおよびCを満たす口腔痛がある。
B. 3ヵ月を超えて、1日2時間を超える連日繰り返す症状。
C. 痛みは以下の特徴を有する
   1)灼熱感  2)口腔粘膜の表層に感じる
D. 口腔粘膜は外見上正常であり、感覚検査を含めた臨床的診察は正常である。
E. 他に最適な国際頭痛分類第3版の診断がない。


※国際頭痛分類第3版beta版(ICHD−3β)
国際頭痛学会が定める分類・診断基準。第3版は2013年に国際頭痛学会学会誌に掲載され、2014年に日本語訳が出版されました。ベータ版となっているのは、国際頭痛学会がこの分類に基づいた実地診療を見極め、将来的さらに修正を加えて正式な第3版を発表する礎になるという位置付のためです。




●口腔灼熱症候群の有病率

有病率は0.7〜15%と報告され、これまで診断基準が統一されてなかった等の理由により、ばらつきがあります。※1、2女性が圧倒的に多く、特に閉経後の女性が多い傾向にあります。

アメリカ・ミシガン大学の研究者が、45711人を対象におこなった大規模な調査では、0.7%の有病率となりました。※1フィンランドのトゥルク大学の研究者が431人を対象におこなった大規模な調査では、15%の有病率で、半数が口腔カンジダ症や口の中の粘膜の病気がありました。※2

日本での報告は殆どありませんが、日本大学松戸歯学部の研究者がおこなった調査では、有病率は歯科大学附属病院の痛み外来受診者の12%、病院来院者の1%でした。※3



●口腔灼熱症候群と舌痛症との違い

口腔灼熱症候群に対する解釈方法はいくつかあります。

(1)口腔灼熱症候群の一つに舌痛症があるというという考え、(2)口腔灼熱症候群と舌痛症は別の病気であるという考え、(3)舌痛症という病気はなく、舌の痛みは口腔灼熱症候群含めるという考えがあります。

日本では舌に痛みがある病気を「舌痛症」とするのが一般的ですが、海外では舌痛症も口腔灼熱症候群の一つの症状とする考えが多いようです。

舌痛症 舌だけでなく、口の中が痛みます



口腔灼熱症候群の症状

舌が最も多く、その他には歯肉、口唇、頬の粘膜、口蓋(口の天井)、口底などに痛みがでます。頬の粘膜、口底はまれです。激痛は少なく、多くはヒリヒリ、チクチクしたり、焼けるような痛み、しびれ感など、弱い痛みが多い傾向があります。

口の乾燥(ドライマウス)、喉の渇き、味覚の変化、苦味や金属味を感じることもあります。ヒリヒリ感から、眠れない、睡眠中に何度も目を覚ますこともあります。何かに集中しているときや食事中は症状が軽くなる傾向があります。

痛みは数か月から数年続くことがあり、睡眠障害、うつ病を発症する人もいます。

口の乾燥 口の渇きを感じることもあります

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口腔灼熱症候群の原因

原因は不明なことが多く、中枢神経の問題、心因的な問題が関連していると考えられています。原因となることがあるものには、下記があげられます。

舌炎/口内炎/口腔カンジダ症/口腔扁平苔癬/ドライマウス(口腔乾燥症)/シェーグレン症候群/歯垢、歯石/糖尿病/甲状腺機能低下症/神経の損傷/合っていないつめ物/合わない入れ歯の使用/歯ぎしり/パーキンソン病/地図状舌/溝状舌/黒毛舌/歯科金属アレルギー/ガルバニー電流/胃食道逆流症(逆流性食道炎)/薬の副作用(高血圧の薬など)/更年期/栄養不足(ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、亜鉛、鉄など)/ホルモンの不安定

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痛みのタイプ

明らかな原因が存在し、その部位の痛みがある場合を除いて、おおむね3つのタイプに分類されます。

1)起床時は痛みを感じないものの、昼前(あるいは昼過ぎ)から痛みを感じ始め、夕方以降に痛みがピークに達するもの。栄養不足や糖尿病の患者さんなどにみられることが多い傾向があります。

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2)いったん痛みを感じると、1日中痛みが続く。痛みのため、睡眠障害をおこすこともあります。抗うつ剤を服用している人も多く、その副作用によりドライマウスがみられることがあります。

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3)痛みが時々おき、1日の中でも痛みを全く感じない時間もあります。不安障害や食物添加物にアレルギーをもっている人にみられることがあります。



口腔灼熱症候群の治療

治療は舌痛症と同様の方法となります。ドライマウス、口腔カンジダ症など、原因が明らかな場合は、それに対する治療をおこないます。抗うつ薬、向精神薬の服用により、治ることもあります。治療はごく一部の歯科、口腔外科、心療内科、精神科などでおこなわれています。

喫煙や食事が刺激となって粘膜を傷つけたり、炎症を発症させることがあります。禁煙をしたり、刺激物の多い食べ物を避けることにより、症状が改善されることもあります。

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※1 Lipton JA, Ship JA, Larach-Robinson D.  Estimated prevalence and distribution of reported orofacial pain in the United States.  J Am Dent Assoc. 1993 Oct;124(10):115-21  ※2 Tammiala-Salonen T, Hiidenkari T, Parvinen T.  Burning mouth in a Finnish adult population. Community Dent Oral Epidemiol. 1993 Apr;21(2):67-71.  ※3 Okubo M,Komiyama M,Niwa H,Hirayama T,Narita N. Primary diagnosis of patients presented to a dental school-based multidisciplinary orofacial pain clinic in Japan. American Academy of Orofacial Pain, 34th Scientific Meeting final program p.24,2010



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