●歯科恐怖症とは※1
歯科治療に対して恐怖心をもったり、治療を避けようと思う人は非常に多くいます。
歯科恐怖症とは、恐怖心が強くなり、歯を削るドリルの音で身体が動けなくなる、診療台に座れないなどの症状があらわれる状態をいいます。精神障害の分類(DSM−5、アメリカ精神医学会)では限局性恐怖症の一つに分類され、先端(注射針など)、高所、閉所に対する恐怖症も、限局性恐怖症の一つに分類されています。
オランダの歯科大学がおこなった調査では、30〜40%の人が歯科治療に恐怖心をもち、5〜15%の人は口内環境に悪影響を及ぼすような深刻な恐怖心を歯科治療に対してもっていると報告しています。
日本の歯科大学がおこなった調査でも程度の強い歯科恐怖症の人は11%だったとの報告があり、オランダの歯科大学と同様の結果となっています。
性別では女性が圧倒的に多く、年齢では20〜40歳代、トラウマ、うつ病、パニック障害などの心の病気をおもちの人が多い傾向にあります。
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●治療恐怖の発症要因、発症時期
幼少期のトラウマ的な痛みの強い治療や抑えつけられての治療、乳歯の抜歯、歯科麻酔で気分が悪くなった、抜歯後に続いた痛み、ドリルの音が怖かったなど、主に過去の歯科治療を要因として発症します。うつ病、パニック障害から歯科恐怖症を要因として発症することもあります。
歯科医療従事者の一方的な会話、患者さんを傷つける言葉(何でこんなになるまで放置していた!、何でこんな簡単な治療もできないの!ほか)や態度(不機嫌、怒る)を原因とすることもあります。
発症時期は幼少期に多いとされており、この時期の歯科治療経験はその後の歯科治療に対する不安や恐怖に大きく関与しているとされています。成人になってからの歯科治療で発症することもあります。
●歯科恐怖症の問題点
歯科恐怖症になると歯科医院から足が遠のき、虫歯や歯周病の予防処置、治療を避ける傾向にあります。その結果、虫歯の多発や歯周病の悪化を招きやすく、さらなる治療が必要となる悪循環を招きます。
歯科恐怖症のために通院できず、当クリニックの初診時には、既にほとんどの歯が虫歯になっていることも珍しくありません。
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●歯科恐怖症の方の歯科治療
歯科恐怖症の症状に応じて、少しずつ治療に慣れていただきます。最初は何も治療をせず、カウンセリングのみで終了となることもあります。当クリニックでは軽度〜中等度の歯科恐怖症の方の治療に対応していますので、お気軽にご相談いただけたらと思います。
ほとんどの方が中等度以下の歯科恐怖症ですが、重度の歯科恐怖症で静脈内鎮静法、全身麻酔が必要な場合は、歯科大学病院等をご紹介させていただいています。
1)認知行動療法
臨床心理士、医師、歯科医師のもと、暴露療法(エクスポージャー)、リラクゼーション、認知再構成法、ストレス免疫訓練などの方法により改善していきます。
2)麻酔 当クリニックでは笑気麻酔を使用した歯科治療をおこなっています
歯科治療を問題なく受診できる人が多いものの、治療に対する恐怖心が極めて強いときは、鼻からガスを吸い込みリラックスして治療を受ける方法(笑気麻酔)、点滴を使用して眠ったまま治療を受ける方法(静脈内鎮静法)や全身麻酔をおこなうなどして、治療をおこないます。
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3)抗不安薬の服用 処方希望の患者様におかれましてはお気軽にご相談ください
歯科治療の前に静脈内沈静法でも使用されている不安や緊張をやわらげる薬を服用することで、リラックスして治療を受けることができます。治療の1〜2時間前に服用します。
4)痛みの少ない虫歯治療 治療希望の患者様におかれましてはお気軽にご相談ください
ドックベストセメント、3Mix法など歯を削る量を少なく、痛みの少ない虫歯治療があります。これらの方法により虫歯の治療をおこなうのも一つの方法です。
関連するページ ドックベストセメント 3Mix法
5)超極細の歯科用注射針の使用 当クリニックでは世界最細の35Gを使用しています
世界最細(2022年現在)の注射針35Gを使用すると、従来の注射針に比べるとチクッとした痛みが軽減されます。31G(外径0.28mm)は1993年、33G(同0.26mm)は1998年、35G(同0.23mm)は2020年に使用が始まりました。
6)電動麻酔器 当クリニックでは希望される患者様に使用しています
電動麻酔器を使用すると麻酔の速度をコントロールすることができ、麻酔中の痛みを抑えることができます
7)心療内科、精神科
中等度以上の歯科恐怖症であれば、歯科治療とあわせて心療内科、精神科でカウンセリングを受けたり、向精神薬の服用などの治療をおこなうのも方法です。重度の歯科恐怖症で歯科医院に近づくこともできないときは、まずは心療内科、精神科への受診をおすすめします。
●歯科恐怖症の患者様へ
歯科医院では治療の際に不安なこと、心配なことなどがたくさんあるかと思います。歯科治療が苦手であること話し、治療前に歯科医師、歯科衛生士などのスタッフに遠慮なく質問をしていただけたらと思います。
また、怖くなったら治療を中断してほしい、付き添いの人を入れてほしい、診療台を倒しすぎないようにしてほしい、歯型をとるときは苦しくないようにしてほしい、治療前に薬を飲みたい、アイマスクを着けて治療を受けたい、ヘッドフォンで好きな音楽を聴きながら治療を受けたい、レントゲン室は怖くて入れないなどのご要望等がありましたら、些細なことでも構いませんので、お気軽にお申し付けください。
ほとんどの患者様は不安要素を取り除けば、通常の歯科治療をお受けになることができます。
関連するページ お問い合わせ・ご相談
※1 van Houtem CMHH The factor structure of dental fear. Eur J Oral Sci125(3)195-201
2017 ほか
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