虫歯になりにくいお砂糖(甘味料)があるのをご存知ですか?砂糖のほかにも甘味料はたくさんあり、なかには虫歯になりにくい甘味料もあるのです。代表的なものは虫歯予防で有名なキシリトールですが、それ以外にも色々あり、私達の身のまわりの食品にも使用されています。
●虫歯になりにくい砂糖
1)キシリトール
キシリトールは、砂糖に近い甘さを持つ甘味料です。ソルビトール、マンニトール、エリスリトールなどと同じ糖アルコールに分類され、砂糖とは構造が異なるため、虫歯の原因にはなりません。
キシリトールガム
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2)アスパルテーム
アスパルテームは、砂糖の200倍の甘さをもつアミノ酸系甘味料で、アスパラギン酸とフェニルアラニンから構成されており、いずれも生体内に存在するアミノ酸です。砂糖の親戚ではなく、アミノ酸の親戚ですので、虫歯にならない甘味料です。
また甘さが砂糖の200倍で、実際の使用量は砂糖の200分の一ですむことから、低カロリー甘味料として、ダイエット食品や糖尿病患者の治療食品などにも使用されています。
アスパルテームは、「パルスイート」(味の素)などとして販売されているほか、砂糖と混ぜて「スリムアップシュガー」(味の素)としても販売されています。また、「ダイエットペプシ」(サントリー)、「ダイエットコカ・コーラ」(日本コカ・コーラ)などの食品に使用されています。
パルスイート
3)ステビア
ステビアは、砂糖の300倍の甘さをもつ甘味料で、キク科の植物ステビア(ハーブの一種)の葉から抽出し精製したもので、日本で開発された虫歯になりにくい甘味料です。
アスパルテームと同様に、ダイエット食品や糖尿病患者の治療食品などにも使用されています。「午後の紅茶」(キリンビバレッジ)、「明治ブルガリアヨーグルト」(明治乳業)などの食品に使用されています。
4)パラチノース
パラチノースは、はちみつや砂糖きびの中にも含まれている甘味料です。オリゴ糖の一つで、砂糖と同じブドウ糖と果糖からできていますが、構造は異なるので、虫歯菌の栄養素にはなりません。また、虫歯菌の活動を抑えます。
甘さは砂糖の半分程度で、ミルミル(ヤクルト)、キスミントガム(江崎グリコ)、VC−3000のど飴(ノーベル製菓)などの食品に使用されています。
パラチノース
5)オリゴ糖(フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖)
オリゴ糖にはフラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などがあります。
オリゴ糖の一つであるフラクトオリゴ糖や乳果オリゴ糖は、
大腸内のビフィズス菌の増殖を促進する働き以外にも、虫歯なりくいという特徴をもった甘味料です。砂糖は虫歯菌の栄養素になりますが、これらは甘味がありながら虫歯菌が食べ物として好まない構造をしているため、虫歯菌の栄養源にはなりません。
フラクトオリゴ糖や乳果オリゴ糖は、粉ミルクやヨーグルトなどの食品に使用されています。
6)サッカリン
砂糖の500倍の甘さがあるため、実際の使用量は砂糖の500分の一ですむことから、虫歯になりにくい甘味料です。くせがあるので、ほかの甘味料と併用されます。
7)マルチトール
マルチトールは、キシリトールと同じ糖アルコールに分類される甘味料で、虫歯の原因にはなりません。また、虫歯菌の活動を抑えます。糖アルコールは、もとの糖名の末尾に「〜トール」がつきます。
甘みは砂糖に近く、すっきりした後味を持っていることから、ガムや飲料などシュガーレス食品の甘味料として使用されています。
8)エリスリトール
糖アルコールに分類される甘味料で、虫歯の原因にはなりません。ぶどう糖を原料として酵母による発酵で作られます。
甘みの強さは砂糖の70〜80%ですが、カロリーゼロのため糖尿病や肥満などでカロリー摂取制限を必要とする方に適した甘味料です。また、すっきりした後味を持っていることから、ガムや飲料などシュガーレス食品の甘味料としても使用されています。
9)ソルビトール
糖アルコールに分類される甘味料で、虫歯の原因にはなりません。水分や香りを保持する作用があることから、食品の改良剤としても広く使用されています。歯みがき粉や洗口剤にも使用されています。
●甘味度と味質
|
甘味度 |
味質 |
砂 糖 |
1.0 |
標準。 |
キシリトール |
1.0 |
砂糖より甘味の切れがやや早い。冷涼感がある。 |
アスパルテーム |
200 |
すっきりした甘味。やや後味が残る。 |
ステビア |
300 |
砂糖に似た甘味。立ち上がりが遅く後味が残らない。 |
パラチノース |
0.45 |
砂糖に似た甘味で後味が残らない。 |
サッカリン |
500 |
後味が残り、くせがある。 |
マルチトール |
0.8 |
砂糖に似た甘味で後味が残らない。 |
エリスリトール |
0.8 |
砂糖より甘味の切れが早い。冷涼感がある。 |
ソルビトール |
0.7 |
砂糖より甘味の切れが早い。冷涼感がある。 |
●
WHOガイドライン
WHO(世界保健機関)は、2023年5月にノンシュガー甘味料に関する新しいガイドラインを発表しました。体重管理や病気のリスクを減らすためにノンシュガー甘味料を使用しないよう勧告しました。主な内容は下記となりますが、否定する意見もあります。
体脂肪を減らす効果はみられない。
砂糖からノンシュガー甘味料にかえてもダイエットには役立たない。
長期使用により
糖尿病、
心臓病、成人の死亡リスクが増加する。
健康増進のために幼少期から甘いものを減らした食事が必要。
ノンシュガー甘味料にはアセスルファムカリウム、アスパルテーム、アドバンテーム、シクラメート、ネオムテーム、サッカリン、スクラロース、ステビアがある。
ノンシュガー甘味料が含まれる歯みがき粉、スキンクリーム、医薬品、ノンシュガー甘味料に含まれない低カロリー糖、糖アルコールには適応されません。
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