新型コロナウイルス感染症 第2波、第3波に対するお口の備え 横浜・中川駅前歯科
2020年2月から5月にかけては、新型コロナウイルスの感染者が急増して日本中がひっ迫した状況となりましたが、現在は感染者が減少して、以前ほどのひっ迫感はありません。

しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の第2波、第3波が懸念されています。命を守るためにも、お口の感染予防対策が必要となります。

新型コロナウイルス感染症について 感染予防の取り組み


感染に強く(清潔なお口は感染を防ぎます)

口の中が汚れていると、ウイルスは体内に侵入しやすくなり、感染リスクが高まります。また、感染したときに肺炎をおこすリスクが高まり重症化しやすくなります。

毎日の歯みがきをしっかりおこなうほか、歯科医師や歯科衛生士による口腔ケアや歯のクリーニングを受けるなどして、感染に強いお口にしていきましょう。うがい薬を使用して、うがいを頻繁におこなうのもオススメです。

感染に強く

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免疫力を高める(お口の機能アップは免疫力アップにつながります)

虫歯や歯周病の治療、入れ歯の作製は、しっかりかめること、しっかり食事をとれることにつながり、栄養摂取の面で免疫力を高めます。また、唾液には細菌やウイルスと戦う免疫物質が含まれていますが、治療によってしっかりかめるようになることは、唾液を増やす要因にもなります。

歯周病は心臓病や糖尿病など全身の病気とも関係しています。歯周病の症状が悪化すると全身の健康状態が悪化して、ウイルスに感染しやすくなります。

免疫力を高める

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歯科治療は早めに(治療ができるうちに、できることを)

2020年2月から5月にかけては、感染の拡大と「歯科医院は感染しやすい」という誤った報道により、患者さんの自己判断による歯科治療の自粛が全国的にみられました。この間、アメリカでも日本でも、歯科診療を通した患者さんへの感染は0件でした。

歯科治療を自粛したため、虫歯や歯周病の症状が悪化するなどの健康被害が、多くの人にみられました。お口の健康悪化は、全身の健康悪化につながるだけでなく、治療期間の長期化にもつながります。歯科治療は通院できるうちに早めに受けるようにしましょう。

歯科治療は早めに

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追記)2021年5月16日

バーミンガム大学(イギリス)の研究者らが、「J Oral Med and Dent Research」に発表した研究論文の要旨です。新型コロナウイルスは歯肉の血管から侵入することが考えられ、感染予防のために口内を清潔にしていくことが重要としています。


これまでは、新型コロナウイルスは口、鼻から体内に入った後に、気道、肺に移動して肺炎をおこすと考えられていた。

しかしながら、歯周ポケットに多数の新型コロナウイルスが見つかること、感染者の肺のレントゲン写真などから、新型コロナウイルスは歯肉の血管から侵入して肺に移動するのではないか。

歯周病菌が歯肉の血管から入り心臓発作をおこすことは知られており、歯周病治療をおこなったり、口内を清潔にしていくことが、新型コロナウイルスの歯肉への侵入を防ぎ、感染予防につながることが期待できる。

感染経路モデル 口腔―血管―肺の感染経路モデル
Lloyd-Jones G The COVID-19 Pathway: A Proposed Oral-Vascular-Pulmonary Route of SARS-CoV-2 Infection and the Importance of Oral Healthcare Measures. J Oral Med and Dent Res. 2(1):1-25.



追記)2021年5月5日

カタール大学(カタール)、マギル大学(カナダ)、マドリード大学(スペイン)の研究者が、2021年1月にヨーロッパ歯周病学会の学会誌「Journal of Clinical Periodontology」に発表した研究論文の要旨です。学会では動画を2021年4月に公開して警鐘を鳴らしています。


新型コロナウイルス感染症患者を対象とした大規模な調査によると、歯周病患者は合併症を経験するリスクが3.6倍集中治療室に入院するリスクが3.5倍人工呼吸器が必要になるリスクが4.5倍死亡するリスクが9倍も高かった。

この結果は、性別、年齢、喫煙の有無、糖尿病や高血圧など考えられるリスク要因を省いて算出した結果で、歯周病によって口内の炎症があると新型コロナウイルス感染症の症状は重症化することが明らかになった。

歯周病と新型コロナウイルス感染症
Nadya Marouf Association between periodontitis and severity of COVID‐19 infection: A case–control study J Clin Periodontol. 2021 Apr;48(4):483-491



追記)2020年12月17日
サンデー毎日(2020年12月20日号)では、「トラベルより、イートよりGoTo歯医者!」との特集を組み、新型コロナウイルスの感染予防のために、歯科医院に通院することを呼びかけました。

イギリス、スイスなどで発表された研究論文をもとにした記事で、同様の内容は多数のメディアから報道されています。

毎日


追記)2020年7月24日
イギリス・ケンブリッジ大学の研究者らが、2020年6月末に「ブリティッシュ デンタル ジャーナル」に発表した研究論文の要旨です。新型コロナウイルス感染症については未知な面が多々あるものの、同様の研究論文は2020年夏頃から世界で発表され始めています。


1918年に大流行したスペイン風邪(新型インフルエンザ)も2009年に流行した新型インフルエンザも、主な死因はウイルスではなく細菌感染だった。新型コロナウイルス感染症による死亡リスクの増加には、口内細菌や歯周病も関与する。

合併症には肺炎、血栓、敗血症、急性呼吸窮迫症候群があり、これらの合併症は歯周病菌などの細菌が関与する。重症の新型コロナウイルス感染症患者は細菌感染している。

重症の新型コロナウイルス感染症患者の肺には、口内細菌が多数存在しており(下図)、口内を清潔、健康にすることは合併症のリスクも下げる可能性がある。

歯周病菌
Could there be a link between oral hygiene and the severity of SARS-CoV-2 infections? British Dental Journal volume 228,971–975 2020





新型コロナウイルス感染症 第2波、第3波に対するお口の備え
(2021年5月16日更新)