溶出傾向検査
金属がイオン化して溶け出すことを、「溶出(ようしゅつ)」といいます。溶出した金属のイオンが体内に入り、それを異物とみなした体が攻撃を加えると、アレルギーがおきます。

DMAメーター(歯科用金属溶出傾向測定装置)を用いることで、アレルギーの原因となる溶出している金属が口の中にあるかどうかを診断します。

DMAメーターは、金銀パラジウム合金、銀合金、アマルガム合金など、18種類の歯科用金属の測定が可能です。また、金属の溶出傾向を3段階の音とランプで表示しますので、患者様にも口の中に入っている金属がアレルギーの原因となる可能性があるかを確認していただくこともできます。


溶出傾向検査溶出傾向検査

溶出傾向検査の前にパッチテストをおこなう必要があります。パッチテストは当クリニックでもおこなっておりますが、歯科では健康保険適応外となるため、皮膚科(アレルギー科、内科)でのパッチテストをおすすめしております。

関連するページ  歯科金属アレルギー治療の流れ  歯科金属アレルギー治療 Q&A  パッチテスト



●当クリニックで取り扱っている合金

18種類の歯科用金属の溶出傾向が測定できます。

金銀パラジウム合金
プラチナ
セミプレシャスメタル(パラジウム系)
ノンプレシャスメタル(ニッケルクロム)
ハイプレシャスメタル(金80%以上)
ハイプレシャスメタル(金61〜79%)
中カラット白金加金合金、14K金合金
高カラット白金加金合金、金合金、高カラット金合金
セミプレシャスメタル(金60%以下)、低カラット白金加金合金
純チタン、チタン合金
ステンレス鋼(矯正線、ブラケット、バンド)
ニッケルチタン矯正線
コバルトクロム矯正線
コバルトクロムワイヤー
ニッケルクロム合金
アマルガム合金
銀パラジウム合金
銀合金
※初診時は、原則として溶出傾向検査はおこなっておりませんのでご了承ください。



●金属が溶出する原因

口の中の金属は、細菌、食べ物、かみ合わせなどの作用によって、溶出がおこります。また、種類の違う金属間では微電流(ガルバニー電流)がおき、溶出がおこります。健康保険外の金属よりも、健康保険で使用する金属のほうが、溶出がおきやすい傾向になります。


DMAメーターDMAメーター(歯科用金属溶出傾向測定装置)

関連するページ  ガルバニー電流



●金属溶出傾向検査の結果※1

愛知学院大学歯学部の調査によると、DMAメーターを使用した溶出傾向検査では、健康保険で最も使用されている金属である「金銀パラジウム合金」は、14%が活性、85%が準安定という結果でした。かつて頻繁に使用されていた金属である「アマルガム合金」は、44%が活性、56%が準安定という結果でした。


金属溶出傾向検査の結果
※1 歯科における金属アレルギーの診断と治療(Visual Dermatology Vol.5 No.11、愛知学院大学歯学部附属病院口腔金属アレルギー外来)


関連するページ  アマルガム合金


金属の
溶出状態
安定 準安定 活性
判定基準 金属の溶出はない、または無視できる程度を示す。 金属の溶出は認められるが、電気化学的限界値よりは低いため、不動態化膜があるか再生される可能性があることを示す。 電気化学的限値を越え、不動態化膜が破壊されたために、金属が永続的に溶出している状態を示す。
対処方法 定期的なチェックをしながら様子を見る。パッチテストで陽性、有症状の場合、抗原の金属元素がある合金の撤去を勧める。抗原とならない材料へ置換。 無症状であっても長期的に健康被害が起こりうるレベルに金属の溶出が達しているため合金の撤去を勧める。抗原とならない材料へ置換。
※メーカー作成資料より



※歯科金属アレルギー治療をご希望の方は、お手数ですが事前にご予約ください。


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